スマホ課金に電子マネー。トラブルを未然に防ぐために「小学生から始めたいお金の教育」

家族・人間関係

stock.adobe.com

2022.10.11

臨床心理士・公認心理師のyukoです。スマホやオンラインゲームの課金トラブルや、友達同士でお金の貸し借りをしてしまうなど、子どもの金銭トラブルは意外と身近に潜んでいます。家庭によって金銭感覚が異なったり、世代が違うとお金の使用方法も変化があり、お金について何をどんな風に子どもへ伝えていけばよいのか迷う親御さんも多いよう。トラブルを未然に防ぐため、そしてお金を適切に扱う力を養うために必要な「お金の教育」を考えていきます。

広告

子どもに必要な「お金の教育」とは?

最近はタブレットやスマホ、電子マネーが身近なものとなり、現金以外の使用方法も子どもに伝えていく必要がでてきました。
オンラインゲームでの課金トラブルが問題となったり、スマホでチェーンメールにアクセスしてしまうなど、ネットが普及したことによるトラブルも数年前から話題になっていますよね。

トラブルを未然に防ぐために必要な「お金の教育」にはどのようなものがあるのでしょうか。

お金を扱い始めたときから伝えたい「お金との付き合い方」について

お小遣いの管理について

必要な物があるときにお金を渡したり、親が代わりに購入する家庭もありますが、お小遣い制ならではのメリットもあります。
ひとつは子どもがお小遣いの範囲でやりくりできるように考えたり、金銭感覚を身につけやすい点です。
そしてもうひとつは、親が子どものお金の使い方を見られる点。もらったらすぐに使い切る子や、貯めてから使う子など、子どもの性格の一面をうかがえるんです。

お金の話がしやすくなり、大切さや使い方のコツを教える機会にもなります。

お金を子どもに渡す親出典:stock.adobe.com

スマホを使用しているお子さんの中には、お小遣い管理アプリを使いながら記録をつけている子も増えてきているようです。
目標金額を定めて貯金をするとキャラクターが成長したり、収支がグラフで見られるなど、子どもが興味を持ってお金の管理をできる機能を利用することもできるんです。

前借りはありかなしか、ゲームへの課金は許容するかなど、家庭内のルールを定めておくのが大切です。

お手伝いの報酬について

食事や洗濯物、おつかいなどのお手伝いで報酬としてお駄賃を渡している方もいるのではないでしょうか。
お手伝いを報酬制にする際には、メリットとデメリットを把握しておく必要があります。

家事を手伝う子ども出典:stock.adobe.com

メリットは、「仕事をすればお金がもらえる」認識を身につけられ、お手伝いへのモチベーションUPにも繋がること。
デメリットは「お金をもらえなければお手伝いをしない」と考えてしまう可能性があること。

より現実的・合理的に考えるのであれば報酬制、”お手伝い=家族のために行うボランティア”と考えるのであれば、「ありがとう」「どういたしまして」で終わらせるのがよいのではないでしょうか。

スマホでのトラブルについて

子どものゲーム課金トラブルに関する相談件数は年々増えており、トラブルの原因としては以下が挙げられています。

  • 保護者のアカウントを使用している
  • 決済時の暗証番号を設定していない
  • 決済完了メールに気づかない、メールが子どものスマホに届く
  • 子どもがお金を使っている感覚がない

また、チェーンメールを開いてしまったり、誘導されるまま情報を入力しているケースもあるようです。
保護者のアカウントで子どものアカウントを管理できるように設定したり、普段と違う画面がでてきたら開かないよう伝えておくなど、事前にトラブルが起こりうる可能性を共有しておくのがおすすめです。

親子出典:stock.adobe.com

友達との金銭やり取りについて

通学でお金や電子マネーを持ち歩いたり、お小遣いをもって子どもだけで遊びに行ったりすると、友達同士でお金の受け渡しをしてしまうときがあります。
お金の貸し借りは大人になっても慎重に行う必要があるもの。

子ども同士であっても、「奢ってあげる」「ついでに買ってくれない?」という些細なやり取りから友人関係のバランスが崩れてしまいやすくなります。

お金を自分で持ち始めたときから、人にお金を渡すことの危険性を伝え、迷ったときは親に相談するよう伝えておくのがよいと思います。
また、親同士の関係性も作っておけると、事前にいくら持たせるか話し合えたり、些細なトラブルが起きたときに共有できるのではないでしょうか。

一生関わっていくお金と慎重に付き合っていく

一生関わっていくお金だからこそ、価値や感覚をしっかりと身に着けていく必要があります。
トラブルを防ぎながら、大切に扱い慎重に関わっていくための「お金の教育」を行ってみてはいかがでしょうか。
 

参考資料
文部科学省「消費者教育実践の手引き」
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2012/06/29/1322474_01.pdf

独立行政法人国民生活センター「「スマホを渡しただけなのに‥」「家庭用ゲーム機でいつの間に‥」子どものオンラインゲーム課金のトラブルを防ぐには?
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20210812_2.html

広告

著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

気になるタグをチェック!

saitaとは
広告