食事中でも娘がスマホを手放さない……。SNSに隠された“中毒性”を考える

家族・人間関係

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2022.09.12

臨床心理士・公認心理師のyukoです。自室でもリビングでもずっといじっているスマホ。食事中は手放すよう言っても通知がなると確認せざるを得ない。特に女子高生とSNSは切っても切り離せない時代になったのではないでしょうか。「インフルエンサーの成功を見せつけられている」と感じ、落ち込みながらもスマホを手放せない女子高生も増えているようです。なぜそこまで夢中になるのでしょうか。SNSに隠された中毒性と思春期の子が抱きやすい承認欲求について考えていきます。

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「認められるチャンス」が「認められたい欲」に

承認欲求とは、「他人から認められたいと思う気持ち」や「周囲から一目置かれるような存在への願望」。

SNSが急速に普及し、誰でも情報を発信する機会、「バズる」チャンスを得られるようになったといえます。
つまり、特別な才能や秀でた能力を持っていなくても、広い世界から注目を浴びる可能性を誰しもがもつ時代になっているのです。

「諦めなければ無限の承認が得られるかもしれない」
この期待こそが、終わりのない承認欲求へと繋がっていくのです。

なぜSNSにハマるのか

数値で可視化できる自分の価値

インターネットが普及していない時代、自分を認めてほしいと思う相手は親や家族、身近な友達、先生、上司の幅に留まっていました。
見えない相手を意識する機会はほとんどなく、身近に関わる相手との関係性が限界であり、十分でした。

しかし今は、同世代の子がどんな服を着て、休日はどこに出かけているのか、どんな友達と一緒にいるのかを手元で見られます。
SNS上のインフルエンサーは、芸能人よりも身近で、努力次第で近づける存在のように感じやすい分、影響力も大きいよう。

インフルエンサー出典:stock.adobe.com

発信した投稿に反応があると、見えない誰かに影響を与えている感覚も手に取って感じられます。
相手が自分をどう思っているのかわからない現実のコミュニケーションよりも明確ですよね。

そして「いいね」やフォロワーの数は自身の価値を可視化している感覚にも陥りやすいんです。

発信する自分を選べる

学校や家庭などリアルで身近な場において、自分の居場所を見つけられない子にとって、SNSは「自分を賭けられるもうひとつの場」としても機能します。
際限なく広がる世界を見て、SNSこそが「本当の自分を表現できる唯一の場」と感じている子も多いようです。

SNS上では、顔や体系を加工したり、アバターを使用して、人と繋がることができます。
コンプレックスを隠した理想の自分を表現でき、お気に入りのキャラクターを分身として動かせる世界は、たしかに魅力的ですよね。

「自分が決めた自分」でいられる空間は、ときに現実以上に魅力的なのかもしれません。

スマホを操作する女子高生出典:stock.adobe.com

受信するメッセージを選べる

自ら発信する情報を選べると同時に、受信するメッセージも選別できます。
もちろん、ネット上の誹謗中傷は問題になっており、顔が見えない相手だからこそ強い言葉を投げかけられるときもあります。

しかし、反論や批判をしてくる相手をミュートし、ブロックすれば、二度と関わらないようにコントロールすることもできますよね。
日常生活では、相性が合わない子の意見に耳をふさいだり、一方的にブロックできません。

気に入らない相手を手元から消し、味方になってくれる相手だけにできるのも、SNSの利点といえるのではないでしょうか。

飲み込まれずに付き合っていく術を身につける

中高生が友達と対面で話す時間よりもSNSを通じて人と関わる時間が多いと聞くと、少し不安になる方もいるのではないでしょうか。
しかし、SNSが支えとなる居場所となったり、日常では得られない知見に触れられたり、利点があるのも事実です。

これからSNSと付き合っていく上で大切なのは、用法用量と適度な距離感です。

SNS上の反応に一喜一憂して振り回されていないか。
今自分がどのくらいSNSの情報に左右されているか。
SNS以外の日常もしっかりと楽しめているか。

女子学生出典:stock.adobe.com

何事も、飲み込まれず適度な付き合い方を学んでいくのが大切。
「侵食」されるのではなく、「利用」する術を身に着けていけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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