「ボールペンなんて全部同じ」…じゃない!

東京大井町にある三菱鉛筆本社を訪ねた。
私はジェットストリーマーである。
いや、勝手な造語を取材記事に突然書くのもどうかと思うので、一応説明しておくと「ジェットストリーム」ユーザーであるということを、より熱を込めて伝えたつもりだった。
取材中に「同業他社で取材をするときも必ずジェットストリームでメモを取る」という押しつけがましいアピールが空を切ってしまったとき、多少の気まずさはあったけれども……でも、やっぱり愛用品を作る人たちに会えるというのは格別な高揚感があった。

多くの人にとってボールペンは「書ければいい」ものかもしれない。実際、私自身もそうだった。
ところがある日、コンビニで買ったジェットストリームで文字を書いた瞬間、「あれ?」と、手が止まった。
「字、キレイ!」そう、いつもの自分の文字が整って見えたのだ。それ以来、ずっとジェットストリーマーというわけだ。
「助走がいらない」書き心地
私が「ジェットストリーム」をひと言で表現するなら「助走がいらないペン」だ。
ぐるぐるぐると試し書きをしなくても、1画目から文字が書ける。
商品開発部の百田さんによると、
「従来の油性ボールペンの、書き始めでインクが出てこないという問題は、インクの粘度、粘り気が一因かもしれません。『ジェットストリーム』がかすれにくいのは、インクの粘度が低く、なめらかさが影響していると思います。」と笑顔で答える。
当時は挑戦的な商品だった

発売は2006年。今年で20年を迎える「ジェットストリーム」。
今では定番中の定番だが、開発当時は社内でも賛否があったそうだ。
「こんなになめらかなものは使いにくいんじゃないかという声もあったようで……」と語るのは同じく商品開発部の鈴木さん。
今でこそ当たり前になった書き味の良さも、当時は新しい挑戦だった。聞けば、試作品は1万点以上に及んだという。
気軽にコンビニで手に取れる1本の裏側に、気の遠くなるような試行錯誤が潜んでいた。
左利きユーザーに支持される理由
SNSで「左利きは『ジェットストリーム』一択!」という声を見かけた。その理由について、百田さんは
「左利きの方は左から右へ文字を書くと、乾きにくいインクの場合、文字が手に触れてこすれてしまうという問題があります。なめらかな書き心地がありながらも速乾性が優れているという点で『ジェットストリーム』は通常のインクよりも手が汚れにくいのだと思います」と話してくれた。
より「かろやかな」ライトタッチインク
そして「ジェットストリーム」は2024年に新しいフェーズを迎えた。
新たに「ジェットストリーム ライトタッチインク」を開発し、JETSTREAM 多機能ペン 4&1(Lite touch ink搭載)などがデビュー。
書き出しのスムーズさに加えて、しっかりと「書きごたえ」があるのが手書き好きにはウレシイ。
スケジュールやタスク管理をスマホで済ませることが増えた。それでも予定を書いたり、電話や買い物の際にメモを残す場面はなくならない。そんな時により気軽に使える。
鈴木さんはライトタッチインクについて、
「ジェットストリームが『なめらか』なら、こちらは『かろやか』」と表現した。
よりかろやかに、より身近に

書くこと自体が目的ではなくても、書き心地が良いと手帳を開く回数は少し増える。
そして、インクがなめらかで色が深いと、自分の文字がいつもより美しく見える。
そう、整っている、というわけではなくても「美しく見える」のは大切なコト。
手帳を手放し、スマホの中にスケジュールやタスクを記録し始めた人に話を聞くと、何割かは
「自分の文字が好きじゃないから」という。
決して下手だからなんかじゃない。その手に合う1本にまだ出会っていないだけ。
「ジェットストリーム」を手にしたら、そして「ジェットストリーム ライトタッチインク」に出会ったら、「なんだ、手書きもいいじゃない」そうひとりでにやりとする瞬間が味わえそうだ。
◆ジェットストリーム:https://www.mpuni.co.jp/products/ballpoint_pens/jetstream/index.html



