教えてくれたのは……エマ・ヘップバーンさん
神経心理学を専門とする臨床心理士。
15年以上の実務経験をもち、私的・公的の両面でメンタルヘルスの問題に取り組んでいる。
『幸せスイッチをオンにするメンタルの取扱説明書』
著者:エマ・ヘップバーン
訳:木村千里
価格:1,870円(税込)
発行:ディスカヴァ―・トゥエンティワン
自分が良い気分になることを後回しにしない
毎日、家事や育児、仕事などに追われると、やることリストが終わったら「あれをしよう」「これをしよう」と、自分のことはいつも後回しにしてしまう方も多いのではないでしょうか。
エマ・ヘップバーンさんは「良い気分を感じることはオマケではなく、目的であるべき」と言います。
ポジティブな感情をはぐくむ「7つの活動」
そこで取り入れるとよいのが、ポジティブな感情をはぐくむ「7つの活動」とのこと。習慣化するとポジティブな感情を生み出し、心身の健康につながることがわかっているのだそうです。
1.動く
体を動かすことのメリットには、下記のことが挙げられます。
- 脳内で快感を促す物質が出ることでストレスが軽減されたり、脳の血流が増えて認知力や思考力が上がる。
- 精神的にも達成感が湧いたり、外出の機会が増えたり、他の人と関わる機会が増える。
- 健康になる。うつ病や不安症状を和らげる研究結果も多く出ている。
散歩やダンス、ゴルフなど好きな運動をおこなったり、すき間時間にちょっと体を動かすだけでも、ウェルビーイングの向上が期待できます。
2.自然の中や水辺で過ごす
自然の中に身を置くメリットには、下記のことが挙げられます。
- ポジティブな気分が増して、ネガティブな気分やストレスが減る。
- くつろげる環境で心や体が元気になる。
- 体を動かしたり、人と交流したりすることで、幸福感が増す。
時々でいいので、自然の中で過ごす活動を取り入れるようにしましょう。
3.音楽を聴く
軽快な音楽は気持ちを明るく、悲しいメロディーは憂鬱な気持ちに寄り添ってくれます。音楽を聴くことはそれ自体が脳にとっての報酬となるのです。
ドライブしながら熱唱したり、台所仕事をしながら踊ったり、動いたり、体や脳の使い方によって気分が改善するので、手軽なわりに大きな効果が得られます。
4.遊び、楽しみ、笑う
遊び、楽しみ、笑うことは、ストレスの軽減や、くつろぎなどの心地よい感情とも関連しています。健康にも良い影響を与えるとする研究もあるほどです。
ゲームをする、子どもと遊ぶ、仲間内で楽しむなど、自分が楽しめるもの、笑えるものなら何でもOKです。
5.休息する、休憩する
「ずっと動かなければならない」と、生産性や成果こそ正義だといった考え方ではなく、幸せと健康のために体と心を休ませるための時間を取りましょう。休憩すると生産性が上がる傾向があることが研究で判明しています。
睡眠は、健康、幸せ、ウェルビーイングの基本です。睡眠に問題を抱えているなら、何よりもまずその問題に対処しましょう。
6.好奇心を持つ
好奇心を持つのは、新しい情報を取り入れられるように心の窓を開けておくようなもの。
学びは良い気分を味わうのにぴったりな活動です。集中力や達成感のもととなり、誇り、喜び、くつろぎなどのポジティブな感情を生み出します。
新たな散歩コースを開拓する、初めての趣味に挑戦するなど、身近ことでもよいので、日常生活に学びを取り入れましょう。
7.食べ物と飲み物を工夫する
落ち着いて食べる、栄養価の高い食事を取る、食べ方や食べる時間を変えるなど、幸せのために工夫できるポイントはいろいろあります。ストレス解消のために深酒をするなど、食べ物と飲み物は使い方次第で予想に反して幸せをもたらさないこともあるので要注意です。
7つの活動を日常生活の中で少し意識するだけでも、今より幸せだと感じられる日が増えていくかもしれません。これから自分自身が心地よく過ごしていくために、ぜひ参考にしてみてくださいね。