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二度の離婚に3人の子育て…苦労の末、50歳で短大に入学して保育士の資格を取得!「幸せを掴む」秘訣とは

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 二度の離婚に3人の子育て…苦労の末、50歳で短大に入学して保育士の資格を取得!「幸せを掴む」秘訣とは

2023.03.21

オリジナル連載『わたしは〇〇で人生が変わった』第10回目。20代の頃、自分が40歳になることを想像してどう感じていましたか? 「40代なんて、もう人生が終わりかけじゃん」とか、「そんなに年齢になるのが怖い!」なんて思っていた方も多いのではないでしょうか。若い頃は、年齢を重ねることにネガティブな印象を持ちがちです。ですが、実際は年齢を重ねたからこそ出会える喜びや楽しみがあるんです。「今が楽しい、将来が楽しみ!」と語る、人生を謳歌しキラキラ輝いている方のお話は、きっとあなたに「40代から人生を楽しむヒント」を教えてくれるでしょう。

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連載:わたしは〇〇で人生が変わった!40歳から人生はもっと楽しくなる

今回お話を伺ったのは、Nさん(52歳)

人生年表

3児を出産後、まさかの夫の借金発覚で離婚。その後、再婚しますが、そちらも縁なくバツ2のシングルマザーに……。心機一転、福島へ引っ越しをしますが、残念ながら地域に馴染めず、今度は東京へ。なかなか自分に自信を持てなかった彼女を変えたのは、シングルマザー時代に偶然出会っていた保育の仕事と、「学び直し」の経験だった。

未就学児3人を抱えて、途方に暮れていたとき……

保育に出会う出典:stock.adobe.com

ーー保育の仕事に、初めて出会った時のことを教えてください

Nさん:当時は離婚したてで、さらに次女が生まれたばかり。上の子もまだまだ小さくて、3人の未就学児を抱えては、外で働くことができなかったんです。

そのとき住んでいた家の周りは、同じような子育て世代ばかりで、働きたいと思ってる人も多かったんです。そこで、行動力のあるお母さんたちが、自主的に学童保育を立ち上げて、自分達が働けるような仕組みを作っていました。私にも「家にいて子どもの面倒を見ているなら、お手伝いに来てほしい」と声がかかったんです。

私は「自分の子も連れて行っていいなら」という条件で、その学童保育で働き始めました。

ーーまさに、偶然の出会いだったんですね

Nさん:はい。私は高卒で何の資格もないし、経験してきたのは結婚と出産だけ。でも、学童はそれが活かせる仕事でした。

学童の良さって、子どもたちの年齢に幅があることだと思うんです。小さい子を大きい子が可愛がってくれるので、その間に私がみんなのおやつを準備したりする。仕事だけれど、当時は大所帯の家庭で、子育てしている感覚でした。

家計は相変わらず苦しい状況でしたが、周りのお母さんたちと支え合い、助け合いながら、人との繋がりが強かったのを覚えています。その頃、この学童の仕事って、楽しいな、いい仕事だなと思ったことを覚えています。

数年後、この学童保育は公的に認められ、Nさんは正式に市の嘱託職員として、本格的に学童の仕事に携わるようになります。

そこで再婚。やっと生活が安定したと思った矢先……

震災をきっかけに、自分の人生を見直す決断「幸せへの最短ルートは?」

離婚出典:stock.adobe.com

ーー2度目の離婚を決めた、きっかけは?

Nさん:家庭内がゴタゴタしている時、ちょうど震災が起こりました。ニュースで被災した方々の言葉を聞くたびに、「今、自分が死んだら、何か後悔するのかな?」と考えてみたんです。

当時、私は保育に関してちゃんと学びたいと思っていました。でも、元夫は同意してくれることはなく……。そのとき、出会った仕事関係の方に、悩みを相談しているうちに「あなたが幸せになる最短ルートってなに?」と聞かれたんです。

私が出した答えは「お金がなくても、自分らしく笑って生きる生活」。

そのために、離婚を選択しました。

離婚したことで、なかみえさんは再び生活基盤を失います。でも子どもの学費を稼ぐために、学童を含め3つの仕事をかけもち。寝る暇もないハードな日々が続きました。

大学での「学び直し」が自分を変えて行った

ーー離婚を機に、福島へ移住したのはなぜですか?

Nさん:3つの仕事を掛け持ちして働いていたので、常に忙しく、休みなしの状態でした。友人からLINEをもらっても、返す暇もないし、玄関を開けっぱなしにしたまま、爆睡してるなんてこともありました(苦笑)

そんな状況を見かねて、福島の友人が「このままだと死んじゃうじゃないか? 遠くにいると心配だからこっちに来なよ!」と、声をかけてくれました。そこで、実家のある場所から、福島へ引っ越したんです。

でも、地域にうまくなじめなかったこと。そして、学童の仕事の絶対数が少ないことから、Nさんは苦悶。

もう一度、人生をリセットする引っ越しを決断します。

引越し出典:stock.adobe.com

ーーなぜ、実家へ戻るのではなく、東京を選んだのですか?

