「姿勢」を変えるだけでもホルモンバランスが変化し、自己肯定感が育まれていく

「かたち」から変えていくときに、たとえ高価なブランドの服でなくても、姿勢やポーズを変えるだけで、脳内で分泌されるホルモンが変化します。
　たとえば、背筋を伸ばして胸を張るポーズをするだけで、テストステロンという雄性（ゆうせい）ホルモンが分泌されたり、逆にストレスホルモンの分泌が減ったりすることが確認されています。劇的な効果が出るわけではありませんが、そんな積み重ねが自己肯定感を育んでいくのはまちがいありません。
　そこで、いつも背中を丸めてしまうクセがある人なら、堂々と反り返るような姿勢を1日5分することを習慣にしてみてください。それこそ2分でも効果があるといわれているのですが、そうして少しずつ姿勢を変えていけばいいのです。
　なにより、「かたち」から入るのは簡単で、あとから内面もついてきます。堂々としている人は、まわりも大事に扱おうとしてくれるのです。
　わたしについていえば、学者としてなるべく人とちがう振る舞いをしようと心がけてきた面があります。そんなことを続けていると、「ほかの学者とはちがう興味深い話をしますね」という言葉をいただくこともあり、とてもうれしくて、自信にもなってきました。
　自己肯定感というものは、そのように少しずつ積み上げていくものだと思います。

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中野信子（なかの・のぶこ）
脳科学者、医学博士、認知科学者。横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学をテーマに研究や執筆活動を行うほか、その知見を生かしてテレビや雑誌でも活躍。社会問題やビジネス、カルチャーなど、幅広い分野を、科学の視点で読み解く語り口が人気。

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