思春期前後の難しい時期。子どもからの「どうして?」に対する答え方のコツ

家族・人間関係

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2025.07.11

臨床心理士・公認心理師のyukoです。「なんでお風呂に入らなきゃいけないの?」「どうして私だけ手伝わなきゃいけないの?」と子どもから問われたとき、どんな風に答えていますか? 子どもからの「どうして?」に対する答え方のコツを知っておけば、親子の対話がストレスなくできます。思春期にさしかかる難しい時期の子どもとの対話術について考えていきましょう。

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子どもの「なんで?」「どうして?」に疲れてくる。

何か指示やお願いをしたら、なんで? どうして? と子どもから言われて、ひとつひとつ答えるのに疲れてしまった経験はありませんか?

  • 「ご飯の前にさっさとお風呂入っておきなさい」、『えーやだ、めんどくさい。』、「さっさと入りなさいって言ってるでしょ」、『なんで入んなきゃいけないの?』、「あーもう、じゃあ勝手にしなさい!」
  • 「お姉ちゃん、ちょっと洗濯物畳むの手伝って」『弟はやってないじゃん。なんで私だけやらないといけないの? 不公平だよ』「やってくれないなら、もういいよ」

喧嘩する親子出典:stock.adobe.com

数年前まで素直にいろんなことを聞いてくれたのに、口ばかり達者になって、屁理屈ばかりこねると感じ、少し嫌になってしまうときもあるのではないでしょうか。「なんで~しなきゃいけないの?」の背景にある気持ちを理解し、対話のコツを考えていきます。

「なんで~しなきゃいけないの?」に正答はいらない。

なんで? どうして? と言われると、子どもが納得する回答をしなければいけないと思いますよね。ですが、「なんで~しなきゃいけないの?」に対しては、正しい回答をする必要はないんです。

子どもの「なんで~しなきゃいけないの?」の背景には、“私(僕)は納得いってないけど、わかってくれてる?”という気持ちが込められています。子どもの気持ちをスルーし、親が“もう面倒だから結構です”と会話をやめてしまうと、子どもの気持ちが消化されず、結局毎日同じやり取りになってしまうんですね。

背を向ける母と娘出典:stock.adobe.com

また、「お風呂に入らないと不潔だからよ」「高学年なんだから自分の洗濯物は自分で片づけて」と説明をしても、あの手この手で言い返せるようになってくる年頃。
『一日くらい入らなくったって平気だもん』『〇〇ちゃんの家では中学生のお兄ちゃんも手伝いしてなかったよ』などと言い返されると、親も余計ムキーっとなりますよね。

必要なのは、もっともらしい説明ではなく、子どもの「嫌だ」と向き合う姿勢。
では、どのような対応が効果的なのでしょうか。

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説得ではなく、対話に持ち込む。

まずは気持ちを拾う

“なんで”に対して、“~だから”で返すと押し問答のループに入ってしまいがち。
『なんで~しなきゃいけないの?』「~だからだよ」『でも〇〇じゃん』「だから~って言ってるでしょ!」『でもさ、』
子どもが「でも」「だって」と繰り返し言ってきてしまいます。なのでまずは「そう思うよね」がおすすめ。

  • 『なんでお風呂入らなきゃいけないの?』→「今は入りたくない気分か。ゆっくりしてたい時間だった?」
  • 『どうして宿題やらないといけないの?』→「やる意味わかんなくなるときもあるよね。」

肯定してしまうと、子どもは余計やらなくなるのでは? と不安に思うかもしれませんが実は逆。
一度気持ちを受け止められると、“わかってくれた”と感じて、親の話も聞いてみるかといったモードに切り替わりやすくなるんです。

正しい答えではなく、親としての考えを伝える。

「お風呂は夜入るものだから。」「小学生にスマホは必要ないから。」「もうお兄ちゃんなんだから片づけくらいやるのが普通だから。」
など、一般的に正しいことだから、普通こうするものだから、と伝えてしまうと、子どもの反発心をあおってしまいます。大人としての正答を伝えると、『お風呂に朝入る人だっている』『〇〇君はスマホを持ってる。』『なんでお兄ちゃんだから片付けをやらないといけないの?』と対立モードになってしまうんですね。

なので、子どもと1対1の人として話すモードに切り替えるのがおすすめ。

  • 『なんで私だけお手伝いしてって言うの?』→「ママはみんなが気持ちよく暮らすために協力してほしかったんだ。〇〇(子ども)はお願いされるのが嫌だった?」
  • 『なんでスマホ買ってくれないの?』→「便利なものだけど、危険な落とし穴もあるからルールを話し合ってから使ってほしいんだ。まずはスマホ勉強会するのはどう?」

笑顔で会話する母娘出典:stock.adobe.com

子どもが10代にさしかかってくると、親が子に指示する、言いつけるだけではうまくいかないことも増えてきます。「ママ(パパ)はこう思ってるけど、あなたはどう?」と対話・交渉を持ちかけると、親子ともに新たな気づきが生まれたり、前向きに仲を深めていけます。

成長とともに、「言って聞かせる」関わりから、「言ってだめなら話し合う」関わりに変えていくのが必要。「生意気になったな」ではなく、「こんなに成長したんだ」と捉えながら、根気よく対話を重ねていけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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