自らの夫婦仲改善がきっかけでカウンセラーに
今回、お話を伺う八馬ゆみさんは、これまでに9,000人以上の夫婦仲再構築に関わってきた実績があるそう。「3か月後のあなたを愛され妻にするカウンセラー」というキャッチフレーズがとても印象的です。
――現在の活動をされるきっかけを教えてください。
もともとは、私自身が夫婦仲に10年以上悩んでいました。当時は、インターネットもなく、解決法を見つけたくても、本屋さんに並んでいるのは恋愛本ばかり。夫婦仲に関する解決方法を私は見つけることができませんでした。そんな中、心理学と出会い、カウンセリングを受け、男女の違いを知りました。さらに心理学やカウンセリングの勉強を続けて、夫婦仲修復、再構築のカウンセラーになりました。
――どのようにして、10年以上悩んできた夫婦関が改善されたのですか?
私にとって、夫婦仲を改善するということは、”自分を取り戻す旅”でもありました。自分にとっての”幸せな生き方”を自分に問いかけた時、「夫と仲良く幸せに生きる」という人生を望んでいる自分に気付いたんです。
そういう人生にするために、どうすればいいのか? まず仲良くなるためには、相手が喜ぶものを差し出す必要があります。相手を知るために「男性心理」を学びました。その知識から、夫に感謝する、褒める、信頼して頼る、といったことを心がけ実践しました。夫も、最初は、私の変化に怪訝な様子でしたが、どんどん「こちらこそありがとう」と言ってもらえるようになりました。そして、これを続けることで、私自身どんどん夫のことが好きになっていきますし、ときめきも取り戻せました。もちろん、今もパワーアップさせつつ続けています。
まずは自分が変わることが大事なんですね。今回は、夫婦仲の中でも多くの方が悩んでいる”セックスレス”についてお伺いしました。
セックスレスとは?
日本性科学会が定めた「セックスレスの定義」では、「何の不都合もないのに1か月以上ないこと」を指すそうです。カウンセラーとしての私の考えは、「夫とのセックスが自分の期待する内容や頻度ではなく、苦しい思いをしていること」としています。
月に1回、性生活があったとしても、「うちはセックスレスです」という方もいらっしゃいますし、逆に、1年以上性生活がなくても、「うちは仲良しなので、問題ありません」という方もいます。セックスって本当に人それぞれなんです。期間で定義するよりも、「苦しい思いをしている」ということであれば、お気持ちに寄り添って、問題解決のお手伝いをさせていただきます。
セックスレスの原因を探る
「カウンセリングでは、セックスレスで悩んでいる女性に対して、セックスレスの原因となり得る以下のことを、確認しています」
男性側がレスになる原因や、努力すべき点もあると思いますが、今回は、女性側の立場からレスで悩んだ場合の原因追及と、八馬さんが普段、相談者の方にアドバイスされていることををお話しいただきました。
1.夫のプライドを傷つけていませんか?
私は「男性のハートはガラス細工、プライドはそうめんのように折れやすい」と考えています。女性に日常的にプライドを傷つけられるような状況は、夫にとって全く好ましくありません。不機嫌なことが多く、不平不満をぶつけてくるような妻だと、男性のハートは粉々、プライドはポキポキに折れてしまいます。
女性の場合、不機嫌になることで「私の苦労をわかってよ」「私の気持ちを察してよ」とメッセージを出しているのですが、それは男性には伝わりません。逆に「俺は妻を幸せにできない男なんだ」と自信を失います。男は自分が幸せにできる女性を愛すのです。
夫婦としてうまくやっていきたい気持ちがあるなら、不機嫌を振りまく「察してちゃん」からは卒業すること。自分の機嫌は自分で責任を持ち、まずは、夫に感謝できるところを見つけて、ちゃんと言葉にして伝えることを習慣化してみてください。
2.女としての自分を大事にしている?
子育て中の女性は特に、「自分のための時間がない」という意識が強いと思います。でも、女性としての自分磨きのための時間は努力して作っていただきたいです。たとえば、毎朝、鏡を見るときに「今日もかわいいよ」と自分に声をかけてあげたり、お風呂上りに自分の裸を見て「きれいだよ」「セクシーね」と言ってあげたり、優しくボディクリームを塗ったり。
セクシーなランジェリーやストッキングを身に着けることや、ネイルサロンで爪を美しくしてもらうことなどもお勧めです。
それは、誰かのためではなく、自分自身のために。時間がない、忙しいを理由に効率ばかり求めていると、脳が男性化します。男性化した女性は、男にとって当然、性的な魅力を失います。女としての時間をちゃんと味わって、あなたの中の女性性にお水をあげて育ててくださいね。
3.実家との関係に問題はありませんか?
