「努力できないこと」もひとつの才能。「面倒だ」と思う気持ちを大切にする
わたしは、「努力できないこと」もひとつの才能だと考えています。
なぜ、努力できないことが才能になるのか――。それは、先にも言及したように、限られた時間のなかで無駄な努力をしないことにつながるからです。
なにかの作業をしていても、しばらくすると飽きてしまう人は、努力できる人と同じ成果をあげるために、自然と効率的に達成できるような工夫をします。そして、ただ目の前のことだけにこつこつと取り組むのではなく、もっと広い視野からものごとを見つめ、効率的な仕組みを考えたり、優れた人を集めてチームをつくったりすることができるのです。
もちろん、「面倒だ」といってなにもしないのではなく、そんな工夫をすることに意識を向ける必要はあります。でも、そうして生み出した工夫や発想はときに、努力するだけの人には到底およばないような大きな成果を生み出すことがあります。
つまり、脳の構造でいうと、冷静に損得勘定をする「島皮質」の働きを存分に生かして、発想を生み出すことに力点を置けばいいのです。
「わたしはなにをやっても続かない」と自分を否定するのではなく、「面倒だ」と思うその気持ちこそ大切に扱って、自分が持って生まれたものを肯定することが大切なのです。
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中野信子(なかの・のぶこ)
脳科学者、医学博士、認知科学者。横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学をテーマに研究や執筆活動を行うほか、その知見を生かしてテレビや雑誌でも活躍。社会問題やビジネス、カルチャーなど、幅広い分野を、科学の視点で読み解く語り口が人気。
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