夏休みの宿題は手伝う? 手伝わない?
保護者が夏休みの宿題をどうサポートするのか、そもそもサポートするのか、しないのか、悩ましい問題ですよね。
個人的には、夏休みの宿題をやらないという選択肢もアリだと思っています。子どもが宿題をやらず、結果的に先生に怒られたとしても、それを含めて「学び」だからです。とはいえ、そこまで腹を括れない! という保護者のお気持ちもよくわかります。
結論からいうと、夏休みの宿題をすべて子ども(特に低学年)だけで管理・実行することは、なかなかハードルが高いと思います。小学校高学年から中学生へと成長していくなかで、子どもは少しずつ時間の使い方をコントロールできるようになります。まずは1日の過ごし方をマネジメントするようになり、それが1週間になり……と、自己管理できる期間が伸びていきます。
夏休みの宿題は、1ヵ月以上のスパンで取り組むもの。子どもにとってはかなりの長期戦です。その子の力に応じてサポートしましょう。たとえば、小学校1年生であれば1日ごと、ある程度まかせられる学年なら1週間ごとに目標を立てて、定期的に進み具合を確認してみてはいかがでしょうか?
サポートするときのコツとは?
実際に目標を立てるときのコツを4つご紹介します。
1:目標は、実力の「2割増し」に設定する
目標は、その子ができることの「2割増し」を目安にするのがおすすめです。がんばってチャレンジすれば成功できる! というレベル感がポイント。壁にぶつかったとき、うまくいかないときは、目標が高すぎるのかもしれないので、見直してみましょう。
2:「余白」を作る
実力の「2割増し」の目標設定がおすすめですが、毎日続けるのは大変です。目一杯詰まったスケジュールでは、自由な時間がなくなり、ワクワクしたり、夢中になったり、探究する心が生まれにくくなったりします。
「余白」があると、子どもたちは自分から試行錯誤するようになり、それが後々学びにつながります。子どものやる気を引き出すために、「余白」を作りましょう。
3:「ここからは口出ししない」と保護者が決める
子どもに「余白」を与えるためには、保護者が管理・干渉しすぎないことが肝心です。ここまでは口を出す、ここからは見守るというラインをあらかじめ決めておきましょう。目標設定はいっしょに考えるけど実行中は口出ししない、週1日は口出ししない日を作るなど、線引きできるといいですね。
丸1日口出ししないのが難しいのなら、数十分でもOK! 達成できたら自分に「ご褒美」をあげるなど、保護者も楽しんで目標に取り組めるといいですね。
4:進捗確認のときに「怒らない」
保護者が「宿題を終わらせないと!」と焦っていると、どうしても強い声かけになってしまいます。「勉強しなさい!」が逆効果なワケ。積極的に勉強する子に変わる“声かけのコツ” でも紹介したように、子どもの自主性を育むには、「〜はどうかな?」といった質問・提案型のフラットな声かけが効果的です。思うように進んでいなくても、フラットな姿勢で接するよう心がけましょう。
ご紹介したポイントのなかでも、「余白」を作ることはとくに大切です。
以前、私たちの学習塾『エイスクール』に通う子どもたちに、「エイスクールってどんなところ?」と尋ねるアンケート調査を行いました。圧倒的に多かった答えが、「自由」。そんなに自由を求めてスクールにきているのかと驚きましたし、裏を返せば、子どもたちは日常生活や学校生活に「自由」を感じられていないということ。だからこそ、意識的に「余白」を作ることが大切だとつくづく感じています。
家族みんなで夏休みの目標を立てよう!
「夏休み目標すごろく」を作って、家族全員で競い合うのもおすすめです。
まずは家族それぞれの目標を設定します。子どもなら「夏休みの宿題」、大人なら「ダイエット」など、取り組むテーマを決めます。
次に、子どもはプリントを1枚やったら1コマ進める、お母さんは筋トレを5分やったら1コマ進めるなど、コマが進む仕組みを作ります。そして、すごろくを作って競争するのです。
宿題の進み具合を「見える化」できるうえに、ゲームにすることで「追いつこう」「抜かれたくない」という気持ちが自然と生まれ、子どものやる気が湧いてくるはずです。
外側から子どもを見ているとつい「管理」してしまいたくなりますが、いっしょにゲームをすれば、ゴールをめざして楽しく競い合う「仲間」になります。
「私はこんなに進んでるけど、お母さん全然進んでないじゃない!」
なんてやりとりをしながら、フラットな親子関係につながっていくといいですね!
教えてくれたのは:岩田拓真さん
株式会社エイスクール代表取締役兼クリエイティブ・ディレクター
成績アップや受験合格のためではなく、子どもの興味関心を広げて深める「探究学習」に特化した学習塾「a.school(エイスクール)」を2014年に開校(東京・本郷)。開発した探究学習プログラム「なりきりラボ」「おしごと算数」はグッドデザイン賞を受賞。これらのプログラムを、全国50以上のパートナー校に提供中。企業・行政とのコラボレーションも多数あり、新しい学びを作り出す次世代型教育企業として注目を浴びる。著書に『「勉強しなさい」より「一緒にゲームしない?」』がある。
もっと知りたい方は『「勉強しなさい」より「一緒にゲームしない?」』をチェック
『「勉強しなさい」より「一緒にゲームしない?」』(主婦と生活社)
著者:岩田拓真
定価:1650円(税込み)
「学び欲」を育てる親子ゲーム30個や、夏休みの自由研究に取り組むコツなどを収録。