結婚をすると、とたんに家事ができなくなる夫たち
学生時代にひとり暮らしをしていたという男性なら、家事ができても不思議ではありません。
一汁三菜は面倒でも、丼ものや、ご飯を炊いて一品料理で仕上げるとか。掃除だって洗濯だってまったくできないなんてことはない。
ピカピカに丁寧な暮らしはできなくても、普通に生活するくらいは特に問題なくできていたりします。
それなのに。結婚をしたとたんに家事ができなくなってしまう。
そう言うと、多くの場合「できなくなったんじゃなくて、『やらなくなった』んでしょう?」と言われます。
たしかにそうした一面もある。でも、単純に「やらなくなった」わけではありません。
もう少し正確に表現するならば「できなくなった」から「やらなくなった」のです。
結婚をすると「家事ができなくなる」理由
「家事ができなくなる」のは、ふたつの理由があります。
1.複数人の家事、という難しさ
2.相対評価による「できない」ラベリング
では、それぞれ解説していきます。
1.複数人の家事、という難しさ
自分ひとり分の家事と、複数人分の家事とでは、まったく別物です。もちろん人数が増えるほうが大変になるのですが、どちらかというと「ルールが違う」という方が近い。
ひとり暮らしのルールと、夫婦ふたり暮らしのルールは違うルールで運用されます。ここに子どもが産まれると、ルールはさらに刷新されていく。もちろん、各家族と三世代同居家庭のルールも全然違います。
わかりやすくサッカーで例えるとしたら、ひとり暮らしとはリフティングや壁に向かってシュートをしているような状態。
家族での暮らしとは、チームで行う試合そのものです。これはルールが全然違う。評価のポイントも違います。
ひとりで行うリフティングは回数こなしたり、上手なワザを身につけることに意味があったかもしれません。でも試合となれば、みんなが個人技を見せあってもしかたがないわけです。試合の状況、パス回し、ポジションごとの役割や流れがあり、それを11人で組み立てていく。
ここでチームを組むことができていないから、ボールが全部「妻」に集まってきたり、「俺、走るの苦手だから後ろに下がってます」という具合に戦略もへったくれもない「得意、不得意」が出てきてしまう。
大切なのは、個人の能力を活かしながら、チームがしっかりまわることです。
「走るのは苦手だけど、シュートは打ちたい」なんてことは許されないのです。
もちろん個人技の能力が高い方が、試合でもその力を活かせるでしょう。でもルールを把握してなければチームを勝利に導くことはできません。
2.相対評価による「できない」ラベリング
そしてふたつ目は、評価基準が変わること。
ひとり暮らしだったころは、週に1回洗濯して、毎日おかずは適当に炒めたお肉だけ、でも問題なかった。でも結婚をして、ルールが変更になり、それによって評価基準も変わってきます。
でも、評価基準なんて存在しないので、結果的にパートナーと自分との相対評価になります。家事ができるかできないかではなく、パートナーと比べてどうか、という判断軸になる。
だから必然的に「得意・不得意」が重要視されるようになっていきます。
こうして、ルールの変更に気が付かず、パートナーとの相対評価で「不得意な家事が多い」となることで、どんどん「家事ができない夫」になっていくのです。
この変化は、結婚した後だけじゃなく、子どもが産まれた後、育休から復帰した後、二人目が産まれた後など、ルールの変更が行われるたびに起こる現象です。
チームで暮らしを回していけるようになるには
ルールは「はい! 今日からルールがアップデートされます!」と言う日があるわけではありません。いつの間にか付け加えられたり、削除されたりしていきます。
子どもが産まれる前までは、「ご飯はやっぱり土鍋で炊くのが一番だよね」とふたりで笑い合っていたのが、「洗い物大変だから土鍋なんて出さないで」となっていたりする。そして「いつ、そうなったんだろう?」と夫は思ったりする。でも、こうやって少しずつ家庭の中のルールって今の自分達の暮らしに最適化されていくものです。
ルールは、お互いが違っていることに気がついたら共有し合いましょう。
正解はふたりで決めていけばいいのです。
そして夫を「家事ができない男」として扱ったり、お世話をするのではなく。
「頼りにしている」というメッセージを送り続けてください。人は「頼られること」で責任感が芽生え、そして成長していきます。
妻がたったひとりのスペシャリストとなり、家庭を回していくのではなく。
チームで暮らしを回せるようになろう!