教えてくれたのは……こはらみきさん

ノートセラピスト/合同会社naare代表。
5歳から自分の感情を書き続けたノートは30年間で累計500冊以上。大学卒業後、幼稚園教諭として勤務するも、「今の自分で人生を終えたくない」と退職。エステティシャンの仕事をスタートするが、見た目や環境を変えても現実は変わらないことを知り、ノートを使って自分と向き合い直し、考え方や心の在り方を整える。現在は、お姫さまマインドを体系化したMy Princess Life Design Schoolを主宰し、10年で100期開講。オンラインサロンも人気を博す。

『人生がなんかうまくいっちゃう!お姫さまマインド』
著者:こはらみき
価格:1,870円(税込)
発行所:ディスカヴァー・トゥエンティワン
子どもの心ない言葉に傷ついたときは
何を考えているのかわからず、口を開けば売り言葉に買い言葉。いつも会話はケンカで終わってしまう……。そんな思春期の子どもとのコミュニケーションに悩む親は少なくありません。
「そんなときは、気持ちをノートに書き出してみて」と話すのは、話題の本『人生がなんかうまくいっちゃう!お姫さまマインド』の著者でノートセラピストのこはらみきさん。こはらさんはこれまでオンラインサロンや講座で5100人以上の女性に、書くことで心を整え、自分と向き合う方法を伝えています。
こはらさん 「子どものころから、その日の出来事を感情にフォーカスしてノートに書いてきました。書くことで、自分の潜在意識に入っていく感覚が私にはあります。子どもとのやりとりに苛立ったり傷ついたりしたときは、『ママにはわからないと言われて悲しかった』『子どもの将来が心配な気持ちをわかってほしかった』など、気持ちをそのままノートに書き出すことがおすすめです」
デジタル全盛となった近年、その日の出来事や感情を振り返ってノートや手帳に書き出す“ジャーナリング”が注目されています。さまざまなやり方がメディア等で紹介されていますが、こはらさんのメソッドはとてもユニーク。ノートのなかに、自分を絶対に肯定して味方してくれる「執事さん」を登場させるのです。
“執事さん”は自分を肯定してくれる存在
こはらさんがメソッド化した「お姫さま練習ノート」は、次のような方法で進めます。
- 自分が思ったことを、そのままノートに書く
- どんな自分も肯定して味方してくれる“執事さん”の目線で、1で書いた感情に寄り添い、肯定する言葉を書き込む
こはらさん 「過去の私自身がそうだったのですが、『変わりたい』『もっとがんばらなくちゃ』と思っている自己評価が厳しい状態だと、気持ちをノートに書くだけでは、なかなか自分の思考のクセから抜け出せません。そこで登場するのが“執事さん”です。自分を客観視できる第三者を置くことで、自分の思考から一歩引いて、『がんばれたね』『よかったよね』と自分を認めやすくなります」
こはらさん 「このノートの効果がより発揮できるのは、“執事さん”の設定が具体的なときです。『黒服を着た長身のイケメン』というぼんやりした設定だと寄り添う言葉にリアリティが出ないので、尊敬している人、好きな人、心から癒される人を“執事さん”に設定するとうまくいきます。アニメのキャラクターでもいいですし、推しのアイドルでもOK。オンラインサロンの生徒さんの中には、好きなアイドルグループを複数人体制で“執事さん”として、子育てのことはあの人に、仕事のことはこの人にと、上手に配役している方もいます。できるだけ具体的な設定を決めると、自分の思考のクセやパターンから抜け出しやすくなりますよ」
「変換マジック」もおすすめ
こはらさんは著書『人生がなんかうまくいっちゃう!お姫さまマインド』のなかで、“執事さん”の寄り添い言葉と質問をそれぞれ30種類ずつ紹介しています。子どもとの関係がうまくいかなかったとき、どのような“執事さん”の言葉を書き込むといいのでしょうか。
こはらさん 「『一生懸命話したのに反論されて悲しかったね』『大切に思っているから困ってほしくないんだよね』という寄り添い言葉はいかがでしょうか。気持ちを吐き出して、認めて、受け入れるというステップを踏むことで、子どもではなく、自分自身に意識が向くようになると思います。そうしているうちに心が落ちついて、『子どもをこんなに大切に思っている私って可愛い』とか、『こんなふうに子育てに向き合えている私って誇らしい』と思えるようになってきます」
こはらさん 「さらに、“変換マジック”を使うのもおすすめです。お子さんからさまざまな言葉や反応が投げかけられると思いますが、そんなときは『これだけぶつかってきてくれるということは、私が信頼されている証拠だよね』『それだけ私を好きなのね』と、自分にとっていいとらえ方に変換してみてください。きっともっと心地よくなりますよ」
「ノートに気持ちを書くことで、子どもを“未熟だから私がなんとかしなくては”と決めつけていた自分に気づく人も多い」とこはらさん。書き出すことで、子どもへの見方やとらえ方にハッと気づく瞬間が生まれ、それが親子関係を見直すきっかけになることも多いといいます。
あなたはどんな人を、自分の気持ちに寄り添って全肯定してくれる“執事さん”に任命しますか? 思春期の子どもとのやりとりに疲れたとき、ぜひ試してみてください。



