「あと1年しかない…!」子どもが小6を迎える前に親が知っておきたい“中学受験との付き合い方”

家族・人間関係

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 「あと1年しかない…!」子どもが小6を迎える前に親が知っておきたい“中学受験との付き合い方”

2023.03.24

臨床心理士・公認心理師のyukoです。受験シーズンが終わり、もうすぐ新年度が始まりますね。中学受験を予定している小学5年生の親御さんは”1年を切ってしまった”と焦りやすい時期でもあります。子どもと大人では、時間の長さに対する認識が異なるので、親の焦りと子どものマイペースさによって衝突しやすくなるんです。子どもの受験とどのようにつきあっていくとよいか考えていきます。

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もくじ

「間に合わなくなるよ」「今のままでいいと思ってるの?」
残り1年だからこそ考えたい、親子と中学受験の付き合い方
大切なメッセージこそ短く冷静に伝える
親の見ている姿と子どもの実態にはズレがある
その子に合った進路を選び直すのもひとつ

「間に合わなくなるよ」「今のままでいいと思ってるの?」

あと1年しかないのに家でゲームばかりしている。
受験組ではない子たちと遊びに出かけている。

勉強しない子ども出典:stock.adobe.com

そんな姿を見るとイライラして「そんなんで大丈夫なの?」と叱りたくなりますよね。

ですが、闇雲に叱り続けてもあまりよい効果は得られません。
今後1年、受験を控えた子どもと付き合っていくにはどんな心構えが役に立つのでしょうか。

残り1年だからこそ考えたい、親子と中学受験の付き合い方

大切なメッセージこそ短く冷静に伝える

子どもの勉強態度を信用できないと、「本当にわかってる?」と繰り返し長々と叱ってしまいがち。
何度も同じことを言われ続けると慣れてしまい、大切なメッセージも届かなくなってしまいます。
また、ピリピリしたムードが長く続くと家庭内の雰囲気が悪くなり、上手く息抜きできず余計に効率が下がってしまいます。

私もそうですが、「言われない方ができる、あまのじゃくタイプ」も意外と多いもの。
なのでまずは、最後の叱りから3日間あけて様子を見てみます。

この時点で勉強時間が増えたら、「あまのじゃくタイプ」であることを理解して見守るのが大切です。

勉強する子ども出典:stock.adobe.com

子どもが机に向かわない状態が続く場合、親子会議・家族会議の時間を作ります。

そして、10分程度で「受験を本当にするつもりでいるのか、志望校と現状の確認、1日どの程度勉強すればよいのか」を話し合うのがおすすめ。
本人のモチベーション、目標と現状の確認、今後の方針をすり合わせていく必要があります。

この会議の際、「どの家族からの言葉であれば響くのか」考えておくと役立ちます。
パートナーからの言葉であれば素直に聞ける子や、兄姉から伝えた方が説得力を感じられる子もいるので、その子に合わせた会議のメンバーと役割を事前に練っておくのがよいでしょう。

親の見ている姿と子どもの実態にはズレがある

ゲームをやめさせたい親とゲームをし続ける子の話を聞く中では、よくこんな認識の違いを耳にします。

親:朝から晩までゲームに夢中でどうしようもないんです。なんであんなに同じものをずっと楽しめるのでしょうか。勉強をしたくないから逃げてるんですかね。
子:勉強もしないといけないと思ってる。けど、友達との対戦中になかなか抜けられないんだ。新しい攻略法とかアイテムの話についていけなくなると、仲間外れにされるかもしれないし。

また、こんな子もいます。

子:正直ゲームをしていても、そこまで楽しめていないんだ。でも勉強はずいぶん前からついていけてなくて、何から手をつければいいのかわからない。何かしていないと落ち着かないからなんとなくゲームをしてるけど。

勉強しない子ども出典:stock.adobe.com

親は、子どもが現実逃避や娯楽としてゲームを楽しんでいると感じやすいもの。
ですが実際は、子どもの「唯一の逃げ道」となっていたり「友人関係のための義務」となっているケースも多いです。

”どうして勉強をしないのか”に関しても、親と子では、認識のずれがあるかもしれません。
どんな理由であっても怒らないと伝え、子どもから率直な理由を聞き、親が「なるほど」と思うところから、軌道修正が始まります。
(理由を聞いたときは、約束した通り、決して怒ってはいけません)

その子に合った進路を選び直すのもひとつ

多くの方は、現状より少し高い目標を立て、そこを目指して頑張るものと考えていると思います。
ですが中学受験の目的は、もっと幅広く考えてもよいと感じます。

小学校の環境から心機一転させたい、6年かけて部活に打ち込みたい、女子校・男子校でのびのび過ごしたい。
そんな思いから受験を試みる方もいらっしゃいます。
それに、背伸びして入った中学よりも、本人の成績や雰囲気に合った学校の方が結果的によかったと振り返る親子も多いです。

親子の会話出典:stock.adobe.com

親が、大学受験に向けて勉強を頑張ってほしい、中学受験を乗り越えて努力する姿勢を身に着けてほしいと望んでも、押し付けられていると感じれば、遅かれ早かれうまくいかなくなります。

本人にとってのモチベーションは何なのか。
今一度本人を主体にした目標調整をしてみるのもおすすめです。

本当に目指したい場所ができた子は、詰め込み学習をされる子よりも強いもの。
大人からすると「え?そんなこと?」と感じるような目標を、「まあそんなもんか(笑)」と受け入れてみるのも一つです。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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