子どもの学習効果を促進する「ChatGPT」の賢いつかいかた

家族・人間関係

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 子どもの学習効果を促進する「ChatGPT」の賢いつかいかた

2023.07.19

臨床心理士・公認心理師のyukoです。今ニュースでも話題のChatGPT(会話やテキストに対して応答する人工知能)。様々な領域で活用が広まっていますが、懸念されているのは子どもの利用について。東京都教育委員会は、子どもが宿題で回答を丸写ししないよう注意喚起を発表しました。子どもとChatGPTをどう付き合わせていけばよいのか、考えてみます。

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ChatGPTって子どもに使わせてもいいの?

今話題のChatGPT。
企業では、メールやマニュアルの作成、文章の要約や翻訳、データ分析など幅広く活用され始めているようです。

一方、心配されているのは子どもとの付き合わせ方。
答えをすぐに教えてくれるのはもちろん、「小学3年生が書いたように」「文章題の回答として簡潔に」などの要望も踏まえられてしまうのが、懸念点といえます。

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子どもの利用を禁止するのもひとつですが、長期的な視点でつきあい方を考えていくのも大切。
ChatGPTと子どもの付き合い方を模索していきます。

子どもの学習効果を促進するためのChatGPT活用ガイド

コツや方法を尋ねる

ChatGPTの利用が子どもに浸透することで大人が懸念するもののひとつに、「思考する力の低下」がありますよね。
たしかに、回答を聞いてそのままコピーしていては成長過程で得るべき思考力が失われてしまいます。

例えば、「ごんぎつね」の読書感想文の課題が出たとき
「「ごんぎつね」の読書感想文を書いて」と打ち込むと、確かにChatGPTは大人が書くような解説文を生成します。
しかし、それをコピペすると先生にばれてしまいますし、もちろん本人の力にはなりませんよね。

では、こんな使い方はどうでしょうか。

  • 「「ごんぎつね」の読書感想文を書くにあたって、大切なポイントを教えて」とコツを尋ねる。
  • 「「ごんぎつね」の読書感想文、どうやったら上手に書ける?」方法を尋ねる。

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このように聞くと、「1.物語を注意深く読む:まず物語をよく読みこみ、キャラクターの細部に目を向けて流れや展開を把握します」など、5項目にわたって答えてくれます。
親子の会話では、子どもが「どうやって書けばいいの?何も思いつかないよ~」と話した際、親も何を言えばいいのかわからず「思ったこと書けばいいのよ」と返答するなんてときもありますよね。

親が上手く答えられないとき、ChatGPTを活用し、ひとつの参考にできれば、子どもの思考力はより豊かになるともいえます。

ChatGPTが、子どもに「考えなくてもよい」と思わせるものではなく、「どう考えたら面白くなる?」と思わせるものになりえるといいですよね。

興味を広げる、深める

ChatGPTで自由研究はこなせませんが、残念ながらレポートを書かせてしまうことはできてしまうんです。

例えば、ChatGPTに「炭酸飲料を使ってパンケーキをふわふわにする自由研究を行います。研究計画から結果までレポートを書いて」と打ち込むと、目的・材料・手順・結果・考察まで、見事なレポートを書いてくれます。

これを聞くと、やはり子どもには使わせない方がいいのではと感じる方は多いかもしれません。
ですが、GoogleやYahooの検索、SNSでの質問によっても、近い答えは手に入ってしまうのが今の時代。

そこを逆手に取り、大人が“より深く人にしかできない研究”に導くのもひとつではないでしょうか。

例えば

  • 「他にパンケーキに入れてふわふわになるものは?」と尋ねて比較実験をする。
  • 「ふわふわパンケーキの開発について、まだ研究中の領域は?」と尋ねて新しい研究を考案する。(例えば「香りや風味の研究」はアイデアや手法が模索中だそうです。「香りや風味の研究を家庭で行うにはどんな方法がある?」と尋ねれば実験の例が提示されます。)

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このように、ChatGPTを活用し、「なんで?」「じゃあこういう場合は?」と知的好奇心を育てていくのもひとつの使い方といえそうですよね。

「ChatGPTと小学生とのつきあわせ方」、ChatGPTはどう答える?

ChatGPTに、「小学校5年生の子どもがいます。ChatGPTをどう使わせたら有効な学習に繋がる?簡潔に教えて」と聞いてみました。
回答は「1.監督と共同使用 2.学習目的を明確化する 3.確かな情報源との併用 4.ライティングや表現力のトレーニング 5.健康的な利用とバランス」とのことでした。

「なるほど、たしかに」と感じてしまうのは、AIに頼ってしまっている証拠でしょうか(笑)
子どもも大人も、AIに翻弄されるのではなく、より幅広い視野や知見を得るための手段として活用できるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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