自由研究は数少ない「アウトプット」型の学び
子どもの夏休みの宿題のなかでも、とくに自由研究をサポートするのが大変という声を耳にします。
学校の授業は、教科書の内容を習得することが中心です。小学生から中高生まで、学びはインプット過多で、アウトプット不足の生活が続きます。自由研究は突然やってくる「アウトプット」の学びであり、それで戸惑う子どもが多いのかもしれません。
私たちの学習塾では、「アウトプット」しながら学ぶことが当たり前になるような、オリジナルの授業をお届けしています。ロゴデザイナーになりきって図形を使ってロゴマークを作ったり、新聞記者になりきって新聞を書いたり。気になるテーマを自分で探して、調べて、それを形にする経験を積んでいきます。
ハマって次々に作業を進めていく子もいれば、どうしていいのかわからずに手が止まってしまう子もいます。
- 自分を表現するのが恥ずかしい
- アイデアが思い浮かばない
- 正解思考が強く、どうしていいのかわからない
つまづく理由はさまざま。アイデアが思い浮かばない子には、考え方を具体的に伝えたり、恥ずかしい子・正解思考が強い子には、どんなことを言ってもいい雰囲気づくりをしたりしてサポートします。
自由研究をサポートするときは
自由研究でも、まずはお子さんの苦手なポイントを紐解くことから始めてみてはいかがでしょうか? サポートのポイントをまとめました。
子どもが抱いている固定観念を取っ払う
もしかしたら昨年友達の自由研究に圧倒されて、「壮大なものを作らなきゃ!」と思い込んでいるのかもしれません。または、「実験じゃなきゃダメ」「研究しなきゃ」という先入観があるのかも。まずはこうした固定観念を取っ払って、自由にアイデアを考えられるようにしましょう。
「ミニ自由研究」をやってみる
例えば、書籍『「勉強しなさい」より「一緒にゲームしない?」』の中では、「最高の目玉焼き発見ロード」という親子ゲームが紹介されています。目玉焼きを作るときの火の強さ、火を入れる時間、油の種類、水を入れる・入れない、ふたをする・しないなどの条件を変えながら、自分にとって最高の目玉焼きを追求するというゲームです。
いきなり自由研究に取り組むのはハードルが高いようなら、まずは「ミニ自由研究」として、日々の生活のなかでちょっとずつ「探究するクセ」をつけることから始めてみましょう。テーマによっては、やったことを書いてまとめるだけで、立派な自由研究になるかもしれません。
どうしても子どもがやる気にならないときは
保護者が子どもにていねいにアプローチしても、どうしても子どものやる気が出ないことはあると思います。そういうときは、仕組みや環境に働きかけるのもひとつの方法です。
スクールに通うある保護者は、子どもに読んでほしい本は、何もいわずにリビングやダイニングなどにそっと置くようにしているといいます。そして、ときどきその本を自分で手に取って、読んでいる姿を見せるのだそう。その姿に、子どもは「あれなんだろう?」と興味を持ち、結果的に自分から本を読むのだそうです。
こうした仕組み・環境への働きかけは、子どもに「やらされている」と思わせることなく、主体性を育むことにつながります。また、直接的なアプローチに比べると、保護者の気持ちも楽になるはずです。 お子さんの興味のあるものを参考資料としてそっと置いておくだけでも、何かが変わるかもしれませんよ!
教えてくれたのは:岩田拓真さん
株式会社エイスクール代表取締役兼クリエイティブ・ディレクター
成績アップや受験合格のためではなく、子どもの興味関心を広げて深める「探究学習」に特化した学習塾「a.school(エイスクール)」を2014年に開校(東京・本郷)。開発した探究学習プログラム「なりきりラボ」「おしごと算数」はグッドデザイン賞を受賞。これらのプログラムを、全国50以上のパートナー校に提供中。企業・行政とのコラボレーションも多数あり、新しい学びを作り出す次世代型教育企業として注目を浴びる。著書に『「勉強しなさい」より「一緒にゲームしない?」』がある。
もっと知りたい方は『「勉強しなさい」より「一緒にゲームしない?」』をチェック
『「勉強しなさい」より「一緒にゲームしない?」』(主婦と生活社)
著者:岩田拓真
定価:1650円(税込み)
「学び欲」を育てる親子ゲーム30個や、夏休みの自由研究に取り組むコツなどを収録。