自分の手で見つけよう

SNSから流れてくる「これ最高に書きやすい!」という熱狂的なレビュー。
つい「それ、いいんだ!」とポチりたくはなるけれど、和気文具の店長大池さんは静かな笑顔で首を横に振る。
「書きやすさは、ペンの握り方、書く速度、文字のクセ、手の大きさ、筆圧、さらには使う手帳やノートの紙質との相性を掛け合わせると、千差万別。最終的には、正解は自分で見つけるしかないんです」
スマホやPCの画面越しの称賛は、あくまで「その人の手」というフィルターを通した感想に過ぎないということのようだ。
「絶賛レビュー」の受け止め方
SNSのタイムラインで特定商品の投稿や、一斉に始まるインフルエンサーのレビュー動画がどんどん流れてくる。それに影響を受ける人も少なからずいるだろう。
私は文具の専門家ではない。
ただ、取材を重ねる中で企業が主催するイベントやアンバサダーさんの存在を知るようになった。
文具に限らず、さまざまなプロダクトを抱える企業はインスタグラマーやYouTuberの存在をとても大切にしている。

「手にして書いてみれば、すぐわかりますから」
毎日多くの商品に囲まれている大池さんならではの言葉が重く響いた。その言葉は、プロの本音。
情報よりも自分の感覚を大切に……私にはそんな助言に聞こえた。
答えは、あなたの手の中に

ペンを選ぶことは、自分の身体と対話すること。
大池さんは、今回取材を受けるにあたり、資料を準備してくださった。
それによると、ペン先ひとつをとっても筆圧や文字の大きさなどによって「書きやすさ」は異なるとのこと。
例えば、筆圧が強い人にはペン先が頑丈で安定感のある「コーン型」が書きやすく、「パイプ型」は、繊細な文字を書く人に向いている。
数値化できない自分だけの感覚が、最高の1本を導き出す唯一のデータ、というわけだ。
履き心地と書き心地
ちょっと笑える(?)例え話をすると、
小学生の頃、友だちの上履きを履いた瞬間に「同じサイズなのに全然履き心地が違う!」と感じた経験はないだろうか?
見た目は同じでも、自分の足に馴染んだわずかな感覚の違いを体は覚えているもの。
ペンも然り。
握った瞬間の重心や紙を滑る抵抗感を理屈ではなく、自分の手が「これだ」と教えてくれる瞬間を信じよう。
「失敗」という授業料を払う楽しさ

「好きな書き心地を見つけるには『あ~ちょっと違ったな』と失敗しながら選んでいく手間を惜しまない方がいいですね」
と大池さんは語る。
全てのペンに個性がある。
実際に書いて「ちょっと滑りすぎるんだけど……」「先端がブレるな」と感じることは、大切なステップ。
手帳を持って、ペン探しの「旅」に出よう

ネットで何でも買える今だからこそ、「やっぱり自分の手で確かめてほしい」という文具のプロの言葉が重く響く。
大池さんのオススメは「愛用するノートや手帳を持って文具店へ行くこと」。
いつもの紙に、いつもの筆圧で書いてみる。そこで例えば「もうすこしなめらかな方が好みです」「これよりペン先が細いものはありますか?」と、お店のスタッフに尋ねながら自分の手で正解を掴み取る。
その「寄り道」こそが、日常をちょっと良くしてくれる「運命の1本」に出会う最短ルートだ。
■和気文具
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