何歳になっても、読書で「言語性知能」は伸ばしていける
どんな人でもいまから鍛えることができる「言語性知能」について、もう少し説明します。
「言語性知能」は、簡単にいうと脳の「側頭葉(そくとうよう)」という部分に溜まっていく記憶のデータベースのようなものです。ここに知識や経験が蓄えられていきます。
そして、この記憶のデータベースをうまく使いこなすのに必要となるのが、前頭前皮質にある「背外側部」という部分。ここでアイデア同士を結びつけたり、損得を計算して取捨選択をしたりします。つまり、過去に学んだ知識や経験を、いま目の前にある課題に応用していくことで、アイデアはいくらでも生み出せるというわけです。
もちろん、知識や経験を蓄えていく力(学習能力・スピード)自体に個人差はあります。それでも、「言語性知能」は何歳からでも伸ばしていくことができるため、より良いアイデアもいつからでも生み出せます。年を取ったからといって、あきらめる必要などありません。
では、どのようにして「言語性知能」を伸ばしていけばいいのか。さまざまな方法がありますが、有効な方法のひとつが「読書」です。文字通り、言語によって情報が凝縮された本は、「言語性知能」を鍛えるうえで最適なツールです。もちろんウェブ上の情報でもいいのですが、本は複数人のチェックを経ているのが良いところです。
読むものは、小説でもノンフィクションでも好きなものでかまいません。そこに書かれた発想やアイデアを自分が生きている現在に置き換えて、うまく生かしていけばいいのです。
「自分には発想力もアイデアもないな......」と落ち込まずに、まず本を手に取りましょう。
そして、人類が培ってきた偉大なリソースを存分に利用していきましょう。
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中野信子(なかの・のぶこ)
脳科学者、医学博士、認知科学者。横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学をテーマに研究や執筆活動を行うほか、その知見を生かしてテレビや雑誌でも活躍。社会問題やビジネス、カルチャーなど、幅広い分野を、科学の視点で読み解く語り口が人気。
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