Nさん:学童の求人数です。東京は子どもの数が多いので、私立公立を問わず求人がとても多い。引っ越し前、求人サイトで検索すると、私の年齢でもスカウトが来ることに驚きました。

ーー新しい職場では「施設長」を任されていたそうですね

Nさん:そうなんです。でも、私は学歴はないし、資格は「放課後児童支援員認定」のみ。あるのはダントツに長い現場の経験だけでした。

そんな私と一緒に働く人たちは、20代の方が多く、有名大学卒業、保育士、幼稚園普通免許などの資格保有者ばかり。お互いが極端すぎるので、うまくいきませんでした。

会話も意思疎通もうまくいかない中、私は彼らと「同じ土俵(=学歴・資格)」に立って、対等な立場でバンバン意見を言い合いながら、切磋琢磨したいと思ったんです。だから、まずは短大(通信)に入って、保育士の資格を取ろうと思いました。

ーー実際に学び始めて、何を感じましたか?

Nさん:学ぶって、楽しいなーって(笑)。色々な知識を得ることが、こんなに楽しいなんて思ってもいませんでした。具体的に以前は、子どもたちに接するのって、ある意味「力技」のように、子どもと真剣に向き合えば、問題は絶対に解決すると思っていたんです。でも、子どもの問題行動の裏側には、こんな児童心理があるんだな、とか。その子の背景を考慮して、援助法を考えるとか。学び直ししたことで、たくさんの気づきを得ることができました。

ーーその学びは、職場ではどう生かされましたか?

Nさん:正直、(部下と)意見が衝突したりしたときは内心「コノヤロー」なんて思うこともありました(苦笑)。でも、学ぶことの楽しさを知ってからは、相手の意見に対し、ちゃんと裏付けのある知識を加えて、自分なりのアドバイスをすることができるようになったんです。すると、相手の反応も変わりました。そして、私自身も周りからの良い刺激を、素直に受け取れる自分になれたと思っています。

仕事先ではもちろんですが、学校でも「あぁ、こんな先生がいるんだ」「この先生おもしろいな」「この授業もっと聞きたい」と、自分と違う価値観の人の話を聞くのが楽しくて、新しい刺激の毎日なんです。

勉強嫌いだった私ですが、学ぶって楽しい。学ぶことに貪欲になっていいんだ、と思えるほどになりました。

私は学び直しがきっかけですが、人間は状況によって、いくつになっても、何用にも変わっていけるんです。

学び直し出典:stock.adobe.com

ーーこれからの新たな「学び」の目標はありますか?

Nさん:はい。今は地元に戻り、取得した資格を活かして保育士として働いています。元々、この次は幼稚園教論二種を取得しようと思っていたんです。でも、現場で実際に子どもたちに活かせる学びって、資格より心理の方がいいなと思い直したところ。だから、どうしても四大に行かなくちゃ、と思っています。目標は、今年の9月入学です!

ーー「学び」のきっかけとなった保育を、長年続けられた理由を教えてください

Nさん:ある児童との出会いがありました。その児童は、自閉症で言葉が理解できない障害が。でも自宅で就寝前になるとなぜか「えみさーん、えみさーん」と連呼したのだそうです。それを見たご両親から「うちの子をかわいがってくださり、ありがとうございます」と御礼の言葉をいただきました。その時「言葉が通じなくても、ちゃんと向き合うと心は通じるんだ」と実感したんです。保育の仕事は、子どももご両親も自分までも幸福度が高い、良い仕事だな、と思ったから、今まで続けることができました。

saita読者へメッセージ

Nさん

そんな彼女から、saita読者にエールをいただきました。

Nさん:自分が、今までうまくできなかったことを振り返ってみると、やりたいと言う気持ちよりも、できない理由を先に考えていました。

若い時、大学に行きたい・資格が取りたいと思っていても、お金がない、時間がない、子どもがいるって。でも、保育士だったら、独学でも資格が取れるんですよね。私はそれすら調べることもせず、できない理由だけを見つけて諦めていました。

夢を叶えるのは、行動をひとつずつ積み重ねていくこと。

だからまずは、実現できそうな小さな夢から叶えていって、これができるんだったら、次は何ができるかな? と目標を徐々に大きくしていくのがいいと思います。若い頃の私は、それができなかったから。なにわともあれ「行動あるのみ」です!

このアドバイスをまさに体現した、Nさん。実は学びの延長で、大きな夢を実現されています。大ファンだったプロレスラーの方を、勤務先の施設に招致するイベントを主催されましたそうです。

このとても大きい夢の第一歩は……大好きなプロレスの試合。会場で目立つように浴衣を着たり、社長にメールを送ったり小さな行動を続け……ついに、イベントを開催することができたそうです。「夢を叶えるのは、行動をひとつずつ積み重ねていくこと」そのメッセージをまさしく体現されたエピソードですね。

「自分にはできない」と思ってしまうこともいいですが、そこから一歩。今自分にできる小さな行動をしてみれはいかがですか。

インタビューさせていただける方、募集中!

saitaでは4.50代で新たな挑戦を始めた方のオリジナル連載『わたしは〇〇で人生が変わった』を掲載中です。
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