どうして片付けられないの?
何度言っても片付けない、気づいたら途中で遊び始めている、すぐに物を失くしてしまう。結局あとから整理整頓するのはママの役目なんてことも多いですよね。
どうして片付けられないのか、その理由は、子どもの怠惰や甘えではないんです。片付けを難しいと感じてしまう理由、やる気に結びつかない理由を見ていきましょう。
- そもそも「しまう」「片付ける」ことに興味がない
- 元にあった場所を覚えていない
- 片づけ方のルールがわからない
- いやな片付けを先送りにしてしまう
- 空間把握能力(3次元で見る力)に苦手さがある
- ひとつのことにこだわりすぎてしまう
- ママとパパの片付けルールが違うことにより混乱している etc
特に、発達の特性が強いお子さんの中には、視覚処理という「目で見て考える力」の苦手さから、片付けが上手くできない子もいます。
「子どもが片付けをする」ということは、
- 遊びたい気持ちを我慢して切り替える
- しまってあった場所を思い出す
- 次に使いやすいようにしまう
ということが含まれていて、簡単なようで難しいんです。
今日からできる!子どものお片付け改善案
一緒に使うもの同士でまとめる
収納の省スペースを考えて、ペンは引き出し、ノートは本棚、かさばるものは別の部屋に置いておいて……と、分類している人は多いんじゃないでしょうか。ですが、しまう場所を忘れてしまう子や、親が決めた分類がわかっていない子は、「そこらへんに置きっぱなし」になりやすいんです。
そんなときは、用途に分けて分類しなおすのがコツです。
「色鉛筆と絵具とクレヨンは引き出し、画用紙は本棚、絵具に使うバケツは洗面所」
ではなく……。
「色鉛筆とノートは机の引き出し、クレヨンと画用紙は本棚、絵具とバケツは洗面台」
一緒に使うものを一緒の場所に入れるという視点で分類し、子ども共有してみてください。
使い終わる場所の近くに片付ける場所を作る
玄関に靴下が脱ぎっぱなし、宿題をやったあと机にだしっぱなしなんて子も多いですよね。
靴下を洗面所まで持っていくことや、宿題を鞄にしまうことをついつい忘れてしまい、目先のことに注意が向いてしまうんです。
そういう場合は、行動を先読みして対策しておくことが鍵になるんです。
- 玄関に洗濯かごを置いておく
- 家の中でも、教科書や文房具は鞄に入れたまま移動する
入れ物を近づけることで、物をしまう癖が自然と身についてきます。
好きな色や記号で分類する
時間割に合わせて準備できない、提出物をすぐ失くすなどの悩みも多いと思います。
物の用途や分類が一目でわかりにくい、大切なのか、そうじゃないのかがわからないという子も多いんです。
そんなときは、子どもの好きな色や数字、記号、キャラクターで分類するのがおすすめです。
- 月曜日に使うものは数字の1
- 算数に関係するものは☆
- すぐに提出しないといけないものは赤シール
- もう終わったことにはクマのマーク
本人と一緒にサインを決めることがポイントです。
見えるように片付ける
棚の奥や机の下、引き出しの中がぐちゃぐちゃで手が付けられない……なんてこともありますよね。
「見えない場所は気にならない」という子も多いんです。
そういう場合は、あえて「見える化」すると、片付けやすくなるんです。
- 文房具は透明な袋に入れて机の上など見えるところに片付けスペースを作る
- 気づいたら散らかっている棚の扉をはずす
- 外からも中身が確認できるカゴにおもちゃをしまう
「見られていることをやる気スイッチにすること」がポイントです。
すぐ失くしてしまう、見つかりにくい人は立てる・吊るす
教科書が積み重なっていて大切なプリントが見つからない、引き出しの奥にペンやメモがぐちゃぐちゃという子も多いんじゃないでしょうか。
片付けが雑に見える子の多くは、物を横にして置いています。
立てる・吊るす癖を身に着けていくと、物を見失うことが減り、整理整頓が上手になっていきます。
- 教科書はブックスタンドを使って立てる
- プリントはクリアポケットに入れて壁に吊るす
物を、視線の高さに合わせることがポイントです。
できないのではなく、わからない・やる気がでない
片付けや整理整頓をしない子は、怠惰や甘えに見えがちですが、コツがわからない、わからないからやる気がでない子も多いんです。
”怒る片付け”から、”褒める片付け”に変えていけるといいですよね。ぜひ、子どもの視点に合わせた片付け術を、一度試してみてください。
参考文献
・「学習につまずく子どもの見る力‐視力がよいのに見る力が弱い原因とその支援」奥村智人・若宮英司(著)
・玉井浩(監修) 明治図書出版・「発達障害の子どもの視知覚認識問題への対処法」リサAカーツ(著)、川端秀仁(監修)、泉流星(翻訳) 東京書籍