子どもが親元を離れた後の“夫婦時間の取り方”

家族・人間関係

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2025.12.17

こんにちは。家事シェア研究家の三木です。 子どもが巣立ったあとに、夫婦ふたりでどのような時間を過ごすことになるんだろう? と不安になる方は結構多いかもしれません。 ですが「そうなる前から関係性を取り戻していくこと」が何より大切です。これは、どういうことなのでしょうか??  子育てが忙しい今からでも、できることはあるのでしょうか?

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夫婦にとって最大のミッションとは?

犬の散歩をする夫婦出典:stock.adobe.com

よく夫婦ふたりになったら「共通の趣味を持つのがいい」とか「ペットを飼うといい」とか「ランチデートから始めてみよう」と言われます。 たしかに、これらが効果的なことも多いでしょう。ですが、今回はもう少し根本的なところから見直すことをおすすめします。

結婚した夫婦にとって、その長い結婚生活をかけて行うべき最大のミッションとはなんだと思いますか? 「生活を支え合う」「(子どもが産まれたら)子育てをする」など、色々夫婦の大事はあります。 ですが、長い結婚生活において「子育て」はいつか終りが来る一時のプロジェクト。
この一大プロジェクトでさえも、僕は夫婦の最大のミッションだとは思いません。

では、結婚をしてから最後の時を迎えるまで。いや、迎えた後にも通じる最大のミッションとはなんでしょうか。

それは「替えのきかないパートナーシップを育むこと」です。

「替えのきかないパートナーシップ」とは?

かけがえのないパートナー出典:stock.adobe.com

替えのきかないパートナーシップを簡単にまとめるなら、
「歳をとってお腹が出てきても、シワが増えても、病気や怪我などで収入が減ってしまったとしても、それでも『この人と一緒にいたい』と思える関係性」のことです。

人の魅力とは、数値や点数だけで計れるものではありません。 年収が高い、容姿が優れている、おしゃべりが面白いなど。それらは確かに個人の魅力ではありますが、それらのスペックだけで長い結婚生活を幸せに送るのは困難です。 病気や怪我で収入が落ちるかもしれない。歳をとれば誰しも若い頃と同じではいられません。面白いおしゃべりだって時には邪魔に感じることもあるでしょう。

「スペック」だけで成り立っている関係は、簡単に「替え」がきいてしまいます。 よりお金もちで、より容姿が優れ、より面白い人と一緒になるチャンスがあれば、そちらに「乗り換えたほうが得」と思ってしまいます。

ですが、長い夫婦生活をかけて、さまざまな困難や喜びをともに乗り越え、味わうことで育まれる「2人だけの関係性」は他の誰かでは代わりにならないかけがえのない資産です。

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いまからパートナーシップを育むにはどうすればいいの?

自分を好きになる出典:stock.adobe.com

いの一番にやるべきこと。それは「自分自身のことを好きになること」です。

「え? いやいや、パートナーシップの話でしょ?」と思うかもしれませんが、この「自己受容」こそがすべてのコミュニケーションのスタート地点。 この自己受容の先にあるのが「相手に興味を持つこと」です。

つまり失ってしまったパートナーへの興味や関心を取り戻すためにも、まずは自分自身のことを好きになろう、ということになります。

会話がなくなる主な原因は「相手への興味を失った」から。 子育ては共通の関心事だったので、子どもがいてくれると会話もできたけど、それ以外は全然共通の話題もない。だから、趣味やペットがあれば、その間に立ってくれて会話が増えるんですね。ですが、常に何かが間に入ってないと会話もできないというのでは辛いでしょう。

では、なぜ「自己受容」ができると「相手への興味を取り戻せる」のか。それは簡単なことで、自分自身を受け入れ、自信が持てるようになると、相手の小さな行動に過剰に反応したり、イライラすることが減ってきます。 逆に、自分に余裕がなかったり、常に不満を抱えていると、些細なことが大きな不満となったりします。 大切なのは、相手を変えることではなく、自分の心の器を大きく育てることです。

そして相手を「変えよう」としなくなる。自己受容が大切なように、他者からの受容は、コミュニケーションにおいてかかせません。 パートナーからの受容を感じると、少しずつ相手との関係性が変わってきます。

その変化にこそ、この先何十年という夫婦生活の礎があるのです。自分自身が、自分を好きになれるように、そして活き活きと生きられるように時間を使ってみる。 それこそが「子どもが親元を離れた後の夫婦時間」を豊かにする、最初のステップだと思います。

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著者

三木智有

三木智有

NPO法人tadaima!代表 日本唯一の家事シェア研究家/子育て家庭のためのモヨウ替えコンサルタント。著書に『家族全員自分で動く チーム家事』がある。

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