あなたにとっての「幸福」はどんなもの?
世界中の様々な分野の専門家が登壇し、講演する「TED Talks」。
その中の、ロバート・ウォールディンガー「What makes a good life(邦題:人生を幸せにするものは何?)」という講演から考えてみます。
ハーバード大学の研究者が何代にもわたり引き継いできた幸福に関する研究の調査結果が示されています。
どんなバックグラウンドが、どんな幼少期の過ごし方が人に幸せをもたらすのでしょうか。
そして、大人になり何を手に入れた人が幸福を感じられるのか。
お金や名誉、学歴、地位?
「幸福」を考える上で欠かせない大切なものを知り、子どもにどんなメッセージを伝えていけばよいのかを考えていきます。
ハーバードの研究から明らかになった「人生を幸せにするもの」とは?
ハーバードの研究者らが700人以上を対象に行っている研究が、あらゆる研究の中で、最も長期(75年)にわたると言われています。
調査対象の方たちの背景は様々で、高級住宅街に住む富裕層からスラム街に住む貧困層、名門校出身者から学校に通っていない人、あらゆる職種の人々が含まれているといいます。
数十年にわたる追跡調査の結果、90代になったとき、心身共に幸福を感じている人が共通して持っていたのは「安定した、よい人間関係」であると示されました。
家族、友人、そのほかのコミュニティを持っており、周りとの繋がりを感じられている人は、そうでない人よりも幸せを感じ、健康に長生きするといいます。
また、いざというときに頼れる相手がおり、年を重ねても関係をしっかり持ち続けている人は、そうでない人よりも記憶力が明瞭に保たれることもわかったそう。
「よい人間関係」は脳にもよい影響を与えるんですね。
これは世間のあらゆる問題とも繋がっていくと思われます。
例えば、「職場環境におけるストレス」にもっとも影響しているのは「人間関係」といいます。
仕事においては、キャリアアップややりがい、ライフワークバランスが大切といわれますが、大前提として人間関係の安定・安心感が求められているんですね。
幸福に繋がる人間関係の良し悪しは、気づいたその瞬間から見直せるといわれています。
いざというときに頼り、頼られる人間関係を強め、そうではない人間関係からは離れていく。気づいたそのときから、そんな選択をとっていくのもひとつかもしれませんね。
子どもに伝えたい「価値観」を考える
子どもと進路を考えるとき、友だちとの関係で悩んでいるとき、何かに挑戦しようとするとき。子どもに対するメッセージの中に、親としての価値観、親が思う普通や理想が反映されやすくなります。
そんなとき、親自身の経験や身近な人の例から答える方は多いのではないでしょうか。
自分が通ってきた道、信頼できる人から聞いた話はたしかに、根拠をもって伝えられますし、役に立つときもあるでしょう。
ただ、それだけでは行き詰ったり、狭い世界での見方に留まってしまうときもあります。
「世代が違うから」と、参考にならないと一蹴される可能性も。
経験だけではなく、どんな考え方を「いいな」と思えるか。どのような価値観が役立ちそうか。
その知見を広げていくのも子育てにとって必要なのではないでしょうか。
価値観は、自分から広げようとしなければ身近にある「普通」に侵食され、アップデートされなくなるもの。
「この考え方素敵だな」「こんな風に捉えていけたらいいな」と思える考え方に多く触れていけると、親子双方の視野が広がっていきます。
偉人の言葉だけでなく、”推し”の考え方や恩師が言っていたこと、本屋で目にした何気ない本など、魅力的な考えを思い出したり知ったりし、「価値観のアップデート」をしていけるといいですよね。