叱るとすねるし、褒めても長続きしない。
小学5年生の娘は、「今度こそ毎日こつこつ勉強する!」と張り切って、流行りのキャラクターがのった新しいノートを手に嬉しそう。最初の3日間はカラフルにまとめ、「いい感じじゃん」と褒めるものの、1週間後にはそのノートは机の端に積まれている。「今度はちゃんとやるって言ったでしょ」と声をかけるも「もういいから」とすねた返事。叱るとすねるし、褒めても長続きしないわが子、どうすればいい?
親から見ると「やる気がない」「根気が足りない」と見えるこの姿。
「やる気の続かなさ」は特性や意志と考えられがちですが、“振り返りの仕方”で変えられることがあるんです。
振り返りは「過去の評価」ではなく、「次への思考整理」
「今回はできたね」「今回もできなかったよね」「またやめちゃったね」という成果中心の振り返りでは、子どものやる気が続きにくいもの。
なぜならこのような振り返りは、 一見前向きに見えても、脳にとっては“終わりのサイン”になっているから。
「できた/できなかった」など、評価で締めくくられてしまうと、「今回はこれで完結」と処理され、 「次に工夫しよう」という思考が働きにくくなってしまうんです。
やる気を持続させるためには、過去を評価するのではなく、“次への思考整理”を意識するのがポイント。
子どもが何かから挫折してしまったとき、叱るのではなくて
- 「そっか。じゃあ次は、どんなふうにやってみたい?」
- 「やり方をちょっと変えるとしたら、どんなところ?」
- 「もう一回やるなら、“やりやすくするコツ”あるかな?」
など、未来の動きを含む問いに変えてみるのがおすすめです。
結果という“点”ではなく、次につながる“線”を一緒に描いていくイメージが大切。
次も似たことはある、次どうしよう、と目線を先に変えていくことで、やる気が前に向いていくんですね。
うまくいかなかった理由を“責めずに発掘”する
もう一つ大切なのは、うまくいかなかった理由を探るときに、責めないトーンで話すこと。
親が「だから言ったでしょ」「集中力が足りないのよ」と責めてしまうと、子ども自身が振り返る思考を止めてしまい、“親をこれ以上怒らせないようにする”モードになってしまいます。
責めるのをぐっとこらえ、「環境・気分・方法」の3つの視点で“発掘”してみるのがおすすめです。
たとえば
- 「勉強の時間帯、ちょっと合ってなかったかな?」(環境)
- 「疲れてた? 集中しにくい気分だった?」(気分)
- 「やり方、少し変えてみたらどうなると思う?」(方法)
この3つの観点で対話すると、失敗を自己否定ではなくデータ収集として捉えられるようになります。
子どもが「自分の行動を“実験”として見られるようになる」ことが、やる気の持続を支えていくんですね。
「どんな自分でいたい?」を一緒に描く
長期的にやる気を育てるには、“目先の成果目標”よりも“アイデンティティ目標”が有効です。
つまり、「何点取りたい」よりも、「どんな自分でいたいか」を描けるほうが、行動が続くんですね。
目標を立てるとき、「テストで90点を目指す」ではなく、
- 「テストが終わった自分に、どんな声をかけたい?」
- 「次の作戦に名前をつけるなら、どんな名前がいい?」
- 「もし友達が同じ挑戦をしてたらどのように応援する?」
少し俯瞰して自分を見られるような問いを投げかけたり、未来を見据えた考えを示すと、「今の自分がどんな自分に繋がるか」イメージしやすくなります。
やる気スイッチを親が押すのではなく、子どもの内側にセットできるよう、思考を一緒に整理してあげられるとよいでしょう。
子どものやる気を引き出すのではなく、新しい側面を引き出すイメージで接するのがポイント。
親子で伴走しながら、長い目で子どものやる気を支えていけるといいですよね。




