今注目されている「STEAM教育」。未来につながるスキルを身に着けていく方法

家族・人間関係

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2023.11.08

臨床心理士・公認心理師のyukoです。今注目を集めている「STEAM教育」。名前は聞いたことあるけど、一体どんなもの?と思われている方は多いのでは。「STEAM教育」の中身や意義、子どもに身に着けてほしい力について考えていきます。

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今注目されている「STEAM教育」とは

「STEAM」とは、科学。技術・工学・芸術・数学の5つの英単語の頭文字を組み合わせた造語。

S(Science):自然現象やエネルギーなど、物事の仕組みや原因を考える。
T(Technology):プログラミング的思考力や情報システムを扱う力。
E(Engineering):設計図やプログラムの作成、機械工学など。
A(Art):芸術・文化・経済活動を含めた広い範囲に及ぶ。感性を養う。
M(Mathematics):数学に関する論理的思考力。矛盾なく物事を捉え、伝える。

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もともとは2000年代に始まった米国のSTEM教育が原点とされています。
そこに、文部科学省は芸術・文化・生活・経済・法律・政治・倫理などを含めた広い範囲でA(Art)を定義し、国内での浸透を図っているんです。

「STEAM教育」が重視される理由

ロボットやAIの急速な進歩により、「ロボットに仕事を奪われる」「AIによって脅かされる未来」が懸念されてきました。
今後求められていくのは「AIを使いこなす力」「より革新的な情報技術の発展」。
そのような流れの中「理系分野の複合的知識を持つ人材」の育成に力を入れていく必要があるんですね。

加えて、環境問題や貧困、紛争をはじめとした世界情勢に目を向けると、問題点の発見や解決には理系分野の知識のみでは対応できないという見解が強まってきました。
そこで、体験の中でさまざまな課題を見出し、既存にとらわれず問題を解決する力(Art)を身に着けていく必要があると考えられたんです。

実際はどのように広がっているの?

最も身近で明確な変化としては「小学校でのプログラミング授業必修化」があげられるでしょう。
加えて、2022年度から高校で「情報」が必修化となり、2025年度から共通テストに「情報」が追加されることも関連しています。

また、各学校の取り組みはSTEAM教育に則り、徐々に変化してきているよう。

  • チーム内で、プログラム入力・デザイン案作成・リスクマネジメントなど役割分担をしながらロボットを制作する。
  • 実際に住んでいる地域コミュニティの課題を調査し、プレゼンテーションで発表する。
  • 「問題点を見つける→原因の分析→対策を考える→実践→振り返りと改善」を生徒たちのみで行いながらチームスポーツに取り組む。

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より合理的・論理的な思考を養えるよう、様々な工夫が取り入れられているんですね。

日常にどのように取り入れていけばよいか

「うちの子理系分野はまったくで」「今すぐプログラミングの塾に通わせるべき?」と心配に思う親御さんは多いのではないでしょうか。

しかし、焦って苦手分野を無理に身に着けようとさせるのは逆効果。
まずは楽しみながら興味を養っていくのが大切です。

例えば

  • Switchやタブレットを用いてゲームプログラミングを行う。
  • 家族でボードゲームを楽しみながら頭を使う。
  • 日常の不思議をスマホで調べる前に、実験・研究してみて考える。

特に今は、ボードゲームの世界がとても注目されており、「STEAM」に関する力にかかわるゲームも増えているんです。
論理的思考力を必要とするゲームや自然と感性が引き出されるゲームなど、簡単なルールだけど、大人も夢中になるようなものが人気を集めています。

  • 卵焼きに砂糖を入れたらなぜ焦げやすいのか?
  • 肌や目の色と似合う服の関係性。
  • 寝る前に聞くと落ち着く音楽、お風呂で聞くとリラックスしやすい音楽の違いは?

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など、日常の些細な疑問を実験や研究につなげるのも、子どもの探求心を育てる糸口になります。

「今の子どもたちは大変な時代に生まれてしまった」と捉えるか。「AIが発展し続ける今だからこそ楽しめる学習がある」と捉えるか。

大人が子どもたちに伝えていきたいのは「理数系を頑張れ」「AIに負けるな」というメッセージではないはずです。
「人だから感じられる面白さ」「テクノロジーを用いてこそ近づける未知の世界」を味わい、より広い世界に向かっていけるようなサポートが、今求められているのではないでしょうか。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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