「パパの話、家でしない方がいいよね。」シングル家庭の子どもが悩みやすいこと

家族・人間関係

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2023.09.16

臨床心理士・公認心理師のyukoです。離婚率が年々上昇している昨今、シングルでお子さんを育てる方も増えてきました。そんな中で考えたいのがシングル家庭の子どもが抱きやすい悩みについて。どんなときに悩みやすいのか、何を不安に思っているのか。親ができる対処とともに考えていきます。

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離婚したけど、子どもはどう思ってるのかな?

3組に1組が離婚といわれる今の時代。
もちろん離婚と一言で言っても、経済状況や周囲の環境など、個々の事情はそれぞれ。

ただ、共通の悩みとして多く上がるのが「子どもについての心配」。
離婚によりシングル家庭となった子どもが悩みがちなことや、繊細な話題とのつきあい方について、考えてみます。

シングル家庭の子どもが悩みやすいこと

友達に話してよいのか、どんな風に伝えればよいのか

苗字や住所が変わったり、今までと同じような遊び方が一緒にできなくなったとき、友達にどう伝えればよいのか迷う子がいます。

「離婚」と言ってよいのか、誰になら伝えてよいのか。詳しく聞かれたら何をどう話せばよいか。

中学・高校くらいになると、事情を汲んでくれる子もいるかもしれませんが、小学校の間はまだ難しいもの。
悪気なく心無い言葉をかけてしまう子やネットで聞きかじった情報を言ってくるような子もいるんです。

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「友達に聞かれたらこんな風に伝えてほしい。」、「今はまだあまり知られたくないから家族ぐるみで仲良い子以外は『わかんない』と言っておいてほしい。」
など、共有しておけると安心ですし、言った言わないの親子喧嘩も生じにくくなります。

友達と休日の話をしにくい

家庭内に両親がいる子であっても休日の過ごし方はまちまちですが、シングル家庭の子の中には家族旅行に行った話や「パパと釣りにでかけた」「ママとショッピングをした」などの話が気にかかる子も多いよう。
どうしても自分にはないもの、欠けてしまったものに目を向けやすくなるんですね。

日々寂しい思いをさせないように心を配っている方は多いですが、できる範囲で「わかりやすい楽しみ」を休日に作っていけるとよいでしょう。

例えば、従兄弟とテーマパークにでかける、長期休暇に祖父母の家へ1週間行く、近場で行きたいところに連れて行ってあげるなど。

毎週頑張る必要はないのですが、心に残る思い出を作っていくのが大切です。

家で親の話をしてもいいのか

なんとなく親が話を避けていたり、電話で祖父母とこそこそ話していたりすると、子どもは「パパ(ママ)の話しない方がいいのかな?」と感じるようになってきます。

別れたパ―トナーの話がタブーになると、友達が行っていた家族旅行の話、ホームドラマの家族団らんシーン、パートナーが好きだった食べ物の話など、知らず知らずのうちに気まずい話が増えていくもの。

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「パパとママはお別れしたけど、親であることは変わりないから話しても大丈夫」と伝えたり、話せる範囲で親の方からパートナーの話題を持ちかけられると子どもの負担は軽くなるでしょう。

自分が親からどんな風に思われているのか気になる

家を出て行った方の親は自分を大切に思ってなかったのかな?

両親で子どものこと押し付け合ったりしてないかな?

どんな話し合いで別々に暮らすと決めたんだろう。

どちらか一方の親とのコミュニケーションが十分でなかったり、子どもが知らないうちに話を進めていたら、「親は僕(私)をどう思っているんだろう」と不安の種が残ります。

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また、「どっちについていく?」と子どもに決定権を委ねる家庭は多くあります。
もちろんそのように聞くのがよいとも悪いとも判断することはできませんが、子どもは子どもなりに複雑な心境があるようです。

あのとき自分がママ(パパ)って言わなかったから、怒ってないかな?

どんな風に答えるのが正解だったのかな?

子どもは子どもなりに一生懸命親の気持ちを推し量っているものです。
その時々で、子どもを大切に思っている気持ちを率直に伝えていくのが肝心です。

そのときに気づけなくても大丈夫

離婚は人生においても特に大きなストレスになりやすい出来事。

今後どうしていくべきか、子どもにとって何が一番よいか、生計はどう立てていくか。パートナーとはどう話し合っていくか。
親として考えなければいけないものが次から次へと降ってきて、子どもの気持ちが見えなくなるときもあるでしょう。

子どもが悩んでいる瞬間に気づけなくても、気づいたときに子どもの気持ちを尋ねて大切にしていければ、心は癒していくことができます。
時間をかけて、親子の絆を深めていけるといいですよね。
 

参考:厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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