教えてくれたのは……永松茂久さん
90万部突破のベストセラーとなった『人は話し方が9割』の著者、永松茂久さんの最新著書『人は聞き方が9割』から、話が苦手な人でもすぐ実践できる、コミュニケーションの上達方法を教えていただきました。
『人は聞き方が9割』(株式会社すばる舎)
著者:永松茂久
価格:1,540円(税込)
話すことより、聞くことが大事
仕事や子どもの学校関係など、大人になると初対面の人と良好なコミュニケーションを取らなければならない機会も増えてきます。
そんなとき、一生懸命喋りすぎて疲れてしまったり、反対に言いたいことが言えずに後悔したりした経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
でも、コミュニケーションの達人である永松茂久さんは「話なんか苦手でいい」とおっしゃいます。
「人は本来話したい生き物なんです。だから『話し上手な人』よりも、『話させ上手な人』を求めているのです」(永松さん)
話し方で人に好かれるには、とても高度な観察眼やテクニックが必要です。でも「聞く」ことだったら……話し下手な人でも簡単にできそうです。
まずは「嫌われない」ことが大事
その「聞き方」を教えてもらう前に、知っておきたいことがあります。それは、コミュニケーション上手になるには、まず「嫌われない」ことが第一条件だということ。
「人は誰しも、なんらかの不安を抱えています。だから、相手に好かれようとたくさん話すことより、相手の不安をなくしていくことの方が、先なんです」(永松さん)
この人は安心できる、話しても大丈夫かも、と相手に思ってもらうことが大切とのこと。
こう考えると、冒頭のように自己紹介で「私は人見知りです」と宣言するのは、おすすめできません。お互い初対面なら、相手も自分と同じように緊張や警戒心を抱いているもの。そこにこのセリフを聞いたら……相手の不安感を無駄にあおり、親交を深めるチャンスをムダにしてしまうかもしれません。
相手に安心感を与えるには?
人は安心感をくれる人を好きになる、と永松さんはおっしゃいます。
では一体どうしたら、相手に安心感を与えることができるのでしょうか?
「リアクション美人になることです。具体的には、相手の話に『うなずく(肯く)』こと。読んで字の如く、肯き=肯定です。あなたがうなずくことで、相手を肯定していることが伝わり、安心感を与えることができます」(永松さん)
人は安心すると、体がリラックスし脳が活性化して、本来持っている自分自身の力を発揮できるようになるのだそう。だからこそ、人に安心感を与える人になるということが、人に好かれる早道になるのです。
いつも全肯定してくれる話し相手がいたら、好きな人・信頼できる人リストに、今すぐ追加したくなりますね!
最強の共感ワードとは
うなずき上手なリアクション美人になって、相手に安心感を与えたら、次は相手が心を開いてくれる、キラーワードがあります。
「人は誰でも自分の気持ちをわかってほしいし、共感してほしい生き物です。その共感を与えることができるのが『そうだよね、わかるよ』という言葉なんです」(永松さん)
とはいえ、相手の話す内容に、全て共感できるわけではありません。そんなとき、否定の言葉を使わず、相手に心を開いてもらうには、どうしたらいいのでしょうか?
「相手の話の『内容』に、共感できないことはあるでしょう。でも、共感するのは内容ではなく、相手の『感情』なんです」(永松さん)
相手の心の扉を徐々にひらいていく言葉、それは「そうだよね、わかるよ」という共感なのです。
例えば……Aさんの「仕事が忙しすぎて、大変でした……」という言葉に対して、「内容を聞く人」は、「忙しいって、どれくらい? 段取りはできていたの?」と答えます。
一方で「感情を聞く人」は「そうだよね、わかるよ。残業続いてたもんね」と相手に寄り添います。
Aさんが、どちらに心を開くかは、一目瞭然! コミュニケーション下手な人ほど、つい良かれと思ってアドバイスや意見を言いたくなりがちです。でも、そこはグッと堪えて、まずは感情に寄り添うことを習慣にしましょう。