教えてくれたのは……岩野上 幸生(いわのうえ こうせい)さん
東京で飲食店を複数手がける人気料理人。YouTubeチャンネルの「飲食店独立学校 /こうせい校長」では、さまざまな料理のテクニック、役立つ情報を発信。著書に『プロのコツでいつものごはんが100倍おいしくなるレシピ』(KADOKAWA)。
卵とチーズだけで作る「貧乏人のパスタ」の作り方
このパスタは、こうせいさんオリジナルの料理ではなく、イタリアに本当にあるパスタだそう。「どんな家にも卵とチーズくらいはある」という意味で、「貧乏人のパスタ」と名付けられたとか。
目玉焼きを両面しっかり焼いているので、ベーコンみたいにカリカリ香ばしくなり、黄身のソース、粉チーズ、オリーブオイル、ブラックペッパーがしっかり絡み合っていなんともいえないおいしさに。こうせいさんが、「めちゃめちゃ簡単に作れて、度肝を抜かれるくらいうまい」と絶賛するレシピを紹介します!
材料
- マ・マーのスパゲッティ2mm……100g
〜パスタの茹で汁〜
- 水……3L
- 塩……24g (水に対して0.8%)
~味付け~
- ピュアオリーブオイル……20g
- 卵……2個
- 水……140g
- 茹で汁……60g
- 粉チーズ(パルミジャーノレッジャーノチーズ)……50g
- エキストラバージンオリーブオイル……適量
- ブラックペッパー……適量
家庭用のパスタは、テフロンダイスで作られたものが多く、マ・マーのパスタも、テフロンダイスで作られています。こちらが、今回使うパスタです。
ちなみに、太麺を使っているのは、濃厚なソースと粉チーズが絡みやすいのと、好みの問題です。
1.鍋に湯を沸かす
大きな鍋に、水と塩を入れて火に掛け、沸騰させます。
十分なお湯でゆでることで、パスタがくっつきにくくなるのに加え、パスタ同士が擦れにくく、ダメージを少なくゆでることができます。水に塩を入れてから火をつけるのは、お湯が爆発的に沸騰する「突沸」を防ぐためです。
2.卵を焼く
お湯を沸かしている間に、卵を焼きます。フライパンにピュアオリーブオイルを入れ、中火で熱します。
卵をボウルに割り入れてから、フライパンに移します。
こうすることにより、殻や血が混じっていないか確認できるとともに、卵を割り入れた時に油がはねて火傷をするリスクを抑えることができます。
表面が香ばしく色づいて、カリカリになるまで中火~強火で焼いたら、裏返して反対側も焼きます。
ちなみに、両面を焼く目玉焼きのことを「ターンオーバー」といいます。両面をしっかり焼くことによって、ベーコンのようにカリカリと香ばしくなり、味に深みが出ます。
両面このくらいしっかり焼き目がついたら、フライパンに傷がつかないよう、木製のへらなどで、目玉焼きを粗くちぎっていきます。
全体をほどよくちぎったら、水を加えておきます。
3.パスタをゆでる
お湯が沸いたら、パスタを袋の表示どおり、強火でゆでていきます。強火にする理由は、火が弱いと麺と麺がくっつきやすくなるからです。
パスタを湯に入れるときは、パスタをねじってから、パッと手を放すようにすると、パスタがバラバラになって、麺がくっつきにくくなります。
はみ出したパスタを菜箸などでやさしくお湯につけたら、袋に表示されているゆで時間のとおり、ゆでます。
通常、2mmくらいの太さの麺だと、ゆで時間は最低10分以上はかかりますが、マ・マーのこのパスタは、6分という短さになっています。ゆで始めは、麺がくっつきやすいので、パスタが折れないよう、優しくかき混ぜ、ゆでていきます。
4.卵のソースを作る
麺をゆでている間に、ゆで汁を卵を焼いたフライパンに加え、火に掛けます。
ゆで汁には、小麦粉のデンプンとタンパク質が含まれています。デンプンは水を含ませて加熱すると、のり状になってトロミがでます。これを「糊化」といいます。このトロミがソースに加わることで、味が絡みやすくなります。
また、タンパク質は水と油それぞれに馴染みやすいので、水と油の仲介役となって、ソースが乳化(水と油が一体化してとろみが出てコクがでたりすること)しやすくなります。粗く黄身を崩しながら、ソースに馴染ませたら、いったん火を止めます。
5.パスタとソースをあえる
パスタがゆであがったら、麺をざるに上げ、お湯を切ってから、ソースの入ったフライパンに移して、再び火に掛けます。
1分くらい中火で加熱しながら、麺にソースを絡めていきます。フライパンを傾けてみて、ソースがスプーン1~2杯程度残るくらいでOKです。
煮詰めすぎたら、少し水を加えて調整します。ゆで汁を何回も加えると、塩分が強くなりすぎるので、ご注意ください。最後に、粉チーズを加え、混ぜ合わせます。
チーズ感が残りつつ、少し溶けたくらいがおいしそうに見えるので、フライパンはふらずに、軽く混ぜる程度にします。
冬は、皿をレンジやお湯で温めてから盛り付けると、料理が冷めにくくなります。
太麺を使っているので、ある程度高さは出ますし、粉チーズを崩したくないので、あえて麺をねじらず、フライパンからお皿にスライドさせるようにして盛り付けます。
最後に、エキストラバージンオリーブオイルを回しかけ、ブラックペッパーをふります。
これで、できあがり!
この「貧乏人のパスタ」、シンプルですが癖になって、とてつもなくおいしいのです。ぜひ作ってみてくださいね!