教えてくれたのは……岩野上 幸生さん
料理人歴20年、13年間飲食店経営をしながら企業コンサルティングや料理の技術指導などを行っています。YouTube(飲食店独立学校 /こうせい校長)で、ちょっとした工夫で役立つ料理方法など発信中。著書『プロのコツでいつものごはんが100倍おいしくなるレシピ』(KADOKAWA)。
だし巻き卵の失敗例
まずよくある失敗例を紹介します。
1. 処理してない卵で、卵液を少しずつ入れる場合
空洞ができてパサパサになってしまって白身も目立ちます。
2. 巻くときの手の使い方がわからない場合
右手と左手の使い方をわかってないと卵の形が崩れてしまいます。
3. 火力が強すぎる場合
卵を入れた瞬間、卵に火が入る前に表面が焦げて気泡が出てしまいます。水分も蒸発して食感もバサバサになり、見た目も悪くなります。
それではいよいよ、プロの技を使っただし巻き卵を作っていきます!
だし巻き卵の作り方
今回紹介するのは、見た目もきれいで時間が経ってもジューシーなだし巻き卵。こうせいさんもレベルが違うと大絶賛です。そのヒミツは「お麩を入れること」なんです。今まで食べたことないような感動してしまうだし巻き卵をぜひ味わってみてください!
材料
卵……3個
薄口醤油……3g
塩……1g
みりん……5g
かつおだし……3g
お麩……5g
水……50g
1. 卵の混ぜ方
ホイッパーを動かしながら混ぜると、空気が入り泡立ってしまうので、ホイッパーをボウルの底に付けながら、黄身を白身が一体化するまで、しっかりと混ぜます。
泡立てないようにする理由として、卵焼きがまばらに膨らんで見た目も悪くなり、固まり方にムラが出て食感が悪くなるので、しっかり混ぜましょう。
2. 調味料を混ぜる
直接卵に調味料を入れてもよいのですが、別のボウルで調味料を混ぜてから入れます。
別のボウルで完全に調味料を混ぜてから卵液に入れると、ムラがなくなります。
3. 卵と調味料を混ぜてこす
卵液に先程混ぜた調味料を入れます。
殻や混ぜ残しがないようにザルでこします。
黄身と白身が完全に同化してたらOKです。
4. お麩を入れて混ぜる
今回のポイントになる「お麩」をミキサーで砕いていきます。
パン粉に比べて、水分の吸収率が1.5倍から2倍くらい違うのでお麩を入れることにより、だし巻き卵に出汁をたくさん閉じ込めることができます。お麩を入れて一気に混ぜると、お麩が舞って作業場が汚れます。お麩をホイッパーで卵液に沈めてから、卵液とお麩を一体化させていきます。
5. 卵焼き器で作る
事前に用意するものは、油に浸したキッチンペーパーと、加工されている卵焼き器です。慣れないうちは濡れ布巾も用意します。加工されているフライパンを使うときは、空焼きすると加工がはがれやすいので、火を付ける前に油を入れていきます。油をひいたら、弱火から中火でフライパンを温めていきます。
卵焼き器が温まったら、余分な油をキッチンペーパーを浸した器に戻してから卵を入れます。卵液を多めに入れて3、4回くらいで卵液がなくなるように巻いていきます。
気泡がたくさん出てきてしまったら、卵焼き器が温まりすぎてる証拠なので、そのときはすぐに濡れ布巾の上に乗せて冷まします。端がはがれにくかったら、箸を使ってはがし、半熟の状態で右手で巻くのではなく、遠心力を使って巻いていきます。
油が少なくなってきたら、奥に油を引いて卵を奥にスライドさせてから手前にも油を引いて、卵焼き器を温めてから卵液を入れます。卵液を入れたらだし巻き卵を浮かせて卵液を下に流します。後は同じ容量で巻いていきます。
最後は見た目に影響するので表面滑らかにきれいに巻けるように意識します。香ばしく仕上げたい場合は、1番最後だけ火を強めて焼き目をつけます。表面は香ばしく、中身はジューシーな仕上がりになります。
できあがりです。
いかがでしたか? ポイントのお麩が決め手ですが、混ぜ方や焼き方を少し工夫すると、ワンランク上の見事なだし巻き卵が完成します。気になった方はぜひ作ってみてくださいね!