変化する社会における、「当然のストレス」
マスクをせず歩く日々は懐かしく、パーテーション越しに食事をする光景もすっかり慣れてきましたよね。
この2年、世界中で「Withコロナ」の生活様式が求められてきました。
リモートワークが普及し、企業の重要会議も大学の講義もオンラインで行われるようになりました。主要国の首脳会談ですら、オンラインで行われているのが現代社会です。
ライフスタイルが変化すると、多くの人には「ストレス」がかかります。
・コロナにかかり、日常が変わる
・通勤からリモートワークに変わる
・家庭内の経済状態が変わる
・家族で過ごす時間の多さが変わる
・夫婦どちらかの価値観が変わる
「自分は負担にならなかった」という人もいますよね。
むしろ便利になり、2年前の生活には戻りたくない人も多いのでは。
厚生労働省は、「ストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態」であると定義しています。
環境の変化によって「どのくらい緊張を感じるか」は、人それぞれなのです。
”新しい生活様式”への変化を負担に感じてきた人が多いのも、一つの見解だと考えます。
では、子どもの場合はどうでしょうか。
子どもの生活における「変化」とは
突然の休校や学校行事の中止。「黙食」だから、給食中に話してはいけない。休日に友達と遊びに行くにしても「密」を避けた行動を。
社会と大人の判断によって推奨されてきた「新しい生活様式」は子どもにどんな変化を与えてきたのでしょうか。
「スクリーンタイム」の変化
ゲームやスマートフォン、iPadを持つ子は年々右肩上がりに推移してきましたが、コロナ禍の「ステイホーム」によって、”持たせざるを得なくなった”家庭も多いのでは。
授業のみならず、塾や習い事もオンライン化が始まりました。
ピアノやダンス、習字まで、オンライン受講が可能となっているようです。
最新の情報がつまった「魅力的なタブレット」、”誰か”と「繋がるためのスマホ」を手放せなくなっているお子さんも増えてきています。
子どもとスクリーンをどのように向き合わせていくのか。
大人が望む使用法と、子どもの利用方法に、相違が生じるのは当然です。
だからこそ必要なのは、「用法用量を話し合う時間」だと感じます。
「就寝時刻」の変化
国立成育医療研究センターの統計では、小学校高学年から高校生の3割以上が、「寝る時間が遅くなった」「寝る時間が不規則になった」ことが示されています。
眠れない、もしくは寝たくないのは、なぜなのでしょうか。
- 布団に入っても寝付けない。
- そもそも眠ることが嫌になっている。
- 朝決まった時間に起きる意味を見出せない。
先に挙げた”スクリーンタイムの延長”も理由のひとつですよね。
もう少し知りたい・今友達との会話を抜けられない・まだ誰かと繋がっていたい。
そんな思いもあるのでは。
スマホが「自分を安心させるためのツール」になっていると、眠る直前まで一緒にいないと不安になるのかもしれません。
就寝の背後に隠れている”不安”や”孤独”に目を向けるのが大切だと考えます。
「対人関係」の変化
家族・友達・先生や周りの人と話す時間についてはどうでしょうか。
小学生から高校生までの約半数が、「大人に話しかけにくくなった」と感じているという見解も示されています。
どうして、「話しかけにくさ」が生じているのでしょうか。
- マスクの下で何を考えているのかわからない。
- 学校でご飯を食べているときに話したら怒られる。
- コロナ感染による差別やいじめを身近にみている。
- ”大変なのはみんな一緒”といわれる気がする。
- 大人も大人で負担を感じているのがわかる。
周囲をよく見ている子・自分の気持ちを打ち明けにくい子・言葉にするのが苦手な子は、特に大人に話しかけにくいのかも。
「困っているなら教えて」と、子どもの悩みの種や原因を早く知りたい気持ちは当然ありますよね。
ただ、必要なのは日常的に心の扉をノックし続ける関わりだと思います。
楽しんでいる遊び、悲しかった一言、嬉しかったやり取り、退屈に感じている時間。
子どもの日常では、どんな気持ちも大切です。
どれか一つをピックアップするのではなく、どの側面も大切にしていけるとよいと思います。
変わったこと・変えてはいけないこと
ニュースでは、他国の戦場が映るかと思えば、痛ましい事故が報道される。そして気づけば違う芸能ニュースに。
「コロナ収束」を待たずして、新たな課題が世界に降りかかっているとも感じます。
社会に対して受け身にならざるを得ない子どもの声を、どんな形で拾っていけばよいのでしょうか。
気持ちに耳を傾け続ける、思いを受け止め続ける、傍に居続ける。
「続ける」関わりが、大切なんだと思います。
(参考資料)
国立成育医療研究センター コロナ×こども本部(2021.8.5)