貯金はいくらすればいい?
今回のご相談者さんは、「具体的にいくら貯金すればいいか分からない」と感じているご様子です。ご相談内容を見てみましょう。
将来何にいくらかかるのか見通しが分からず、具体的な貯金額が定まりません。数年後の家計がどうなるかもわからず、漠然と貯めているだけなので、いくら貯金をしたらいいのか分からず悩んでいます。
貯金をいくら貯めればいいか分からない
「貯金を始めたけれど、いくら貯めればいいか分からない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
貯金をすることで、一時的なリスクをカバーするだけでなく、生涯のリスクを軽減することができます。
しかし、目の前の支払いのために必要な貯金額は何となく把握できても、生涯にわたって必要な貯金額となると想像もつかないという人が大半です。
具体的な貯金額を決める方法
目標の貯金額を決める方法は、いくつかあります。
- 住宅に関する貯蓄
- 教育費に関する貯蓄
- 老後に関する貯蓄
将来必要になると考えられる貯蓄をまずは洗いだしてみましょう。
住宅に関する貯蓄
住宅に関する貯蓄は、持ち家であれば具体的な事例を用いて計算できます。
一般的に、住宅の頭金は1割から2割と言われますから、仮に3500万円で住宅を購入する場合、350万円~700万円の頭金を用意すると仮定します。
一戸建ての修繕費は、不動産情報サービスの「アットホーム」調べ(2016年)によると、「平均築年数35.8年で修繕費の平均総額は556万円」となっています。マンションであっても専有部の修繕費は必要になるので、この同額ほどを見積もっておくといいでしょう。
教育費に関する貯蓄
子どもの教育費については、高校までの学費は貯蓄を崩さなくても支払える範囲で賄い、大学の費用のみを貯蓄から支払うというスタイルが一般的です。
文部科学省の「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によれば、私立大学の学費は133万6,033円(授業料90万4,146円、入学金(初年度)24万9,985円 施設整備費18万1,902円)です。
入学金は初年度のみですから、大学2年生から4年生の費用を108万6,048円と考えると、私立大学に進学した場合、4年間で459万4,177円となります。仮に子どもが2人いると仮定すると、918万8,354円となります。
老後に関する貯蓄
老後の貯蓄に関しては、2019年6月に金融庁審議会 市場ワーキング・グループがまとめた「高齢社会における資産形成・管理」で、老後30年で2,000万円の貯蓄の取り崩しが必要になると報告されたことから「老後2,000万円問題」として大きく取り上げられたのは、記憶に新しいところでしょう。
報告書によれば、高齢夫婦 無職世帯では、実収入から実支出を引くと毎月約5万5千円の赤字となっており、5万5千円×12ヵ月×30年で1,980万円となることから、おおよそ2,000万円の貯蓄が必要と算出されていると考えられます。
しかし、最新の総務省の2020年の家計調査によれば、実収入額25万7,763円に対し、実支出額は25万9,304円、赤字額は1,541円になっています。
同調査をもとにすると、老後に必要な貯蓄額は、月1,541円×12ヵ月×30年=55万4,760円となり、大まかに考えると年金の不足分としての貯蓄はほとんど必要ないことになります。ただし、2020年の家計調査は新型コロナウイルスや、10万円の特別定額給付金などの影響もあると考えられますので、今後も同じような結果が出るとは限りません。
「年金は当てにならない」と感じている若者世代からすると、この統計の差をどのようにとらえればよいのかとまどうところでしょう。
ここでは、仮に以前の統計をもとに、老後に2,000万円の貯蓄が必要と算出したままで進めてみましょう。