教えてくれたのは……冷凍王子こと西川剛史さん
大学で食品栄養学を学び、卒業後は冷凍食品メーカーや冷凍食品販売会社の商品開発部門などに勤務。
現在は冷凍専門企業・べフロティ株式会社の代表取締役を務めながら、冷凍に関する第一人者としてテレビや雑誌など各メディアでも活躍。
野菜や肉などあらゆる食材の冷凍保存の方法や解凍テクニックをまとめた著書も好評発売中。
『冷凍王子の冷凍大全』(サンマーク出版刊)
著者:西川剛史
価格:1,650円(税込)
節約が必要な今こそ行いたい「冷凍貯金」とは?
冷凍王子こと西川さんが提案する「冷凍貯金」。初めて耳にした人も多いかもしれませんね。
冷凍貯金とは、食材やおかずを冷凍ストックしておく習慣のことを言います。
食材やおかずを冷凍保存しておいて、毎日の暮らしに時間や心のゆとりを持たせる仕込み習慣のことなのだそうです。
冷凍と聞いてイメージするのは「長く保存できる」というポイントですが、冷凍保存の魅力は他にも「栄養を逃さずに蓄えることができる」「買い物の回数を減らして節約につながる」などの点もあります。
つまり、普段から食材やおかずを冷凍することによって「時間」「栄養」「お金」が貯められるのですね。
冷凍を行う際の3つのルール
さらに、西川さんによると冷凍を行う際には「ある3つのこと」を守ることが重要です。
ルール1:すぐに冷凍すること
まず、卵や乳製品に限らずどの食品でも「鮮度が良い状態で冷凍する」ということが大切です。
すぐに食べるもの以外は、買ってきたらすぐに冷凍することを心がけましょう。
ルール2:空気は遮断すること
普段あまり意識しない方も多いかもしれませんが、冷凍庫内はとても乾燥しているのだそうです。
食品を冷凍保存する際にはラップとフリーザーバッグのダブルで包み、空気をしっかり抜いてから冷凍すると、乾燥で食品が傷むことを防げます。
ルール3:速く凍るように意識すること
さらに「できるだけ速く凍らせる」という点も重要なポイントです。
鮮度が少しでも高いうちに食品全体を冷凍できるよう、食材はなるべく薄く平らな状態にして冷凍庫に入れるようにしてみましょう。
生卵の冷凍テクニック
ここからは「生卵」を冷凍する際のポイントをご紹介します。
ぜひ、先ほどのルールを踏まえながら試してみましょう!
卵の冷凍方法
- 殻を割らないよう、生卵をラップでふんわりと包みます。ピタッと包んでしまうと卵同士がぶつかった際に衝撃で割れてしまうことも。クッションがわりになるよう、あくまでもふんわり包むのがポイントです。
- 包んだ卵をフリーザーバッグに入れ、丸1日以上冷凍庫で冷やしましょう。卵が凍ってくると殻にヒビが入りますが、中身が膨張して起こる自然な現象なので気にしないで大丈夫ですよ。
冷凍した卵を調理する時のポイント
冷凍した卵を解凍する際には、ラップを剥がして流水解凍をするのがおすすめです。
卵を冷凍すると黄身のタンパク質同士が結合しやすくなり、もちっとした食感になります。
黄身と白身両方を調理するのはもちろん、黄身だけを醤油漬けにするのもおいしいので、ぜひお試しください。
ただし、解凍後にしばらく置いておくのはNG! 解凍したら早めに食べるようにしてくださいね。
乳製品の冷凍テクニック
次に、乳製品の冷凍テクニックをご紹介します。
チーズや生クリームなど、正しく冷凍しておいしく楽しみましょう!
チーズの冷凍方法
普段からストックしてあるご家庭も多い「チーズ」は、冷凍保存OKな食材。
なんと、ピザ用チーズだけではなく粉チーズも冷凍できちゃうんですよ。
【ピザ用チーズの冷凍方法】
買ってきた状態のまま冷凍すると空気が抜け切らないため霜がつき、チーズの風味が落ちてしまうことも。
ピザ用チーズを冷凍保存する際にはフリーザーバッグに移して、平たく薄くして空気をしっかり抜いた状態にしてから冷凍しましょう。
【粉チーズの冷凍方法】
粉チーズは市販の容器ごと冷蔵すると固まってしまい使いにくいので、保存袋に移し、空気を抜いて冷凍しましょう。
サラサラのまま使えて便利です。
生クリームの冷凍方法
意外と賞味期限の短い生クリームも、冷凍用の保存容器に移せば冷凍保存ができます!
上の写真のようにそのまま容器に移して冷凍する方法もありますが、一手間かけてホイップしてから冷凍すると少量ずつ使えるようになるのでとても便利です。
【ホイップクリームの冷凍方法】
- 生クリームに砂糖を入れて、ツノが立つまでよく混ぜます。
- トレーにラップを敷いたら、その上に1回分ごとにホイップした生クリームを絞り出し、そのまま冷凍庫に入れましょう。完全に凍ったら、冷凍用の保存容器に移してください。
- ホイップして冷凍したものは砂糖も入っているので、コーヒーやココアに浮かべるのも良いですね!
そのまま冷凍した生クリームは成分が分離してザラっとした食感になることもあるので、加熱料理でうまく活用するのがおすすめです。
バターの冷凍方法
- バターは塊のまま冷凍してしまうと使うときに不便なので、まずは1回分ごとにカットしましょう。1回分を10g程度にすると、どの料理にも使いやすいので便利です。
- カットしたバターを1つずつラップに包みます。バターは脂肪が多いため酸化しやすく臭いもつきやすいので、ここでしっかりと空気を遮断するのがポイントです。
- ラップに包んだバターをフリーザーバッグに入れて冷凍しましょう。
冷凍したバターを使う時は、加熱調理するものならば凍ったままでもOK! トーストなどに乗せて使う場合には電子レンジで少し柔らかくしてくださいね。
冷凍貯金でおいしさも家計もキープ!
冷凍王子こと西川剛史さんに教えていただいた、卵や乳製品の正しい冷凍方法をご紹介しました。
食品の価格高騰が続いている今、食品を賢く冷凍保存することは家計のピンチを防ぎつつ、おいしい食卓を守ることにもつながるのではないでしょうか。
家計もおいしさも良い状態にキープできるように、ぜひ冷凍貯金をお試しくださいね!