2500年前から人々は知っていた!オーラルケアの必要性
こちらの写真は寺院や神社の参道脇に見られる「手水舎(ちょうずや・ちょうじゅしゃ)」。ご存じの通り、手と口を清めて参拝に備える場所です。神奈川歯科大学副学長の槻木恵一教授によると、この手洗い口すすぎの習慣は、第10代・崇神天皇の時代に疫病が流行したことから、人が集まるところ(神社など)に手水舎を設けるようになり、その後定着した……というルーツがあるそうです。
すでに専門的口腔ケアでインフルエンザ罹患率が差がることは明らかになっていますが、新型コロナ感染症の予防にも有効なのでは?と、多くの研究者が分析を進めているところです。
コロナ禍で悪化が心配 口腔内環境
ところが、コロナ禍で在宅リモートワークが基本になると、お口の中の衛生状態は、悪化が懸念されます。この1つ目の原因は「いつでも手の届くところに食べ物がある」生活になったこと。自宅にいるため間食の回数が増え、食後に歯みがきをしていても、「またすぐに食べちゃった!」という経験はありませんか?……まさに「リモートあるある」です。そして2つ目は「感染リスクが心配で歯科医院へ通う回数が減っている」ということが、ライオン株式会社の調査により明らかになりました。
歯みがきでウイルス減少の可能性も
槻木教授によると「PCR検査では、物理的除去により ウイルス量が減るため、検査前に歯みがきをしないように指導されます。」とのこと。このことは歯みがきで口腔内のウイルスが減少する可能性を意味します。
しっかり歯みがき!でも、心配なのは飛沫…
新型コロナウイルスの感染源には、唾液飛沫が挙げられていますが、職場や学校での歯みがき時にも、飛沫が飛んでしまうのではないかと不安に感じる人も多いと思います。(公社)日本歯科医師会は、新しい生活様式における歯みがきマナーとして飛沫を考慮した「口を閉じた歯みがき」を紹介しています。口を閉じてみがくのは、意外と難しい部分があります。
「口を閉じて磨くコツ」とは?
それでは、飛沫が防止できる「口を閉じて磨くコツ」を紹介します。
まず最初に前歯の外側の磨き方は、唇をとがらせるようにして「ウ」と発音するときのようにします。そして、歯ブラシを唇で覆うようにして、口を閉じます。こうすると、簡単に前歯が磨けて、しかもほとんど飛沫が発生しません。(ライオン株式会社調べ)
前歯、奥歯ともに力を入れずに、唇を軽く閉じるようにするのがコツです。
次に上下の前歯の裏側の磨き方についてです。まず歯ブラシの「毛先」について説明します。
ブラシ部分(ヘッド部)の先端を「つま先」ハンドルに近い部分を「かかと」とすると、上下の前歯の裏を口を閉じて磨くときには、歯ブラシを縦に持ち「かかと」を使って磨きます。
口を閉じて磨くには、ネック部分が細く、ヘッド部分が薄い歯ブラシを選ぶとみがきやすいようです。
動画でも見てみましょう!
やってみました!
とても説明が分かりやすかったので、実際にやってみたところ、あまりにカンタン過ぎて「どうして今まで口を開いたまま歯磨きをしていたんだろう?」と思ったほどです。不自由さも無く、いつもどおりに歯磨きができました。
私の歯ブラシは、偶然にもライオンのシステマ。このタイプはとてもヘッド部分が薄いので、口を閉じて磨きやすいと感じました。(同じ理由でクリニカも適しているそうです)そしてもう1つ、飛沫が飛ばないため、洗面所の鏡が汚れない!というメリットもあり、見逃せません!
ぜひ、飛沫予防のために「口を閉じた歯磨き」をマスターしてみてくださいね。
まとめ
・力を入れずに、唇を軽く閉じるようにする
・前歯の外側は口をつぼめて「ウ」の口にする(唇で歯ブラシを覆う)
・前歯の裏側は、歯ブラシを立てて磨く場合は、かかとを使ってみがく
・歯ブラシは、ネック部分が細く、ヘッド部分が薄い歯ブラシがみがきやすい
・無意識だと口が開いてしまうこともあるため、口を閉じる意識をする
【参考資料】
2021年6月9日 ライオンメディアセミナー より
「感染症とともに暮らす時代のオーラルケアについて」
神奈川歯科大学 副学長 槻木恵一先生
「コロナ禍での歯みがきに対する実態調査と口を閉じてみがくコツ」
公益財団法人ライオン歯科衛生研究所 歯科衛生士 福田 真紀さん