子どもへの体罰禁止がスタート!しつけでも叩いちゃいけないの?

家族・人間関係

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2020.04.26

2020年4月から「子どもへの体罰の法的禁止」がスタートしているって知っていましたか?どういうことで、何が変わるのでしょうか?体罰の法的禁止のガイドラインの作成にも参加された子育てアドバイザーであり、育児情報誌の編集長を長年務められてきた高祖常子さんにお話しを伺いました。

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子どもへの体罰禁止がスタート!一体どういうこと?

みなさんもまだ記憶に新しいと思いますが、2018年3月に東京都目黒区で5歳の結愛(ゆあ)ちゃんが、2019年1月に千葉県野田市で10歳の心愛(みあ)ちゃんが虐待によって命を落としました。この大きな事件によって、法律が大きく動いたのです。

私は、虐待や虐待死の第一歩目に「言うことを聞かないから叩く」という体罰があると思っています。でも、日本のなかの「しつけのために、叩いて言うことを聞かせる」という考え方は根強いのが現状(セーブ・ザ・チルドレン2018年調査によると、子どもへの体罰肯定派が6割)なのです。
そんな中、上記2つの虐待死のニュースが連日、全国で報道されたこともあり国が動き、2019年6月に「親権者からの体罰禁止」を盛り込んだ「児童福祉法等改正」が満場一致で可決成立しました。改正法では、親は「児童のしつけに際して体罰を加えてはならない」とされ、体罰禁止が2020年4月からスタートしました。

どんなものが体罰になるの?お尻を叩くのも体罰?

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「体罰等によらない子育てのために~みんなで育児を支える社会に~」というガイドライン(https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/minnadekosodate.pdf)が示され(筆者も委員として参加しました)、体罰や暴言の例も以下のように明記されました。

しつけを理由にこんなことしていませんか?
これらは全て体罰です

  • 言葉で何度も注意したけれど言うことを聞かないので、軽く叩いた
  • 大切なものにいたずらをしたので、正座をさせた
  • 友達をつねってケガをさせたので、同じように子どもをつねった
  • 他人のものを取ったので、お尻を叩いた
  • 宿題をするまで、夕ご飯を与えなかった

子どもの心を傷つける行為です
  • 冗談のつもりで、「お前なんか生まれてこなければよかった」など、子どもの存在を否定するようなことを言った
  • やる気を出させるという口実で、きょうだいを引き合いにしてけなした
 

 

上記は一例ですので、書かれていないことならやってもOKということではありません。

基本は「子どもの権利」「人権」という考え方です。子どもだからと言って、叩かれたり、怒鳴られたりするのが当たり前ではないということ。もちろん、子どもは親が育てているわけですが、言うことを聞かないからと言って、親が叩いたり罰を与えて威圧的に支配する、言うことを聞かせる子育ては違うということです。

なぜ体罰がいけないのか?

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そうは言っても、自分も親から叩かれて育ったという方もいらっしゃるでしょう。もちろんご両親の子育てを否定するつもりはありませんが、この「子どものために良かれと思っていた体罰」が、最近の研究によって子どもの成長発達によくないということが研究によりわかりました。だから「体罰をやめよう」ということなのです。

厚生労働省のHPにも掲載されている「体罰等によらない子育てのために」というガイドラインやリーフレットにも書かれていますが、体罰等が子どもの成長・発達に悪影響を与えることは科学的にも明らかになっています。体罰等が繰り返されると、心身に様々な悪影響が生じる可能性があることが報告されているのです。

「親から体罰を受けていた子ども」は、全く受けていなかった子どもに比べ、落ち着いて話を聞けない、約束を守れない、一つのことに集中できない、我慢ができない、感情をうまく表せない、集団で行動できない、などという行動問題のリスクが高まります。

また、体罰が頻繁に行われるほど、そのリスクはさらに高まると指摘する調査研究もあります。
※藤原武男他「幼児に対する尻叩きとその後の行動問題:日本におけるプロペンシティ・スコア・マッチングによる前向き研究」2017)

つまり、子どもの育ちによくないことが研究結果としてわかった、そして虐待を減らすためにも、体罰をやめようということです。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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著者

高祖常子さんプロフィール画像

高祖 常子

子育てアドバイザー、キャリアコンサルタント。資格は保育士、幼稚園教諭2種、心理学検定1級ほか。 NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、ほか各NPOの理事や行政の委員、「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」(厚生労働省)構成員(2019年)も務める。子育て支援を中心とした編集・執筆ほか、全国で講演を行っている。著書は『こんなときどうしたらいいの?感情的にならない子育て』(かんき出版)『男の子に「厳しいしつけ」は必要ありません! どならない、たたかない!で才能はぐんぐん伸びる』(KADOKAWA)など。3児の母。

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