成果をあげるためには「目的」を設定し、「戦略」を立て、淡々と「実行」する

　わたしたちは子どものころから、努力したり、がんばったりするとほめられて育ちます。そのこと自体は別に悪いことではないのですが、結果が伴っていないのに、「がんばったのはえらかった」と、ただ努力したことだけを評価するのはあまり意味がないのではないでしょうか。
　なぜなら、努力は「苦労すること」ではないからです。努力はある目的に向かって、着実に進んでいく歩みのことを指しているのだから――。
　では、成果をあげるにはどうすれば良いのでしょうか。わたしの答えはシンプルです。それは、「目的」を設定し、「戦略」を立て、「実行」すること。でも、これが意外とできていない場合が多いのです。
　明確な「目的」がなければ、歩んでいく方向がわからなくなって、努力が無駄になる可能性が高くなります。また、明確な目的があっても、それを達成するための「戦略」がなければ、ただやみくもにがんばることになりがちです。
　そして、これがまさに「努力=苦労すること」になるということ。たとえば、英語を読めるようになりたいのに、英会話の練習ばかりしているような、まったく見当ちがいのことにもなりかねません。だからわたしは、「戦略」を立てることは最重要だと考えています。
　そして、最後は「実行」すること。これは文字通り、タスクをひとつずつ片づけていくことです。ここでも、根性を出して苦労するようなイメージではなく、正しい「戦略」のもとに、淡々と実行していくということです。
　このように考えると、努力はおおよそ誰にでもできることがおわかりになると思います。「本当の努力」をすることで、着実に成果はついてくるのです。

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中野信子（なかの・のぶこ）
脳科学者、医学博士、認知科学者。横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学をテーマに研究や執筆活動を行うほか、その知見を生かしてテレビや雑誌でも活躍。社会問題やビジネス、カルチャーなど、幅広い分野を、科学の視点で読み解く語り口が人気。

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