誠実な人ほど、不誠実な人に対して敵対心が強くなります
心理学でよく使われる実験に、「最後通牒ゲーム」というのがあります。
ある一定の報酬を2人で分けるゲームで、一方に分配の比率を決める権利が与えられ、もう一方にはそれを拒否する権利が与えられます。
ただし、拒否権が発動されたときは、どちらも1円も得られないという条件付きです。
このとき、決定権を持つ側が、5:5あるいは6:4の割合を提案したときは、拒否権の発動率は2割以下で収まります。ところが、7:3になると、発動率がグンと上がることがわかっています。
本来であるならば、9:1であろうと拒否権を発動しないほうがその人にとっても得です。それでも発動するのは、「そんな失礼なことをするやつに、1円たりとも受け取らせるものか」という気持ちが生じるからです。
こうした感情は、普段から誠実なタイプの人ほど強くなることがわかっています。
『あの人の心を見抜く脳科学の言葉』好評発売中
中野信子(なかの・のぶこ)
脳科学者、医学博士、認知科学者。横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学をテーマに研究や執筆活動を行うほか、その知見を生かしてテレビや雑誌でも活躍。社会問題やビジネス、カルチャーなど、幅広い分野を、科学の視点で読み解く語り口が人気。
カリスマの言葉シリーズ#015『あの人の心を見抜く脳科学の言葉』
出版社名:セブン&アイ出版
価格:680円(税込:734円)
購入はこちら
※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。