なんでうちの子、はっきり断れないんだろう。
自分の気持ちをはっきりと伝えたり、Noと断ったりするのが苦手な子は多いものです。
単に大人しいだけではなく、相手の顔色を気にしたり、Noと言うのはよくないことと感じている子も。
はっきりと主張するのに抵抗がない人からすると、「どうして?」と感じる時もあるかもしれません。
ですが、嫌と言っても許される状況なのか、相手が機嫌を損ねたらどうすればよいのか、そもそも自分の気持ちをどう言葉にすればよいのかわからない子には、まず安心できる場所でNoと言っていく練習が必要なんです。
上手にNoと伝えるスキルは自分を守るためのとても大切なスキル。
断るスキルを育んでいくために必要な環境やフォローを考えていきます。
まずは家庭内でわがままを言う練習を
家族に対してNoと言ったら叱られてきた子は、友達に対してNoと断るのが難しくなります。
相手の機嫌を損ねないように自己主張を抑え、結果何を言ったらよいのかわからず黙ってしまうんですね。
しかし、そのような子だけがNoと主張できないわけではありません。
親が穏やかに子どもと関わっていても、Noと断るスキルが育ちにくい子もいるんです。
例えば、親が先回りして子どもの好きなもの・不自由のない時間だけを用意し、不満を言う機会がほとんどない子。
温かすぎる温室で暮らしてきた子も、家庭外の理不尽な場面にどう対処してよいかわからなくなってしまうんです。
まずは不満を言う機会が適度にあるかどうか、そしてその不満を家族はどう受け止めているかを見てみる必要があるんですね。
自分の気持ちを見つけて言葉にする練習
「はっきり断りなさい」「嫌なことはきちんと言わないとわかってもらえないよ」と伝えても、自分にとって何が嫌なのか、どうしてそう思うのかを上手く説明できない子がほとんど。
例えば、
消しゴムやシャープペンなどを友達に貸したAちゃん。悪気があるのか、借りたことを忘れているのかわからないけど、貸した物を返さないBちゃん。そんなとき、BちゃんはAちゃんにまた「ちょっとこのノート貸して」と言ってくる。上手く断れないAちゃんは家に帰り、悲しそうに母親にこのことを話す。
Aちゃんのような子は、友達が困っていたら貸してあげたい優しい気持ちと、前に貸したものを返してくれていないモヤモヤ、また返してくれないんじゃないかという不安が混ざって、どうすればよいのかわからなくなってしまうんです。
そんなとき、大人であればBちゃんと適度に距離を置いたり、「今持ってないんだ」とやんわり断ったり、「そういえば前に貸したのってどうなってる?」とライトに聞いたりできますよね。
子どもは加減がわかりにくく、"断ったら嫌われるかも"と心配になると何も言えなくなってしまいます。
まずは周囲の大人が、複雑に入り混じった気持ちを紐解いて代弁し、断れない背景にある気持ちを整理してあげるのが必要です。
「嫌だと思う気持ち」を自他ともに受け入れていく
なかなかNoと言えない、断れない子の中には、消極的な気持ちをもつことに罪悪感を感じている子も多いです。
断ったら相手を悲しませてしまう、自分が我慢すればことが上手く運ぶと思い、丸く収めるために主張をやめてしまうんですね。
Noと言えない子の中で意外と多いのが、家庭で誰も愚痴や不満を言わない環境に育ってきた子。
理不尽な状況であっても相手のせいにせず、どこか自分に非があったと捉える癖が自然と身についてくると、「大丈夫だよ」と気持ちを抑えやすくなっていくんです。
「そのような状況だったら嫌だと思うのは当然」と、ときに親が子どもの代わりに怒ってみせるのも支えになるでしょう。
また、人や状況、境遇に対する不平不満をもつのは当然だという姿勢を見せていくのもときに必要となります。
どんな感情も、尊重されるべき大切なものなんだという認識を育んでいけるといいですよね。