怒られない・比べられない。現代の教育方針は本当に楽?
数日前から机に放置されている算数のプリント。「これ出さなくていいの?」と娘に尋ねると、「うーん」と気のない返事。「今の担任の先生は出さなくても怒らないし、それぞれのペースでいいよって」と話す。親としてはプレッシャーが少なくていいなと思っていたけど、怒られもしない、比べられもしない今の状況に娘は少しもやもやしているように見える。どう関わっていけばいいのだろう。
今の子どもたちは、親世代に比べて他人と比べられる機会の少ない環境で育っています。テストの順位は出ない、運動会でも順位に重きをおかない、通知表の表現もやんわりとしたもの。
もちろんこれは、子どもの心を守るための大切な工夫です。
ただ、小学校高学年くらいになると、子どもは自然と「自分ってどんなタイプ?」「得意なことって何?」と考え始めます。
そのとき、周囲と自分を比べる材料がないと、「考えるための手がかり」がなくなってしまいます。
現代の優しい教育は、誰かに負けて傷つくことは少ない一方、「自分の立ち位置がわからない不安」を抱えやすくなるんですね。
「何でもいいよ」「あなたはあなたのままでいい」がしんどい
ここ数十年で、育児書にも変化がありました。
子どもにレールを敷いてはいけない、他の子と比べてはいけない、子どもに選択させてあげるなど、子どもの主体性を尊重した考えがよく語られていますよね。
そんな中、「どれでもいいよ」「あなたはあなたのままでいい」と伝えている方も多いのではないでしょうか。
もちろん、その姿勢自体はとても大切なもの。
しかしそれだけが続くと、子どもの中ではこんなふうに変換されることがあります。
- 頑張らなくてもいい=頑張っても意味がない
- 評価されない=見てもらえていない
- なんでもいいよ=どうでもいい
特にまじめな子ほど、「正解がない」状況に不安を感じやすく、「自分はダメなのかも」と自信を失っていくことがあります。
「どうやって自分を認めたらいいかわからない」状態になってしまうんですね。
親にできることは「比べる」より「言語化を手伝う」こと
では、どのように関わればいいのでしょうか。
ポイントは、他人と比べることではなく、子ども自身の中にある基準を言葉にする手助けです。
たとえば、「100点すごいね」ではなく「前より計算ミス減ったね」「惜しかったけど根気強く考えてたね」といった声かけが重要。
また、子どもが「わからない」「意味ない」と言ったときは、まず「そっか、わからない感じがしてるんだね」と受け止めてあげるのがよいでしょう。
そして「どこからがわからない?」「どうして意味がないと感じる?」と一緒に考える時間があると、子ども自身の中での評価軸が育っていきます。
比較されない時代に育つ子どもたちには、「あなたはどう思う?」と立ち止まってくれる大人の存在が必要です。
親が完璧な答えを持っていなくても、一緒に考える姿勢そのものが、子どもの心の支えになっていくんですね。



