教えてくれたのは……岩野上 幸生(いわのうえ こうせい)さん
東京で飲食店を複数手がける人気料理人。YouTubeチャンネルの「飲食店独立学校 /こうせい校長」では、さまざまな料理のテクニック、役立つ情報を発信。著書に『プロのコツでいつものごはんが100倍おいしくなるレシピ』(KADOKAWA)。
料理人直伝「肉汁100倍!超サクサクから揚げ」の作り方
から揚げは上手に作れると、とってもおいしいですよね。でも、家で作るとパサついたり、べちょっとしたりと、イマイチおいしくできない……という方も多いのでは?
そこで料理人のこうせいさんに、プロの技を使って、肉汁ジュワ~で、衣はサックサクのから揚げを作る方法を教わります。ポイントは6つ。この技を、ぜひ自分のものにしてください!
材料
〜ブライン液〜
- 鶏もも肉 2枚(500g)
- 水 1リットル
- 塩 20g
〜味付け〜
- 料理酒 15g
- みりん 10g
- 濃口醤油 10g
- 塩 1g
- 味の素 3g
- おろし生姜 10g
- ホワイトペッパー 少々
- ごま油 10g
〜衣〜
- 片栗粉 60g
- 米粉 20g
ポイント1:肉を切る前に、皮をていねいに伸ばしておく
1.鶏肉の下処理をします。
まず、ドリップは、臭みや雑味の原因になるので、しっかり拭き取ります。
2.口に残ったり、臭みの原因になったりするので、軟骨や血合、固い筋、骨などがないか、手で触って確認しながら取り除きます。
3.皮にかたよりが出ないよう、丁寧にのばしておきます。
4.鶏もも肉は真ん中あたりが薄く、左右が厚いので、厚さが均一になるよう、ちょうど真ん中あたりを切ります。
皮をていねいに伸ばしておくと、このようにキレイに切ることができます。
ポイント2:肉が水分を保てるよう、少し大きめに切る
5.火の入り方にムラが出ないよう、厚さを確認しながら、だいたい同じグラム数になるよう切り分けます。
このとき、小さく切りすぎると、肉の水分が蒸発しやすくなるので、少し大きめに切ります。肉を切るときは、そのつど、皮をのばしながら切りましょう。
ポイント3:ブライニングで肉をジューシーに
6.ブライン液を作ります。
ブライニングとは、ブライン液に肉を漬けこんで、肉をやわらかくし、ジューシーに仕上げる調理法。ちなみに、「ブライン」は英語で「塩水」という意味です。ボウルに水を入れ、塩を加えてよく混ぜていきます。この液に鶏肉を漬け込むことで、肉の保水力がアップします。
7.ブライン液に鶏肉を漬け込みます。
鶏肉を油で揚げるさいに、肉と油の温度差が大きすぎると、水分が抜けやすくなるので、冷蔵庫ではなく、常温でブライン液に漬け込みます。ただし、肉がいたんだりするのを防ぐために、20度~29度の温度になるよう保ってください。
液に肉を入れてラップをし、30分間おきます。時間がきたら、ザルに上げて、液を切ります。
8.調味液を作ります。
ボウルに、酒、みりん、しょうゆ、塩、味の素を入れます。
ショウガの皮をむき、すりおろして加えます。チューブでもOKですが、自分ですりおろすと、香りよく仕上がります。ごま油も加え、よく混ぜ合わせます。
9.調味液に鶏肉を漬け込みます。
味がぼやけるのを防ぐために、鶏肉の水分をよく拭き取ってから、調味液に入れていきます。
ホワイトペッパーもふります。味が入りやすいよう、しっかり揉みこみます。
味のムラができないよう、ぴたっとラップをかぶせ、異物が混入しないよう、さらに上からラップをかぶせます。この状態で、15分漬け込みます。
ポイント4:衣に米粉を加える
10.衣を作ります。
ボウルに片栗粉、米粉を入れて混ぜます。米粉を加えることで、から揚げがよりパリッと仕上がりますが、もし米粉がない場合は片栗粉だけでもOKです。
ポイント5:皮で身を包み込むようにして揚げる
11.鶏肉に衣をつけます。
余分な粉をはたきながら、粉のつけもれがないように確認しながら衣をつけていきます。
粉を付けたら、皮で身を包み込むようにします。この状態で揚げることで、身の水分の蒸発が抑えられ、皮はパリパリになります。これが、今回の最重要ポイントです!
12.次に、皮から身が飛び出さないように、つまようじで皮を止めていきます。
つまようじを刺すときは、身の方ではなく、皮の方にさすようにします。
つまようじを刺すさいに、衣のつき具合にムラが出てくるので、つまようじに気を付けながら、皮の方に余った衣をつけていきます。
ポイント6:2度揚げで、パリッパリジューシーに
13.鶏肉を油で揚げます。
最初に、160度の油で揚げていきます。まずは低温で7割くらい火を通します。
一度取り出して常温で5分おき、予熱で9割くらいまで火を通します。
最後に170度の油で揚げて、完全に火を通します。衣の色づき具合を確認しながら、揚げていきます。
揚げ終わったら、火傷しないようキッチンペーパーなどを使って、つまようじを抜いていきます。
中まで火が通っているか、確認してから、半分に切ってみます。肉汁があふれてきて、とてつもなくジューシーに仕上がっています。
これで完成!
鶏肉をしっかり下処理しているので、まったく臭みがありません。口に入れた瞬間皮がパリッとして、噛むほどに肉汁と旨味が口の中にあふれてきます。とてつもない満足感です。肉汁と水分がこれでもか、というほど肉の中に保たれています。
食感もしっとりしていて、本当においしく仕上がっています! 皆さんも、ぜひ試してみてください!