教えてくれたのは……マインドトレーナー 田中よしこさん
株式会社コレット代表取締役。心理学・脳科学、コーチングの知見を取り入れ、「自分を本当に知る」ことをメソッド化。個人セッションやセミナーなどを中心に、潜在意識を整え、本心と「未来の理想の思考」を引き出す方法を伝えている。『モヤモヤしない考え方』(ワニブックス)より新刊発売。
断るのが苦手な人が断り上手になる「3つのヒント」
本当は引き受けたくないのに、断れずにモヤモヤが増えていく……。こんな思いを抱えている人はいませんか? そんなあなたのために「断り上手」になるためのヒントをご紹介します。
1. 「自分を大切にする練習」だと捉える
断るのが苦手な人は、「相手の期待を裏切りたくない」「嫌われたくない」という気持ちが強い傾向にあります。私たちは誰しも社会的なつながりを失うことに対して不安を感じるものです。また、頼まれごとが多い人は「断れない」という弱みを周囲に見透かされやすく、無意識に「私は頼まれたことを引き受けるべき」と思い込んでいることもあります。
これは人間の本能的な欲求ですが、無理に応え続けるとストレスが蓄積し、結果として自分の心身が疲弊してしまいます。「自分を大切にすることが、人を大切にする第一歩」と考え、断ることは悪いことではなく、自分と相手にとって必要なものだと意識を変えることが大切です。「断る=自分を大切にする練習」だと捉え、それを行動にしてみましょう。
2. 小さな「NO」を練習する
断るのが苦手な人にとって、いきなり大きな依頼を断るのはハードルが高いですよね。そこで、まずは小さな「NO」を伝える練習を始めてみましょう。
たとえば、職場ではなく、親しい友人といるときに「自分の選択を伝える」ことや、乗り気でない用事は「今日は都合が悪いから」と断ることから始めてみてください。このような新しい行動を少しずつ積み重ねることで、不安や恐怖が和らぐことが研究でも証明されています。また、断った先に自分が何を恐れているのかが、だんだん見えてくるはずです。
最初は断ることに不安を感じるかもしれませんが、その代わりに自分の時間が生まれて余裕ができたり、心地よく過ごせたりする時間が増えていくのを実感できると思います。ぜひ練習をしてみてくださいね。
3. 「感謝の言葉+代替案」を伝えるスキルを身につける
もし「断ったら相手を傷つけるかも」「嫌われてしまうかも」という不安があるのなら、「感謝の気持ちを伝える言葉+代替案」を提案する伝え方を身につけてみましょう。
たとえば、「誘ってくれてうれしいです。ありがとう。その日は難しいですが、別の日なら」といった伝え方です。このような伝え方であれば、断りながらも相手との関係を保つことができます。
研究によると、代替案を示すことで相手が承諾しやすくなり、結果として双方の負担が軽くなるとされています。相手の気持ちも考慮しつつ、気持ちよく断る力を磨いていきましょう。
自分の時間を守るための選択をしていく
他人の期待に応えようとするあまり、つい自分を後回しにしてしまうことがありますよね。
他人を優先し続けると、いつしか自分が何を大切にしたいのかがわからなくなってしまいます。自分の価値観や目標を見直し、「自分の時間」を守るための選択を意識してみましょう。
脳科学では、自分の行動を自分で決定することで、幸福感が高まることが示されています。「今、本当に大切にしたいのは何か?」を軸に行動することで、断る力も自然とついていきますよ。