わが子が約束を守らずイライラ…。「子どもが納得できるルールの条件」とは

家族・人間関係

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2024.08.14

臨床心理士・公認心理師のyukoです。ゲームの時間やお風呂の順番、物をどこに置くかなど。小さなものから大きなものまで、家族の中での約束事がありますよね。しかしそのルールが守られず、毎日イライラする方も多いのでは。なぜ約束を守らないのか、「守れる約束の作り方」を考えていきます。

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子どもが約束を守らず、毎日喧嘩ばかり。

誕生日に念願の携帯ゲーム機を手に入れたわが子。周りの話を聞いていると、のめり込んでやめられなくなる子が多いというので、ルールを設けることに。平日は1日1時間、休日は1日2時間まで。宿題は必ず終わらせてから行うこと。オンラインには繋がない。しかし1か月経った今、宿題をやらずに勝手にゲームを始める、時間が来ても理由をつけてやめない。約束を守れないなら取り上げると言って、隠してもすぐに探し出したり、怒ってご飯を食べなくなるときも。どうしてルールを守れないの?

注意を受ける子ども出典:stock.adobe.com

「子どもをのびのび育てたい」と考えていても、外出の制限やゲームとの付き合い方、食事中のマナーなど、家庭内での約束事は避けられませんよね。

では、子どもはなぜ、一度決めたルールをなかなか守れないのでしょうか。子どもが守ろうと思えるルールの作り方を探していきます。

子どもが守れるルールの条件

ルールを守る意味を理解している

大人から見ると当然のルールであり、子どもの健康や発育を守るものであっても、子どもからすると納得いかないものは多いです。ルールを一方的に伝えるのではなく、ルールを設ける意味、ルールを守った場合のメリット、守らなかった場合のデメリットをできる限り伝えていく必要があります。この点を上手に伝えられていると、子どももルールの意味に納得して、「自分のために」守っていけるもの。

「ルールを守っているか、守っていないか」でなく、「ルールの意味を理解しているか、理解できていないか」に目を向けていくのも大切なんですね。

子どもの状態に合ったルールを決めている

親が子どもの性格や年齢に合わせてルールを決め、しっかり守れているのであれば、ルール設定は成功しているといえます。

しかしそうはいっても簡単にいかず、こんなパターンに悩まされます。

  • 上の子がいるので、「お姉ちゃんばかりずるい」と言い、年齢に合わせたルールが作れない。
  • 親の経験から考えると、1日1時間もゲームをやれたら十分だと感じる。しかし子どもはそうは感じない。
  • 父親はわが子に対して「制限がない方が自分で考えられる子」と考えている一方、母親は「制限がないと自分で決められない子」と考えており、「性格に合ったルール設定」が難しい。

ぶつかる夫婦出典:stock.adobe.com

兄弟姉妹がいると本人に合ったルール作り、それを守るための環境作りが難しいもの。兄弟の関係性やそれぞれの性格にも考慮してルールを設定する必要があるんですね。

また、親時代の感覚と今の子の感覚は異なります。親の経験からではなく、今の子の生活、環境、感じ方に合わせた考えに目を向けていく必要があるでしょう。

そして難しいのは、夫婦間で意見が異なるとき。父親が子どもを見る日はルールが甘くなり、母親と一緒にいる日でもルールの認識があいまいになってしまうなんてケースも多いです。家族会議の中で、父親の意見、母親の意見、そして子どもの意見をすり合わせながら考えていく必要があるでしょう。

家族の約束事を”納得できているか”見直していく

話し合う家族出典:stock.adobe.com

家族全体がルールを守っていくためには「ルールを納得できているか」が肝心になっていきます。

例えば、「ここに物を置かない」というルールの場合。その理由が「親が部屋を綺麗にしておきたいから」と、「飼い犬が倒してけがをしてしまうから」であれば、後者の約束の方が納得しやすいはず。

綺麗にしておきたい、時間を守って生活したい、メリハリを持った日々を送っていきたい。そのような感覚は、家族の中でもずれが生じやすいもの。

何のための家族ルールなのか、約束の意味やメリットを見直しながら調整していけるとよいでしょう。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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