「なんとかなる」と思える子、思えない子
進路を考えるとき、将来に対して「まあ、なんとかなるか」と感じられる子と「うまくいかなかったらどうしよう」と不安に思いやすい子にわかれます。
楽観的に将来を考える子と消極的に考えて辛くなりやすい子の差はどんなところにあるのでしょうか。
子どもの前向きな姿勢は、親の声かけなどの意識的な関わりに加え、無意識的な家族内でのやりとり、親の考え方も大いに影響してきます。
今回は、「親の考え方」や「家庭の雰囲気」を中心に考えていきます。
子どもが楽観的になりやすい家庭の雰囲気
完璧じゃない姿を見せている
「子どもの見本になるような親でいないといけない」と考え、家事や仕事、介護をきっちりやっている親御さんの子はやはり親に似やすいもの。
「私もしっかり頑張らないとママ(パパ)みたいにはなれない」と頑張って成果を出そうとしやすくなります。
一方、「親だって人間なんだから」と思い、部屋が多少ちらかったり、食事が手抜きになったりしやすい親御さんの子は心にゆとりを持ちやすいもの。
「まあ、こんなもんだよね」と、できる範囲でおさめたり、できない自分も受け入れやすくなります。
どちらがよいとは一概に言えないですが、やはり大切なのはバランス。普段見せている姿とは異なる「ギャップ」も示していけるとよいでしょう。
過ぎたことは忘れる、流していく
子どもの失敗談、親としてやり直したい出来事、ああしていればよかったという後悔は誰しもあるでしょう。
教訓とするのは大切ですが、何度も振り返り、似た出来事があるたびに過去の話をしていると、楽観的にはなりにくいもの。「この先何年も言われるような大きな失敗をしてしまったんだ」と思いやすくなるんですね。
逆に子どもがよく覚えていても、親が「え、そんなことあった?」と忘れていると、子どもは「重くとらえすぎなくていいんだ」と感じて前を向きやすくなります。
まったく違う人の意見も受け入れている
誰しも自分ひとりで考え続けると消極的になり、「~に違いない」と思い込みやすくなります。
また、似た考えを持つママ友コミュニティや自分の意見に合った人ばかりをフォローしているSNSに長くいると、その思い込みはさらに強固になっていくもの。
一方、意見が違う人の話を「なるほど」と受け入れたり、TVで見かけた自分とは異なる考えに対して「そういう人もいるんだ」と感じられると、柔軟な思考をしやすくなります。
そのような親の姿を見ていると、「無理に正解を出さなくてもいいんだ」「周りが言っている~べきに合わせなくてもいいのかな」と柔軟な考えを持ちやすくなるでしょう。
子どもの成長とともに変化していく親の願望
生まれたときは、毎日よく寝てよく食べて成長してほしい。
歩き始めたときは、大きなけがをしない範囲で世界を楽しんでほしい。
子どもが幼いころ、そんな風に子どもの成長を願っていたのではないでしょうか。
しかし成長とともに、親は子どもが大人になった後の生き方に思いをはせ、不安を感じやすくなります。
勉強を頑張らなければ、このランク以上の学校に入らなければ、周りの子に引けをとらない力を身につけておかなければ……。
不安にとらわれればとらわれるほど、子どもに対して厳しくなり、子ども自身も消極的な考えが強まっていきます。
願望も不安も捨てる必要はありませんが、子ども自身の力や可能性を信じて待つ姿勢を見せれると、子どもの前向きな考えが引き出されやすくなるでしょう。