エースホテル京都
©Yoshihiro Makino
エースホテル京都は、京都駅から地下鉄で10分ほどの場所にある大正時代の建築物をそのまま活用した「新風館」にある。日本初出店のスタンプタウン・コーヒー・ロースターズがホテルロビーに展開していることでも注目度が高く、3階には四季折々の里山風景を楽しめる屋外庭園があり、都会の喧騒を忘れることができる。
そんな日常から離れた贅沢な空間で1日を過ごし、3名の女性たちに密着することになった。
野口敦子さん(フロントオフィスマネージャー)
穏やかな笑顔で迎えてくれたのは、フロントを担当する野口敦子さん。
8歳と6歳の男の子を持つ40代のシングルマザー。育児休暇後に一時期は他業務に就いたが、前職のフロント業務にやり甲斐を感じていたため、両親の協力を得ながら子育てをすることを決め「思いっきりやろう!」と志願。
「子どもができるまでは“完璧”を目指すタイプで(笑)でも、そうじゃないな、誰かの助けを借りて何らかの形になればそれでいいって思うようになりました。私は子育てを両親に助けてもらっていますが、仕事でも日々色んな事が起こりますから、そんな時に人の助けやアイデアが必要な時があるので、『ちょっと聞きたいんですけど』と言いやすい環境を作りたいですね。」
【14:10】ブリーフィング(ゲストの情報共有)
15時のチェックインに備えバックオフィスでブリーフィングが始まる。「○○号室のお客さま、マスカラを紛失されました。」「本日VIPの会食がありますのでお出迎えを」などなど、敦子さんは次々と共有事項を部下に伝える。
敦子さんがメンターを務めているのは「三姉妹」と呼ばれる期待のメンバー。
独り立ちまでの間にあらゆる状況に対応していけるよう、笑顔で現在修業中。
「毎日変化があるので、臨機応変に今何をするべきかを考えて行動できるよう後輩たちに伝えたいですね。積極的に取り組む分には『自分の考えで動いていいよ、失敗しても最後は私が責任を取るから』って背中を押しています。自分が若い頃にそうやって育ててもらったので(笑)でも、あの頃頼り切っていた先輩みたいに今、私はなれてるのかな? ってちょっと考えちゃうこともあるんですけどね。」
責任ある立場になってもママになっても、新人時代の自分のことやお世話になった先輩に思いを馳せ、自分を客観視する謙虚さを忘れない……そんな敦子さんの誠実さは仕事ぶりを見ればすぐ理解できた。
【15:00】
ブリーフィングを終えてフロントに出た途端、スタッフがカウンター内に集まりだした。
預かった荷物が見つけられないとのことで、急遽探しに行くことに……幸いすぐに荷物は見つかり、スタッフと情報をすぐさま共有。そしてホッとする間もなく、チェックインの行列をどんどんさばいていく。
藤森令子さん(レストランKŌSA チームリーダー)
美しい立ち姿はバレエ仕込み。出勤してきたのは藤森令子さん。レストランKŌSAのチームリーダーで27歳。高校生の時から接客が好きでカフェなどのアルバイトでスキルを磨き「実はもう10年もこの仕事をやっているんですよ。」と胸を張る。
【16:00】
ユニフォームは和モダンなレストランに調和している。聞けば小さな時から劇団四季やタカラヅカ、ディズニーなどエンタメが大好き。そんな“人を楽しませる”秘訣を令子さんはたくさん知っている。
「接客は毎日変化があって楽しくて。私あまり「どうしよう!」とか動揺しないんですよ(笑)得意なコト? オーダーを覚えることかな? 6人分くらいなら平気です。あとアップセルも得意で女性グループが会話に盛り上がっていたら『ワインはグラスよりもボトルの方がお得ですよ』とオススメしています。」
兄弟は4人、唯一の女の子で現在はアメリカ人のご主人との二人暮らし。
外国人のお客さまの接遇も堂々とこなすが、なんと英語はInstagramなどから独学で習得したのだとか。柔らかな雰囲気をまといながらも芯の強さを持ち合わせている。
【18:30】
ひとりディナーも令子さんがいればとても安心。さりげなく好みを聞き出して、的確なメニューを薦めてくれる。日が暮れて風が吹き、中庭の木々が揺れるのを眺めながら彼女のおかげでエンタメ要素満載の食事を堪能できた。
小林咲子さん(アシスタントフロントオフィスマネージャー)
【22:10】
バックオフィスではブリーフィングが行われている横でワンちゃんが元気に走り回っていた。この子はアシスタントフロントマネージャー小林咲子さんの愛犬コテツくん。いつも仲良くご出勤とのこと。
ブリーフィングでは、日勤スタッフから「万博に行きたいというお客さまがいらっしゃいます。」「お客さまが紛失されたマスカラがまだ見つかっていません。」と幅広い事柄が事細かに引き継がれていく。「チェックアウトをせず館外に出られたお客さまがいらしたため、お声かけをしてお支払いを頂きました。」というスリリングな? 報告もあった。
全ての事柄を冷静に聞き取りインプットしていく咲子さんは2023年エースホテル京都に入社。以前も外資系超有名ホテルに在籍していたが「この子(コテツくん)と一緒に出勤できると聞いて」迷わず転職を決めた。この業界に携わるきっかけはアブダビでのホテル業務だったのだとか。
幼少期には人気ミュージカル「アニー」のオーディションに合格し、全国で公演したという経験もあるとのこと、なるほど! 納得の華やかさが目を惹く。
【25:00】
エースホテルのロビーは宿泊者以外の人々にも開放しているため、深夜でもPCを持ち込んでソファで作業をする人や夜中まで談笑する人がいる。真夜中まで混みあう日もあるとのこと。エースホテルのポリシーである「人を区別せず受け入れる」を象徴したスペースだ。
笑顔でサラリと「眠っている方にはお声かけをしますが、それ以外はどう過ごしていただいても構いません」と咲子さんは言う。
コテツくんとの出勤が可能なのも、来館する人々だけでなく、働く人々の多様なニーズにも対応するエースホテルならではの大らかさを感じるエピソードだ。働きやすく利用しやすく……そして自分らしく!
訪れる人々の多様性に心を寄せられるのは、対応するスタッフの豊かな個性があってこそ! そう感じずにはいられない、納得の密着取材だった。徹底したマニュアルでの接遇もサービスクオリティの確保のためには確かに重要だが、スタッフそれぞれの個性ある視点を活かしたホスピタリティはまさに唯一無二。「自分を存分に甘やかし放題な1日」を体験して欲しい。
◆エースホテル京都:https://jp.acehotel.com/