宿題が進まない…。何をするにも「時間がかかる子」に親がサポートできること

家族・人間関係

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 宿題が進まない…。何をするにも「時間がかかる子」に親がサポートできること

2024.02.01

臨床心理士・公認心理師のyukoです。いつも宿題に追われている、下の子と比べて何をするにも時間がかかる、手を抜いてもいいところを真面目にやるなど、要領が心配な子は多いですよね。作業や課題に時間がかかる子との付き合い方を考えていきます。

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何をするにもゆっくりなわが子を見ていてもどかしい

昔から長女は何をするにも人よりワンテンポ遅れている。
次女が生まれてからは、長女のマイペースさが際立って見えるようになり、要領の良い次女と比べてやきもきしてしまう。
急かしても早くなるわけではないし、長女なりに頑張っているけど、見ていてもどかしくなる。

親出典:stock.adobe.com

このような親御さんの相談を受けることがよくあります。

周りの子よりペースがゆっくりだったり、いつも課題に追われている子、親から見て不器用に見える子。
作業や課題に時間がかかる子にはどのように対応していけばよいのでしょうか。

なぜ周囲と同じペースでできないのか。

まずは周囲より遅れをとっている理由を理解するのが大切。
タイプを理解して、どんな風に声をかけたらよいのかを考えていきます。

いつも期限ぎりぎりに焦っている

提出直前になってから手をつけ始める、期限が迫るまで課題を忘れている。

ギリギリになって焦るのは目に見えているのに毎回同じことを繰り返しているのを見るとイライラしてきますよね。
直前になるまでやる気がでない、ギリギリまで取り組まないけどなんとかクリアする子は、親が腰を据えて見守るのがベター。

一方、見通しをうまく立てられていないから出だしが遅れる子にはフォローが必要。
「〇日までに提出なんだから、早くやりなさい」だけでなく、ゴールまでの段階をスモールステップで一緒に考えていくのが大切です。

例えば読書感想文であれば、「〇月〇日提出←〇日までに清書←〇日までに下書き←〇日までに起承転結など構成を考える←〇日までに本を読み終える」など。
メモに書いたり、カレンダーに書き込みながら予定を立てるのがおすすめです。

カレンダー出典:stock.adobe.com

丁寧に取り組みすぎる

親から見ると、「少しくらい手を抜けばいいのに」と思うほど丁寧にやる子もいますよね。
手を抜けない子に対しては、その子の長所を伸ばしつつ手の抜きどころを伝えるのがポイント。

  • こだわりたいポイントを整理する。
  • 手をかけるところと力を抜くところの優先順位をつける。
  • 課題ごとの目的を確認する。

例えば、漢字の書き取りに何時間もかける子がいます。
一文字一文字を丁寧にしすぎるあまり膨大な時間がかかるんですね。
そんな子には、「覚えることが目的なので、習字のように整った字を書かなくてよい」と目的を共有するのが大切です。

親子出典:stock.adobe.com

また、丁寧に取り組まないといけないと感じる背景には不安が隠れているケースも多いです。
「きちんとしないといけない」「ちゃんとしないと怒られる」と思っている子には「できているよ」「大丈夫だよ」と安心できるような声かけがあるとよいでしょう。

前々から手をつけているのに時間がかかる

計画的にやろうとしているのに追いつかない、常に課題に追われている子もいますよね。
日常において課題がかなり負担になっていたり、他を楽しむ余裕がない場合は、課題の量を調整してもらうのもひとつ。

一生懸命やっているのに課題が終わらない、周囲と同じ量をこなせない経験が積まれていくと、自信とやる気がなくなってしまう子も。
個人個人でキャパシティは異なること、丁寧に取り組めるのは強みになることを伝えながら、できる範囲で頑張れる環境調整が大切なんです。

負担に押しつぶされる前に、担任の先生や塾の先生に相談してみるのがおすすめです。

作業に時間がかかる子はこの先困る?

「小学生のうちからみんなと同じペースでできないと将来困るのでは?」と不安に思われる親御さんは多いです。

しかしそこで、無理に周りと合わせるためのトレーニングや焦らせる声かけをしても逆効果に。
気力を失って余計にペースダウンしたり、焦ってこなそうとするあまりミスが生じやすくなるんですね。

やはり個人によってペースは様々なので、周囲はその子に合わせた環境を選んでいく必要があります。

親子出典:stock.adobe.com

ペースがゆっくりの子がもっとも負担を感じるのは、「周りと同じ」を求められる学生時代。
大人になり、自身の傾向を理解し、能力に合わせた職場を選べば、自然と負担は減ってくるもの。
得意や苦手の把握ももちろんですが、「どんなペースなら力を発揮できるか」もわかっていけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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