教えてくれたのは……細田明美 先生
東京医療保健大学 医療保健学部 医療栄養学科 准教授。管理栄養士、健康運動指導士、健康咀嚼指導士。2006年より東京医療保健大学医療保健学部医療栄養学科に在職。臨床栄養学などの講義・実習を担当。子どもの入院に付き添う親への食事支援や、子どもから高齢者の口腔機能と食習慣についての研究に従事している。TV、雑誌など各メディアでも活躍。
不飽和脂肪酸とビタミンEが豊富な「アボカド」
細田先生「“森のバター”とも呼ばれるアボカドは、オレイン酸・リノール酸・リノレン酸などの不飽和脂肪酸が豊富な栄養価の高い果物です。」
細田先生「不飽和脂肪酸は、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす働きがあり、動脈硬化や血栓の予防効果があるといわれています。
また、抗酸化作用が強いビタミンE含有量が他の果物より非常に多いことも特徴のひとつ。そのほか、ビタミンB1・B2・C・葉酸などのビタミン類や、ミネラルのひとつであるカリウムも比較的多く含まれています。」
アボカドを食べるおすすめの時間帯とは?
不飽和脂肪酸やビタミン類などの栄養素が豊富なアボカドですが、「脂質が多いため、カロリーは高め。食べ過ぎには要注意!」と細田先生。「アボカドを食べるなら、お昼がおすすめ」とおっしゃいます。
細田先生「『時間栄養学』的には、アボカドは昼食で食べるのがおすすめです。時間栄養学は、「何を、どのタイミングで、どう食べるか」にフォーカスした考え方です。
私たちの健康には、「体内時計」が大きく関わっています。じつは体内時計は、1日24時間の周期ではなく、24.5時間の周期で動いています。体内時計の調節に重要な役割を果たしているのが「食事」です。私たちは光や食べ物の刺激を通じてリセットしながら、1日24時間の周期に合わせているのです。
そして、この体内時計の働きにより、栄養素の消化・吸収・代謝が時間帯によって変化することが動物実験によって明らかになっています。」
細田先生「体内時計をつかさどる時計遺伝子のなかに『BMAL1』という、脂肪を蓄える性質を持つものがあります。BMAL1は、昼に活動量が減り、夜遅い時間帯には活動量が高まるという特徴があります。つまり、昼食で摂取した脂質は、脂肪として蓄えられにくく、エネルギーとして消費されやすいというわけです。」
アボカドと相性抜群の食材とは?管理栄養士がおすすめする食材5選
細田先生は、アボカドを昼食に食べることをおすすめしていますが、それではアボカドをどのような食材と組み合わせると、よりおいしく、より栄養バランス良く食べることができるのでしょうか? 細田先生がおすすめする5つの食材をご紹介します。
えび
細田先生「えびに含まれるアスタキサンチンという成分は、抗酸化作用が高く、体内の酸化を抑える効果があることが知られています。ビタミンEを含むアボカドと一緒に食べることで、相乗効果が期待できます。マヨネーズであえる、油で炒めるなど、油脂と一緒に食べるのがおすすめです。淡白な味わいのえびと、濃厚でクリーミーなアボカドは相性が良く、おいしく食べられますよ!」
マグロ
細田先生「マグロには、DHAやEPAといった必須脂肪酸や鉄が多く含まれています。ビタミン豊富なアボカドと組み合わせると、足りない栄養素を補い合うことができます。わさび醤油であえたり、どんぶりにしたりと、和テイストの味付けがおすすめです」
サーモン
細田先生「サーモンにもアスタキサンチンが含まれています。和テイスト、洋テイストなどさまざまな味付けや調理法で楽しめる組み合わせです。濃厚で、とろりとした食感を堪能できます。」
卵
細田先生「卵は、たんぱく質をはじめビタミン・ミネラルが豊富に含まれている栄養価が高い食材です。アボカドと一緒に食べることで、さらに栄養価を高めることができます。ドレッシングをかけてサラダにしたり、マヨネーズであえたりすると、“王道”コンビの味わいを楽しめます。」
納豆
細田先生「良質なたんぱく質に加えて、鉄・カルシウム・食物繊維が豊富な納豆とアボカドは、まさに栄養満点な最強コンビ。どちらも調理せずにそのまま食べられるので、手軽に栄養補給できます」
これらの食材に加えて、トマト・ブロッコリー・ピーマンなどの色の濃い野菜とアボカドの組み合わせもおすすめだと細田先生。ぜひ今日のランチに取り入れて、健康的な食生活を実践しましょう!