子どもの「なんで?」「どうして?」に疲れてくる。
何か指示やお願いをしたら、なんで? どうして? と子どもから言われて、ひとつひとつ答えるのに疲れてしまった経験はありませんか?
- 「ご飯の前にさっさとお風呂入っておきなさい」、『えーやだ、めんどくさい。』、「さっさと入りなさいって言ってるでしょ」、『なんで入んなきゃいけないの?』、「あーもう、じゃあ勝手にしなさい!」
- 「お姉ちゃん、ちょっと洗濯物畳むの手伝って」『弟はやってないじゃん。なんで私だけやらないといけないの? 不公平だよ』「やってくれないなら、もういいよ」
数年前まで素直にいろんなことを聞いてくれたのに、口ばかり達者になって、屁理屈ばかりこねると感じ、少し嫌になってしまうときもあるのではないでしょうか。「なんで~しなきゃいけないの?」の背景にある気持ちを理解し、対話のコツを考えていきます。
「なんで~しなきゃいけないの?」に正答はいらない。
なんで? どうして? と言われると、子どもが納得する回答をしなければいけないと思いますよね。ですが、「なんで~しなきゃいけないの?」に対しては、正しい回答をする必要はないんです。
子どもの「なんで~しなきゃいけないの?」の背景には、“私(僕)は納得いってないけど、わかってくれてる?”という気持ちが込められています。子どもの気持ちをスルーし、親が“もう面倒だから結構です”と会話をやめてしまうと、子どもの気持ちが消化されず、結局毎日同じやり取りになってしまうんですね。
また、「お風呂に入らないと不潔だからよ」「高学年なんだから自分の洗濯物は自分で片づけて」と説明をしても、あの手この手で言い返せるようになってくる年頃。
『一日くらい入らなくったって平気だもん』『〇〇ちゃんの家では中学生のお兄ちゃんも手伝いしてなかったよ』などと言い返されると、親も余計ムキーっとなりますよね。
必要なのは、もっともらしい説明ではなく、子どもの「嫌だ」と向き合う姿勢。
では、どのような対応が効果的なのでしょうか。
説得ではなく、対話に持ち込む。
まずは気持ちを拾う
“なんで”に対して、“~だから”で返すと押し問答のループに入ってしまいがち。
『なんで~しなきゃいけないの?』「~だからだよ」『でも〇〇じゃん』「だから~って言ってるでしょ!」『でもさ、』
子どもが「でも」「だって」と繰り返し言ってきてしまいます。なのでまずは「そう思うよね」がおすすめ。
- 『なんでお風呂入らなきゃいけないの?』→「今は入りたくない気分か。ゆっくりしてたい時間だった?」
- 『どうして宿題やらないといけないの?』→「やる意味わかんなくなるときもあるよね。」
肯定してしまうと、子どもは余計やらなくなるのでは? と不安に思うかもしれませんが実は逆。
一度気持ちを受け止められると、“わかってくれた”と感じて、親の話も聞いてみるかといったモードに切り替わりやすくなるんです。
正しい答えではなく、親としての考えを伝える。
「お風呂は夜入るものだから。」「小学生にスマホは必要ないから。」「もうお兄ちゃんなんだから片づけくらいやるのが普通だから。」
など、一般的に正しいことだから、普通こうするものだから、と伝えてしまうと、子どもの反発心をあおってしまいます。大人としての正答を伝えると、『お風呂に朝入る人だっている』『〇〇君はスマホを持ってる。』『なんでお兄ちゃんだから片付けをやらないといけないの?』と対立モードになってしまうんですね。
なので、子どもと1対1の人として話すモードに切り替えるのがおすすめ。
- 『なんで私だけお手伝いしてって言うの?』→「ママはみんなが気持ちよく暮らすために協力してほしかったんだ。〇〇(子ども)はお願いされるのが嫌だった?」
- 『なんでスマホ買ってくれないの?』→「便利なものだけど、危険な落とし穴もあるからルールを話し合ってから使ってほしいんだ。まずはスマホ勉強会するのはどう?」
子どもが10代にさしかかってくると、親が子に指示する、言いつけるだけではうまくいかないことも増えてきます。「ママ(パパ)はこう思ってるけど、あなたはどう?」と対話・交渉を持ちかけると、親子ともに新たな気づきが生まれたり、前向きに仲を深めていけます。
成長とともに、「言って聞かせる」関わりから、「言ってだめなら話し合う」関わりに変えていくのが必要。「生意気になったな」ではなく、「こんなに成長したんだ」と捉えながら、根気よく対話を重ねていけるといいですよね。