実は、セックスレスで悩んでいるという女性の多くに共通しているのが、実家との関わり方。頻繁に実家に帰っていたり、母親との関係が密であったり、父親が大好きだったりします。こういう方は、精神的にはまだお嫁に行ってない状態。
何かあると「お母さんが知ったら、どう思うだろう」とか「お母さんに怒られちゃう」なんてフレーズが頭をよぎる人や、「夫は、父と比べると頼りない」という思いが浮かぶ人は、要注意です。
こういう場合、母親や実家との接触頻度を下げ(もしくはしばらくゼロにする)、「お母さん(お父さん)の娘は卒業し、夫の妻になる」とご自分に言い聞かせることからスタートしていただきます。親離れをし、大人の女性として、妻という立場の自分を意識することが大事です。
4.妻ではなく”おかん”になっていませんか?
気づけば、妻ではなく”おかん”のような立場になっている女性も多いです。「夫は、うちの長男よ」なんて思ってませんか?
子どもに言うような小言、たとえば「ご飯を食べながらスマホを見ないで」「靴下を脱ぎっぱなしにしないで」「何回言ったらわかるの?」みたいな「しつけ」を夫にしていませんか?
もしこれらをルーティングでやっているようなら、夫からみてあなたは”おかん”になっているかもしれません。母親とはセックスできませんので、結果的にレスになります。
夫の言動に口をはさみすぎないこと、世話を焼きすぎないこと。そういった距離感も夫婦には大切なのです。
「パパ」や「お父さん」と呼ぶのも同じこと。恋人時代のように、名前で呼び、時にはお子さんを預けて、二人きりでデートをする時間を作ることも大切です。
結婚何年目であろうと、ときめきのある夫婦関係を築きましょう。
5.自分自身が疲れていませんか?
疲れていると人間関係がギスギスするのは、夫婦関係も同じです。多くの女性が、仕事のし過ぎでゆとりがなく、夫との関係に割くエネルギーや時間がないと感じます。特に、ワーママは毎日が戦場のように忙しいですよね。
夫婦円満を望むなら、それなりに夫婦関係にもエネルギーを注ぐ覚悟が必要です。仕事が忙しすぎるのであれば、転職を考えたり、家事を外注して疲れすぎる状況を改善するなど、心と体に余裕のある生活をするように意識してください。
そして「夫にもゆとりが必要」と意識しましょう。週末に家でゴロゴロされると「休みの日くらい、子どもの面倒見てよっ!」と腹も立つかと思いますが、夫にもゆとりがなくなれば、あなたへのイライラも増加することは必須。
夫が休みの日にゴロゴロしていたら、思い切ってあなたも一緒にゴロゴロしましょう。少しくらい家事をさぼってもどうってことありません。「ゴロゴロする」ことを自分に許可するだけでも、心の余裕は生まれます。
6.妊娠、出産、妊活など、出産にまつわるもの
妊娠、出産後は、ホルモンのバランスが変化し、妻は「ガルガル期」に入ります。ガルガル期とは、子どもを外敵から守ろうとする母性本能から、外敵を威嚇して気が荒くなる期間のこと。子どもを連れたメスの動物に近づくと、子どもを守ろうと普段以上に威嚇しますよね。
残念なことに、私たち人間のメスも動物と同じ。子どもの父親である夫のことも外敵に認定してしまうことがあるのです。もちろんセックスする気分になんて、なれません。
これがホルモンのせいということを知らないと、男性はただただ驚き、怯え、レスに苦しむことになります。
ホルモンなのでコントロールが難しいですが、気分が穏やかなとき「ガルガル期がある」「ひどい態度をとるのは、ホルモンのせいで決して私の本性ではない」ということを、繰り返し夫に説明し、理解を得ておきましょう。
また、妊活中は、妻側も気持ちにゆとりがなくなることが多いです。あまり思い詰めないで、リラックスすることを心がけてください。
まだ存在しない子どもよりも、目の前にいる夫の気持ちに寄り添ってあげて欲しいです。そして夫には「子どもが欲しい」ではなく「あなたによく似た子どもが欲しい」という伝え方をして、夫への愛情表現や、協力への感謝の気持ちを伝え続けましょう。
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セックスレスになる原因。「心当たりがある!」と感じたものはありましたか?
全ての方がこの項目に該当するというわけではないそうですが、八馬さんのアドバイスを受けた方の多くは、この項目を改善したことでセックスレスを解消したそう。
「これかもしれない」と思うものがあれば、その改善で夫婦関係が再構築できるかもしれません。