家庭を揺るがすお金の不安
食料品や日用品、エネルギー価格の高騰ニュースは止まりません。
加えて、年金支給額の低下やコロナによる地域経済への打撃。
若い世代で高齢者を支えていく社会の構図には悩まされますよね。
また、数十年前より地域社会の繋がりが希薄となり、核家族世帯も増えました。面倒なしがらみからは解放された一方、「自分の身は自分で守る個人化社会」は「不安を分け合いにくい社会」ともいえます。
地域によっては世帯収入が1000万円あっても足りないと嘆く方もいます。
子どもの進学費用や習い事費用もあなどれません。複数人いれば数倍にも膨れ上がりますよね。
家庭の経済不安がもたらす影響
家庭内の経済に潤いがなくなると、家族にはどんな影響が生じるのでしょうか。
娯楽の減少
旅行や娯楽施設に足が遠くなる、外食を控えるなど、休日のイベント出費を抑えている方も多いのでは。
コロナ渦もあいまって、家族のリフレッシュ時間が少なくなっているのではないでしょうか。
無駄な支出への苛立ち
飲み会続きで帰りが遅い夫に苛立つ、高い授業料を払っているのに成績が伸びない子どもに悩む。
家族がなんとなくピリピリするようなときもありますよね。
計画通りに進まない貯金や理想と違うプランに頭を抱える方も多いのでは。
家計が圧迫されると、無駄と思われる支出に怒りを向けやすくなります。
節約による我慢
家計の余裕と心の余裕は比例します。
光熱費や物価高騰により、食費を抑えたり、電気代を節約する方は多いのではないかと思います。
節約術を楽しんでいる方もいれば、我慢を強いられている方もいますよね。
不安に対する対処法
苛立ちの背景にある不安に気づく
なんとなくイライラする、モヤモヤする気持ちの背景にある気持ちの理解が必要。
「何に苛立っているのか」だけでなく、「何を不安に思っているのか」視点で考えてみるのが大切です。
ニュースひとつとっても、感染症、虐待、物価高騰、地震や災害、情報漏れや詐欺、重大事件など。不安を煽るニュースは数知れません。
どんな話題で気持ちが揺さぶられるのか。何に影響されやすいのか。社会のどんな事柄が自分の生活に影響しているのか。
漠然としたモヤモヤを具体的な不安や不満として認識し、理解するのが重要です。
結びつきを紐解く
職場での苛立ちを家族にぶつけてしまうなど、誰しも八つ当たりをしてしまうときはありますよね。
明確に八つ当たりと気づけるときもあれば、知らず知らずに当たってしまう場合もあるのでは。
不安は不満に変わりやすく、懸念は怒りに置き換えられます。
- 先行きの見えない不安が、偏差値が足りない息子への不満に置き換わる
- 家計の支出増加の懸念が、夫の飲み会への怒りに置き換わる
どんな「不安」や「懸念」が、「不満」や「怒り」に置き換えられているのか。紐解いて考えていくのが重要です。
不安を解消するための具体策を考える
物事が上手く運ばないとき、周囲に変わってほしいと願う気持ちは誰しもあると思います。
しかし、抱えているモヤモヤを他者にどうにかしてもらうのは難しいもの。
まずはモヤモヤ解消のためにできそうな工夫を考える必要があります。
- ライフプランと必要な経費を具体的に考える
- 家計の出費で抑えられる経費を検討しなおす
- 必要なお金を誰がどれだけ賄えるかを話し合う
漠然とした不安を具体的なプラン、そして対処に落とし込むのが第一歩。
感情に飲み込まれる前に、現状を飲み込む
どうにもならない現状に不満があると、感情に飲み込まれやすくなります。
まずは今何が問題となっているのかを整理し、活かせる資源を見つけていくのが大切です。
今できること、今しかできないことを探していけるといいですよね。
参考資料:
「日本版総合的社会調査共同研究拠点 研究論文集[10] JGSS Research Series No.7 123 将来における経済的不安感と主観的健康感との関連についての研究 -JGSS-2008 データを用いた分析-」 三澤 仁平https://jgss.daishodai.ac.jp/research/monographs/jgssm10/jgssm10_10.pdf