「おかずの種類、少ないかな…。」あなたを苦しめる“ちゃんとしなきゃ”の呪縛のお話

カルチャー

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2023.05.29

子育てをしていると、なるべく子どものことを肯定してあげたくなります。 「なんでできないの?」と言うよりも、失敗したって「ここまでチャレンジできたんだね!」と認めてあげたい。 けど、自分自身にはどうだろう? 子育てがんばってる自分を肯定できてる? 家族に毎日ご飯を作ってる自分をねぎらうことはできてる?

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みんな自分には口が悪い?

ぼくは散らかったわが家を目にすると「片付けのプロとして仕事をしているのに、なぜこんなに部屋が散らかるんだろう」と自分を責めてしまうことがあります。
他にも、家事の負担が自分にずっしりとのしかかって苦しいとき「家事シェアのプロなのに、なぜシェアできていないんだろう」と思うことも。

自分で自分を責めてしまう。

こうなると、誰に「そんなことないよ」と言われても「そう言われても、実際はさ……」と負の悪循環に落ちてしまうことも。

自分に襲いかかる「ちゃんと」の呪縛

家事育児にしても仕事にしても。ぼくたちはどこか「ちゃんと」しなくちゃならないと思ってしまいます。
日本人の「ちゃんと」は美談にもなりますが(ちゃんと順番を守る、公共の場をちゃんとキレイに使うとかよく話題になります)一方で自分自身を苦しめる原因だったりもします。

悲しむ女性出典:stock.adobe.com

ちゃんと美味しくて栄養バランスのいい食事をつくること。
いつだって家がちゃんとキレイであること。
子どもがちゃんとした学校へ行き、ちゃんと勉強すること。

では「ちゃんと」って何なんでしょうか。それはもしかしたら「正解」のことかもしれません。

間違っていない選択、正しい道、普通で常識的なこと。「ちゃんと」という言葉にはそんなイメージがあります。
だけど、そんなにすべてに正解なんてあるのでしょうか。

とくに家事や育児。
他の人がどうだとか、有名なあの人はこうしてるとか、普通はみんなやっている、とか。
なにもそんなに難しいことじゃない。これくらいはできてしかるべき、普通で当たり前のこと。

そういった「ちゃんと」の呪縛にとらわれるほど、苦しくなる気がするのです。

自分の中の「ちゃんと」の呪縛に目を向ける

そういうぼくも、「ちゃんと」の呪縛からなかなか逃れることができません。
自分だけじゃなくて、他人にまで求めてしまうことだってあります。

子どもを怒る親出典:stock.adobe.com

ちゃんとルールは守って欲しいし。
ちゃんと丁寧に接客だってして欲しい。
ちゃんとしたご飯を家族には食べさせてあげたいし。
ちゃんとしたリズムで生活をしていたい。
ちゃんと学校に行って欲しいし、ちゃんと勉強もして欲しい。

一つひとつはそんなにストイックなことを求めていなくても、集まってくると相当ストイックな常識にがんじがらめ。
それに、社会や家族、子どもにまでこの「ちゃんと」を求め始めると、あらゆることがギクシャクしだす気がします。

そんな正解風の「ちゃんと」にとらわれている自分を見つけると、「ああ、生きにくいなぁ」と思ったりもする。
もっと、お互いに許し合える社会になればいいのに。
でも、まずはもっと自分を許してあげられるようになることが先なのかもしれません。

リラックスする女性出典:stock.adobe.com

SNSを眺めていると数多くの「正解」で溢れています。
なんか「こうしなきゃダメなんだー」って思わされるような、刺激的な言葉がたくさん。
「これが正しい」「これを知らなきゃ損する」「こういう人はダメだ」と、それも発言する人によって内容が変わるんだから、人の数だけ正解がある状態。その上、その人達がみんな「自分が正解だ」と主張しあっているのだから大変です。

そんな他人の考える正解風を、無造作に自分の中にインストールしてしまわないようにすること。

これだけ過剰な情報社会で自分の考えを軸に持とうと思ったら、何もかも取り入れてしまわない意識が大事なのかもしれません。

ちょっと疲れたなと思ったり、相手にイライラしたり、思い通りにならないときには。
自分の中にある「ちゃんと」をもう一度振り返ってみるといいかもしれません。

そして、その「ちゃんと」は本当に必要なことなの? と問いただしてみる。
案外、べつにどうでもいいことだったりするかもしれません。

もっと気楽に、生きていたいなと思います。

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著者

三木智有

三木智有

NPO法人tadaima!代表 日本唯一の家事シェア研究家/子育て家庭のためのモヨウ替えコンサルタント。著書に『家族全員自分で動く チーム家事』がある。

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