夫の稼ぎが少ないのに、働けない
今回のご相談者は40代専業主婦の方。夫の収入だけで生計を維持するのが難しいため、働きに出たいけれど、子どもが小さくて働けないとのこと。ご相談内容を見てみましょう。
夫の稼ぎだけでは足りず、金銭的にも余裕がありません。本当は私も仕事に出たいのですが、子どもがまだ小さいので、働きに出られず困っています。
子どもが小さいから働けない
「子どもがまだ小さいので、働けない……」という悩みを抱えている人も、少なくはないでしょう。
相談者さんも「子どもがまだ小さいので働きに出られない」と考えていらっしゃるようです。
しかし、全国的な統計調査をまず確認してみましょう。
厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査の概況」によれば、児童のいる世帯における母の仕事の状況をみると、「仕事あり」の割合は 72.4%と上昇傾向となっています。
【児童のいる世帯における母の仕事の状況の年次推移】
2015年 仕事あり68.1% 仕事なし 31.9%
2016年 仕事あり67.2% 仕事なし 32.8%
2017年 仕事あり70.8% 仕事なし 29.2%
2018年 仕事あり72.2% 仕事なし 27.8%
2019年 仕事あり72.4% 仕事なし 27.6%
出典元:厚生労働省(2019年国民生活基礎調査の概況)
同調査の「2019年の児童のいる世帯における母の仕事の状況」によれば、正規の職員・従業員は26.2%、非正規の職員・従業員37.8%、その他8.5%であることから、育児をしながら働く女性のうち、正社員で働く女性が25%以上いることがわかります。
ただし、「末子の年齢階級別」にみた母の仕事の状況によると、仕事なしの母の数は、末子が0歳の時が最も高く半数近くに上ります。しかし、末子の年齢が上がるにつれて仕事なしの母の数は下がっていき、末子が5歳になる頃から仕事なしの母の数は30%を下回っていきます。
非正規の職員・従業員として働く母の数も、子どもの年齢とともに伸びている傾向があることから、「お子さんが小さくて働けない」というお母さんも、子どもが小学校に入学する年齢前後から、パートなどで仕事を始める人が多いようです。
まず、働けない期間を考えて
お子さんが大きくなるにつれて、仕事を始めるお母さんは増えていきますが、お子さんの年齢差によって、思うように働けないと感じる時期の長さは変わっていきます。
上記の調査を参考に考えると、末子が5歳になるまで働かないという選択をした場合、一人っ子なら5年間の休職で済みます。
しかし、2人兄弟、3人兄弟と子どもの数が多くなる場合や、兄弟の年齢差があいている場合を考慮すると、人によってはかなりの長期間「働けないと感じる時期」が続くことになります。
子どもが小さくて働けないと感じるなら、何歳までは休職したい、あるいは休職せざるを得ないと感じているのか「働けないと感じる期間」を考えましょう。
働かないことでの損失
理由があって働けない人は別ですが、月8万円、年間96万円をパートで働いた場合で考えてみましょう。
【パートタイムで就業した場合の収入】
30歳から60歳まで30年間パートタイムで働く 96万円×30年=2880万円
40歳から60歳まで20年間パートタイムで働く 96万円×20年=1920万円
50歳から60歳まで10年間パートタイムで働く 96万円×10年=960万円
半分は自分の小遣いに使ったとしても、30年間パートタイムで働くだけで1440万円が家計に残ることになります。もちろん、正社員などで働いた場合はさらに残るお金が増えることになります。
最近は、幼児教育の無償化などもありますから、以前のような「働いても、子どもの保育料でほとんどの給料がなくなる」という悩みは少なくなってきています。
働けない理由と、働けない期間を見定めて
今回の相談者さんは、「子どもが小さいから働けない」と感じているようですが、最近は、子どもがいても働いているお母さんが昔よりずっと増えています。
生活が苦しいのであれば、お子さんの状況を見ながら、働いて収入を増やすことを視野に入れるのもよいでしょう。
もちろん、どうしても働けないと感じるのであれば、無理をする必要はありません。現在の家計の内容と、働けないと感じる期間などを考慮した上で、相談者さんにとってベストな方法をぜひ考えてみてください。