教えてくれたのは……天野千恵里(あまの・ちえり)先生

一級建築士・風水師。大手ハウスメーカーで設計・インテリア業務に従事後、「住まいで運気を高めたい」という声をきっかけに本場中国伝統風水を学ぶ。25年以上、延べ4000件以上の鑑定実績を持つ。住宅・店舗・オフィスの風水鑑定や設計提案を行い、「運気の流れまで整った空間づくり」に定評がある。YouTube「開運風水チャンネル」は4万人登録。
SNSなどで広まっている「風水の誤解されがちなポイント」
SNSでは、風水が手軽に紹介される一方で、本来の中国伝統風水とは異なる情報が広まっていることも少なくありません。たとえば、代表的な誤解には次のようなものがあります。
- 「西に黄色を置くと金運が上がる」:黄色い物を置くだけで運気が変わることはありません。
- 「トイレに八角形の鏡を置けば開運する」:置いても特別な意味はありません。
- 「玄関に塩を置くと悪い気を防げる」:風水的な根拠はありません。
総体的に見て、「特定の方位に何かをする」という考え方が多く見受けられます。しかし、何かを置けば運気が変わるといった方位だけで判断する風水は、中国伝統風水とは異なる考え方です。
また、「家相」と「風水」を同じものとして混同されることも多いのですが、鬼門や裏鬼門は日本独自の家相の概念であり、風水とは別のものなのです。
じつは一人ひとり風水の正解が違う。「中国伝統風水」の考え方
私が行っている中国伝統風水は、「西に黄色」や「開運グッズを置く」といったものではありません。目に見えるものから判断する「巒頭(らんとう)」と、目には見えない気の流れから判断する「理氣(りき)」を組み合わせて判断します。
- 「巒頭(らんとう)」:建物の周辺環境や地形を見る
- 「理氣(りき)」:方位や建築された時期を読み解く
さらに、その場所に住む人や働く人との相性まで総合的に判断します。中国伝統風水は、人が本来の力を発揮しやすい住まいや職場の環境を整える、実践的な統計環境学です。
※中国伝統風水では、生命エネルギーを表す文字として「氣」を用います。本記事では読みやすさを考慮し、本文中では「気」と表記しています。
中国伝統風水でいう「運気」とは?
単なる幸運や偶然ではなく、「環境と時間が人に与える影響」のことです。建築された時期、建物の周辺環境、入口方位、間取りなどによって、同じ人でも力を発揮しやすい場所と、疲れやすい場所があると考えます。風水は、その人に合った環境を整え、良い判断や行動が生まれやすい状態をつくるものです。
<本来の風水鑑定で見るポイント>
- 建物が建てられた時代の運気
- 周辺環境(建物、道路、水、山=現代ではビルの場合も)
- 入口がどの方位を向き、どのような気を取り込んでいるか
- 八方位ごとの「金運・人間関係・健康」など、エリアごとの気の強弱
- 邪魔する気がある場合の封じ込み方
- 四神相応(地形の配置)のような広域の地形バランス
これらを総合的に鑑定することで、 その場所が「商売がうまくいきやすいか」「エネルギーが高いか低いか」などを判断できます。良い気は取り込んで建物の中に均等に巡らせる、悪い気は封じ込めることで、人の行動や判断が自然と良い方向へ向かいやすくなります。
人と家にも「相性」がある
人に誕生日があり、それによって八種類の「本命卦(ほんめいか)」のどれかに分類されるように、家にも「建った時期=誕生日」があり、家にも性格があります。つまり、住む人と家には相性があります。
住む人と家の「気運の整合性」を見ることで、 その人にとって何が良く働き、何が悪いのかが一人ひとり異なってくるのが本来の風水です。そのため、風水で厳密に家を見立てようとすると、一人ひとり答えが変わってくると言えます。
一級建築士から見た「運気が良い家」と「運気が悪い家」の違い
一級建築士の視点から見ても、「運気が良い家」は建築的観点からもストレスがなく、気分良く暮らせる“住みやすい家”といった特徴があります。住みやすい家を整えることは、運気の良い家に寄せていくことでもあります。
運気が良い家の特徴
これまで多くの中国伝統風水鑑定をしてきて感じるのは、運気が上がっていく家には、単に「きれい」「片づいている」というだけではなく、外から入る気を受け止め、家の中に巡らせ、人が良い状態で行動できる環境が整っているという共通点があることです。
風水的観点から見て、統計学上で家の入り口から良い気が入りやすい構造であることが重要です。さらに家の中では、住む人によって、その人のもつ気運と相性の良い気運の高い場所で寝ることができると、運気が上がっていく家になると言えるでしょう。健康の運気が上がり、人間関係が円滑になり、お金の面でも心配がない状態へ向かっていきやすくなります。
運気が悪い家の特徴
反対に、運気が停滞しやすい家には、気の巡りが悪い傾向があります。自然環境的に見ても、光が当たらなかったり、ニオイがこもっていたり、お手入れが不十分で物が多く乱雑になっている家は、気の流れが乱れやすい状態になります。
中国伝統風水は、方位や色だけで判断するものではなく、人と家の相性や環境の気の流れを総合的に整える叡智(えいち)です。それを踏まえたうえで、みなさんに共通して役立つ“気の巡りを整える”基本もあります。次回の記事では、「家の“気の入口”とされる玄関が運気アップのカギになる理由」についてご紹介します。





