こんにちは。家事シェア研究家の三木です。 いま、毎日のようにたくさんのパパ・ママから家事についてのモヤモヤを集めて回っています。
すると「言えばやるのに、イライラされてどうすればいいかわからない」というパパや「言えばやってくれるのはわかってるけど、いちいち言ってらんない」とモヤるママの声をたくさん聞きます。
ここには大きなすれ違いがあるようです。僕自身、妻から「何かやることある?」と聞かれるたびに「ああ、面倒くせぇ」と思うこともあります(笑)
「言ってくれれば……」って
この「言ってくれれば」って言葉は、非常にズルい逃げ口上です。 だって「言わなかったあなたが悪い」と、言ってるのと同義だから。
だから言われた方は「勝手にイライラされて迷惑だ」と言われたように感じてしまうのです。まあ実際そう言いたいんだとは思いますが、ただでさえやってくれなくてガッカリしているのに、そのうえ「自分のせいだ」と言われれば、腹も立ちます。
結局最後は「やってもらえる」と決めつけてないか?
この数年で、パパも家事をたくさん担うようになってきたなと感じます。残念ながらまださまざまな調査の上ではパパの家事時間はあまり伸びていませんが、でもこれから少しずつ数字にも反映されていくだろうと思います。
それでも、まだママとパパの間には大きな壁が立ちはだかっている。
それは何かと言えば「最終的には結局妻がやってくれる」という気持ちです。
「家事を手伝うって言わないで」というのはもうこの十数年言われ続けています。そのため「手伝う」と「言わないようにする」パパは増えましたが、本質的なところで「お手伝い感覚」がなかなか抜けないパパはまだ多いようです。
なかなか厳しいようですが、やはり「責任」を持って家事に取り組んでくれるようにならなければ、あまり楽にはならないものです。
「言ってくれればやるのに」とは、反転「言われないことは気が付きません」と同じことです。そうなると、いつまでも指示し続けなくてはならないし、細々指示を出し続けるのはかなりの労力がかかることでもあります。
「見えている家事」と「見えていない家事」
「言ってくれればやるのに」という言葉の裏側には、「自分が見えている範囲での家事ならやれるけれど、見えていない部分まではわからないよ」という前提があります。
でも、実際の家事は“見えていない部分”の方がずっと多いのです。
たとえば、洗濯物ひとつ取っても「干す」「畳む」だけでは終わりません。天気を見て今日干せるか判断したり、子どもの体操服を明日までに仕上げないといけないことに気づいたり、濡れたタオルを先に回さなきゃと優先順位を入れ替えたり。こうした判断や段取りの積み重ねがあるからこそ、家事は回っているのです。
見えている動作だけを切り取れば「やってるつもり」になれる。でも本当に大変なのは、その背景にある「気づき」と「段取り」なんですよね。
「言われないとできない」をどう乗り越えるか?
では、「言ってくれればやるのに」から抜け出すためにどうしたらいいのか。
僕が多くの家庭で聞いてきた中で有効なのは、次の2つです。
1つ目は「家事を一緒に可視化すること」
ふだん、家事は言葉にされないまま進んでしまいます。だから「どんな家事があるのか」を紙やアプリに書き出してみると、はじめて「こんなにあるの!?」と驚くパパも多いんです。
2つ目は「役割を事前に決めておくこと」
「必要になったときに声をかける」ではなく、あらかじめ「ゴミ出しはパパ」「子どもの連絡帳チェックはママ」「休日の朝ごはんは交代制」などと決めておくと、指示がなくても動けるようになります。
役割分担といっても、きっちり線引きしすぎる必要はありません。「これだけは自分の担当!」という得意分野をそれぞれ持っておくだけでも、日々の“言った言わない”のストレスはぐっと減っていきます。
小さな一歩から始めてみよう
大切なのは「じゃあ今日から何ができるか?」です。
まずは「この家事は自分の担当!」と決めてしまうのが一番わかりやすい方法です。たとえば「朝の食器洗い」「子どもの送り出し」「ゴミ出し」など、毎日の暮らしに欠かせないけれど小さめの家事を選ぶと続けやすい。
そして、ママ側も「なんで気づかないの!?」と怒る前に「ここはあなたの担当でお願いね」と最初にルールを作っておくと、無駄なイライラが減っていきます。
家事は“責任を持って一緒にやる”もの。
「言ってくれればやるのに」を「言わなくてもやってくれる」に変えていけたとき、家族の空気はぐっと軽くなるはずです。