お話を伺ったのは……NORAさん
世界的な人気を誇るサルサバンド「オルケスタ・デ・ラ・ルス」のメインヴォーカル&作詞作曲家。1961年10月28日生。東京都中野区出身。1984年、オルケスタ・デ・ラ・ルス結成。’87年、単身New Yorkに乗り込み、’89年に自費によるNew Yorkツアーを決行。’90年国内、海外デビュー。全米ラテンチャートで11連続1位を獲得! 国連平和賞、NHK「紅白歌合戦」出演など数々のキャリアを誇る日本を代表するラテンボーカリスト。最新アルバム「Más Caliente 」は、日本、ロシア、パナマのラテンチャート1位を獲得!
人生、60歳まではリハーサル
それにしても「人生、60歳まではリハーサル」とは名言。
この言葉は、NORAさんが30代のとき、キューバのとあるレジェンドミュージシャンから贈られた言葉。
日本で60歳と言えば、定年退職で現役からは引退するというイメージが強い。加えてシニアというカテゴリに押し込められて、新しいことに挑戦するとか、夢を描くことすら許されない「もう大人しくしてなさい」的な圧力を感じてしまう。
ラテン系の人々の楽観的なスタンスが加味されているとはいえ、なんと自由で希望にあふれた言葉! 60代だけではなく、この言葉で「よし頑張らなくちゃ!」と、励まされる40代や50代のリハ世代も多いはず。まだまだリハーサルなんだから失敗しちゃっても大丈夫! どんどんやりたいことに挑戦しよう! と、気持ちが加速する。
初対面でハグ!
取材場所に現われたNORAさんは、エレベーターを降りて私たちを見つけると廊下の遥か彼方から両手を広げてダッシュ! そしてハグ。 初対面がハグとはなんとも贅沢で恐縮してしまったけれど(LIVEでは何度も何度も拝見はしていたが)おかげで一気に緊張がほぐれ、楽しい時間がスタートした。
憧れは石川祐希選手!?
小さい頃から音楽一筋……と思いきや、実は高校時代はバレー部のキャプテン。
「セッター兼レフトアタッカー。リベロも無かった時代ですもん(笑)拾って打って大忙しの大活躍! 指立て伏せなんていうトレーニングもやっちゃって、だからほら! 指、曲がってるの(笑)」
バレーボールの話をする時のNORAさんは「バレーボーラー」そのもの。「今、大好きなのは石川祐希選手! ルックスはランくん(高橋藍選手)の方がタイプなんだけど(笑)石川選手はバレーセンスがピカイチで判断力が素晴らしい! 『うわ!そこ行くか~』って緻密なプレイに魅了されるんですよ。」と、ぞっこん! パリオリンピックの応援にも力が入りそう……。
高3から始まったバンド人生
その後高3でバンドを始め、大学生の時には米軍基地や赤坂のディスコで歌い始めた。本格的に活動を始めるきっかけは、アメリカ人のバンドマンのおじさんの「お前、歌えるじゃん!」のひと言。
当時、仲良しだった爆風スランプのファンキー末吉氏が基地で演奏するというので「それは見たい!」と付いて行き、たまたまBGMで流れていたチャカ・カーンの歌声に合わせて歌っていたら、「じゃあコーラスね」と、即抜擢。そのままステージに上がることに。
「アメリカ人の『やっちゃえよ!』的な、オープンマインドに助けられました。その時はまだ私、ラテン化されていなかったので(笑)そんなにグイグイいけなくて。」
約束が守れない? ラテン系の人々
NORAさんによると、いつも私が参加する大阪のLIVEはノリが良く「日本で1番ラテンに近いんじゃないかな?」とのこと。先に紹介したNORAさんの著書の中では、何度もラティーノ(ラテン系の人々)に裏切られるエピソードが出てくるのだが、もしかして大阪人のイメージもそんな感じ? と、恐る恐る聞いてみた。
「いやいや日本人だもの、それは無い(笑)。教育が違います。海外に行くと実感するけど、7歳から45分間、座って先生の話が聞ける子どもたちは他にはいないんじゃないかな? 大人の言うことを聞く、周囲に気を配る、そしてもちろん約束を守る……日本では全部普通のことですけど、ラティーノには全く無い(笑)。約束を守れる人なんて1000人にひとり……いるかどうか(笑)。」
「約束」「我慢」の無い世界
初期のオルケスタ・デ・ラ・ルスのマネジメントを現地で引き受けてくれたラティーノでさえも、知り合ってすぐにきちんと役目を果たせたわけではなく、少しずつ関係性を築きながら信頼できる間柄になっていった。
「例えばお金が当たり前みたいに無くなっちゃう(笑)。『どうして?』って聞くと『だって欲しいから』って。彼らにはそれが普通で約束とか我慢とかの概念が無い。『真面目に生きてる日本人が独特なのかしら?』とか思っちゃう(笑)。」
ラテン化=自己肯定感アップ
しかし、そんなラティーノたちは、みんなとても幸せそうだと、NORAさんは続ける。
「ラティーノたちは自己肯定感しかない(笑)120%。日本は災害が多いから、日本人は不安因子が多くて心配性。何か悪いことが起こると自分の中に原因を探すでしょ? で、『私のせいだ』って思っちゃう。
ラテンの世界にはそんな風に反省する人なんかいなくて(笑)。イヤなことはすぐ忘れるの。これってとっても大切。『どうして』って辛いことを掘り下げるより、「仕方無い」って忘れるの、この方が絶対いいと思わない?」
瞬間、瞬間を生きる
「悪いことは全部他人のせいにしちゃったりとか(笑)みんな今の瞬間、瞬間を生きてるから、都合の悪いことは忘れちゃう(笑)。ちょっと日本人もラテン化してみてもいいんじゃないの? って私は思うんです。全部を取り入れるのは問題があるかもだけど(笑)。考えたってどうしたってうまくいかないことってあるものね。」
幸福度&自己肯定感が上がる!歌声
予期しないトラブルに見舞われても、不幸を掘り下げて自分の責任にせず、前に進むために忘れる! のがラティーノ流の幸せ術。そして、いつどんな時でも、前向きで自己肯定感MAXにしてくれるのが、NORAさんの歌声。軽快なスペイン語の曲の他にも、サルサアレンジの「涙そうそう」やユーミンのカバー曲に、きっと心を奪われるはず!
【Más Caliente】 オルケスタ・デ・ラ・ルス
Brilla La Luz (Opening)
Más Caliente
涙そうそう NADA SOU SOU (Salsa ver.)
Mi Alma (Japanese ver.)
El Japonés (Salsa ver.)
Stardust
Todo Mi Corazón (Spanish ver.)
太陽のサルサ~¡Salsa del sol!~”ラテン家の人々”
(Spanish ver.)
あの日にかえりたい ANOHINIKAERITAI
La Luz Del Este(Instrumental)
ーBonus Trackー
Mi Alma(Spanish ver.)
Más Caliente(Karaoke)