「うちの子とは違うから」と距離を取らないでほしい。発達障害の子をもつ親との良い関係のつくりかた

家族・人間関係

stock.adobe.com
 「うちの子とは違うから」と距離を取らないでほしい。発達障害の子をもつ親との良い関係のつくりかた

2023.04.17

臨床心理士・公認心理師のyukoです。発達障害の子をもつ親御さんと話していると、ママ友との付き合い方、距離感に関する悩みも多く耳にします。一方周りの方は、”どのように接していいのかわからない”と感じている方が多いよう。発達障害の子をもつ親御さんの悩みを理解し、お互い上手に関わっていく方法を考えてみます。

広告

もくじ

発達障害の子をもつ親御さんが抱えやすい悩みとは?
抱えやすい悩みと、周囲に求められる配慮について
周囲からどのように思われているか気になる
他のママ友の意見が参考にならない
仕事や趣味など、自分の時間を作りにくい

発達障害の子をもつ親御さんが抱えやすい悩みとは?

グレーゾーンの子も含めると、一クラスに1~3人ほどいると言われている発達障害の子。
苦手な環境があったり、こだわりの強さから上手く切り替えられなかったり。

子ども本人はもちろん、その親御さんも様々な難しさを抱えて苦労していますが、親の苦労は、特性を抱えるお子さんとの接し方だけではないんです。

では、どんな悩みを抱えやすいのでしょうか。

抱えやすい悩みと、周囲に求められる配慮について

周囲からどのように思われているか気になる

  • 癇癪がなかなかおさまらず大きい声で泣いて近所に迷惑がかかっていないか心配。
  • 切り替えに時間がかかり、周りのペースを乱しやすいので申し訳ない
  • ゲームのルールを守れないときがあるので、友達に嫌な思いさせてないかな

子どもが集団生活を送ったり友達と関わる中で、相手とうまくやれているか心配に思っている親御さんは多いです。

ゲームをする子ども出典:stock.adobe.com

ですが一方で、発達障害をもつお子さんの友達やその親御さんからはこんな声も耳にします。

息子が「マイペースな〇〇君を見ていたら、自分ももうちょっと自由に意見を言ってもいいかもって思った」と話していた。

「〇〇ちゃんはたしかに苦手なこともあるかもしれないけど、得意分野についてすごく詳しくて息子にたくさん知識を教えてくれて助かっている。」

誰しも得意・不得意があるのは当然で、それぞれの個性から様々なことを学んでいきますよね。

家族の前と、友達の前では振舞い方が違うかもしれませんし、近くで接している子どもの感じ方は大人とは異なる場合も多いです。
発達障害をもつお子さんの長所や褒めポイントを踏まえた様子を親御さんに伝えると、支えになれるかと思います。

他のママ友の意見が参考にならない

お子さんの成長ペースが異なると、他のママ友同士で話している内容についていけない方もいます。

例えば、中学受験や塾の話、より高みを目指した育児や教育の話だと馴染みにくいですよね。
また、大人数のママ友コミュニティでは、どう思われているか心配する気持ちから、輪に入りづらく感じる方も多いよう。

その場にいるみんなが話せる世間話程度の話題にずらしたり、あとから声をかけるなどの配慮があると心の支えになるかと思います。

勉強のペースは異なっていても、ゲームをやめられない・兄弟げんかが絶えないなどの困りごとは意外とどの家庭でもあるあるです。
むしろ、育て方にコツがいる子の親御さんの方が、お子さんの苦手さと上手に関わるヒントを多く持っていたりします。

話しをする女性出典:stock.adobe.com

「うちの子とは違うから」と決めてしまって距離を置くのではなく、同じ年代の子を育てる母親として話すのがよいかと思います。

仕事や趣味など、自分の時間を作りにくい

発達障害をもつお子さんの親御さんの中には、仕事や趣味の時間を取りにくい方も多いです。

療育や放課後デイなど、発達をフォローアップするために通わなければならない場所があると、フルタイムとの兼ね合いが難しい場合があるからです。
また、スケジュール通りに動くのが難しかったり、どこに行くにも付き添わなければ不安になってしまう子もいます。

子どものペースに寄り添って生活しなければならないと、親自身の時間を取りにくいんです。

親子出典:stock.adobe.com

そんな背景がある中で、不用意に投げかけられる言葉に傷つく方も。

例えば、

  • キャリアに重きを置いている方から、「私は育児より仕事のほうが楽しいな。自分のための時間も取ったほうがいいんじゃない?」と言われた。
  • 共働きをしている方から、「うちは専業になる余裕ないから羨ましいな。私も仕事辞めたいよ。」と愚痴をこぼされた。

悪気のない言葉だと思いますが、「仕事をしたくても辞めざるを得ない人もいる」という理解は必要なのではないでしょうか。

家庭の事情や子育ての背景にはセンシティブな感情をもつ方も多いです。
自分視点は脇に置いておき、相手視点で考えられるといいですよね。

広告

著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

気になるタグをチェック!

saitaとは
広告